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暇72視点
視察三日目
その日もこさめを尾行していた
同じ道、同じ時間、同じ癖
完璧に把握したと思っていた
なのに
ー
こさめ、…ん〜〜、あのさ、もしかして……
暇72、ッ!
ー
声が、目の前から降ってきた
まさか本人から話しかけられるとは
思ってなかった
こさめは細い指をくるりと回して髪を
直しながらにこにこと笑っていた
ー
こさめ、さっきから何度も同じ道
通ってるよね〜? もしかして……迷子?
ー
……やられた
俺が“偶然を装って近づくつもり”だったのに
完全に先手を取られた
ー
暇72、…あー、いや 道に迷っただけです
方向音痴で… まぁ旅してるもんなんで
ー
自然な声を出す 表情も殺気も抑えて
でもこさめの目は笑ったまま
まったく油断していなかった
ー
こさめ、ふ〜ん?こんな狭い裏道で
声掛けられたら、
少しは警戒するきがするけど……
君みたいに慣れてる子なら
話しやすくて助かるなぁ
ー
その瞬間背中に氷のつぶてを落とされた
ような感覚が走る
この人、完全にわかってる
ー
こさ、……じゃ、またどこかで
暇72、ッ……
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いるま視点
缶コーヒー片手に歩いていた裏通り
ふと目に入ったのは──“背中”
こさめと知らない男が数メートル離れて
向き合っていた
ー
(……誰だ?)
ー
男の髪は、暗がりでよく見えなかった
でも、何かが引っかかる
ただの通行人には見えなかった
いるまは一歩足を止める
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こさめ視点
こさめ、らんくん、ねえねえ
LAN、どうした、こさめ
こさめ、なんかね さっきストーカー
みたいな子に話しかけられちゃって
LAN、は?
こさめ、でも超かわいかったよ?こさめに
ビビらなかったし嘘も上手だったな〜って
LAN、おい、なんでそんなヤツ野放しに─
こさめ、だってぇ遊んでたかったんだもん
LAN、その子、どんな顔してた?
こさめ、ん〜どんなだったっけ
毛先赤かった気がするけど、夜だしな〜〜
LAN、(毛先が……赤?)
まぁ、ちゃんと気をつけろよ
こさめ、うん、もし次また来てくれたら、
もうちょっと深く話してみる
LAN、ほどほどにな
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