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「太陽、この子が昨日話したリミの代わりの子」

 翌朝、郁斗に連れられた詩歌は『PURE PLACE』の事務所で太陽に紹介され、彼に色々と教わるよう説明を受けた。

「流石郁斗さんですね。容姿だけならリミ以上だ」

「だろ? ただ、電話で話した通りこの子は男慣れしてない。だから初めは無害そうな客のヘルプに着かせてくれ。それと、酒はNGな」

「分かってます」

「それじゃあ詩歌ちゃん、俺はこれから仕事があるから終わったらまた来るよ。それまで太陽の言う事聞いて、頑張ってね」

「は、はい! 頑張ります。郁斗さんも、お仕事頑張ってください」

「はは、ありがとう。頑張るよ。それじゃあね」

 仕事に行くのに“頑張って”などと言われ慣れていない郁斗は愛想笑いを浮かべつつ、店を後にする。

「さてと、詩歌ちゃんだったね。早速だけど、源氏名はどうしようか?」

「源氏名?」

「あー、えっと、こういう店で働くのって本名だとちょっとなって思うでしょ? だからここで使う用の名前って事」

「ああ、そうですよね。源氏名……うーん、皆さんどのように決められているのでしょうか?」

「そんなに悩まなくても大丈夫だよ。思いついたのを適当に使ってる子がほとんどだし。決めるのが苦手ならこっちで決めてもいいよ」

「それじゃあ、決めてもらってもいいですか?」

「OK。そうだな、それじゃあ白雪しらゆきっていうのはどう? 詩歌ちゃん、色白だし、どこか儚げな感じもあるから雪を連想させるって意味で」

「儚げかは分かりませんが、響きが綺麗なので気に入りました。それでお願いします」

「了解。それじゃあ次は衣装だね。こっちに来て」

 太陽に言われ事務所を出た詩歌は奥にある部屋に通される。

「ここが衣装部屋兼控え室。ヘアメイクもここでやるから」

「あの、ヘアメイクって自分でやるんでしょうか? 恥ずかしながら私、メイクなんてほとんどした事がないもので……」

「ああ、君くらい美人だと必要ないかもしれないね。大丈夫、ヘアメイクは専門のスタッフがいるから」

「そうなんですね、それなら安心しました」

「衣装はどうしようか。好きな色とかある?」

「えっと……淡い色が好きです」

「淡い色ね……まあそしたら無難に薄いピンク色のドレスが良いかな? まあ清楚っぽく白も良いよね。スカート丈はやっぱり長めの方がいいかな?」

「は、はい。あまり、脚を出すのはちょっと……」

「そう。それじゃあ初めはなるべく露出は少なめの方が良いかもね」

 太陽は沢山あるドレスの中からいくつか手に取ると、詩歌の身体に合わせていく。

「これなんか良いんじゃないかな?」

 そう言って詩歌に意見を求めたのは、長袖や胸元の部分がレースになっていて少しだけ肌の露出が控えめなロング丈で淡いピンク色のタイトドレス。

 ウエスト部分のリボンが体型をカバーし、小さめの胸も少しだけ強調された形になりそうだ。

「はい、これなら何とか……」

「そう? なら良かった。後は靴だけど……普段ヒールの高いものを履いたりする?」

「いえ……」

「そっか……それじゃあそこまで高くなくて、歩きやすい方がいいよね……これがいいかな?」

 太陽はドレスと同じ色の靴を持って来て詩歌の意見を求める。

 提案して来たのはストラップパンプスでシンプルなレースなのでドレスとの相性も良さそうだし、ヒールも七~八センチとまあまあの高さだ。

「ではそれでお願いします」

「了解。それじゃあ後は他のキャストたちが来るまでマニュアル確認とかしようね。こっちに来て」

「はい」

 ドレスが決まった詩歌は再び事務所へ戻ると、太陽と共にマニュアル確認や礼儀作法、昨夜郁斗に教わったような事までみっちり叩き込まれる事になった。

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