テラーノベル
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好きって言った順に壊れてく
「好きだよ」
その言葉を聞いた瞬間、
私は嬉しいより先に、苦しくなった。
放課後の教室。
夕焼けが差し込む窓際で、彼は笑っていた。
ずっと好きだった人。
ずっと隣にいたかった人。
なのに。
彼の視線は、
私じゃなくて――別の誰かを見ていた。
「……なんでそんな顔すんの」
優しい声。
優しい顔。
期待しちゃうじゃん。
「別に」
そう返したのに、声が震えた。
気づかないでほしかった。
でも気づいてほしかった。
好きになった方が負けなんだって、
誰かが言ってた。
ほんとその通り。
好きになった瞬間から、
ずっと苦しい。
帰り道、スマホが震える。
『今から電話できる?』
送ってきたのは、
“彼の一番近くにいる人”。
正直、嫌いだった。
静かで、何考えてるか分からなくて、
でも彼だけには心を開いてる人。
通話に出る。
「……もしもし」
低い声。
数秒沈黙が続いて、
そのあと小さく笑った。
「お前さ、あいつのこと好きでしょ」
心臓が止まるかと思った。
「……だったら何」
「やめとけ」
「は?」
「傷つくだけだから」
意味分かんなかった。
なんでそんなこと、
あなたに言われなきゃいけないの。
イライラして、電話を切ろうとした瞬間。
「俺が壊れる」
その一言で、指が止まった。
え。
今、なんて。
頭が追いつかないまま通話が切れて、
私はしばらくスマホを見つめていた。
その夜。
SNSに一枚の写真が投稿された。
暗い路地。
抱き合う二人。
そしてその片方は――
私の好きな人だった。
次の日、学校は地獄だった。
ざわざわうるさい教室。
聞こえる悪口。
視線。笑い声。
でも一番壊れてたのは、
きっと私だった。
「ねぇ」
後ろから声をかけられる。
振り返ると、
その人は笑っていた。
「好きってさ」
「言えば言うほど壊れてくよね 」
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