コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
タクトがドメスティックを倒してから数日が経った。アイドル活動を表向きに休止しつつも、悪魔退治は続けていた。だが、どこか心の中にわずかな違和感を覚えていた。
ある日、彼がいつものようにアプリを開いて次の任務を確認していると、突然アプリがフリーズし、画面が真っ暗になった。
「何だよ、故障か?」タクトは不機嫌そうにスマホを見つめ、再起動を試みたが、状況は変わらない。さらに、周囲の空気がひんやりと冷たくなり、異様な気配が漂い始めた。
「また厄介なことが起こりそうだな…」タクトは周囲を警戒しながら立ち上がる。
その時、ふわりと冷たい風が吹き抜け、目の前に現れたのは、黒いフードに包まれた一人の少女だった。彼女の姿は、まるでこの世のものではないような不気味さを帯びていた。
「お前、何者だ?」タクトは冷静に問いかけたが、少女は何も言わず、ただじっとタクトを見つめた。
「もしかして、また悪魔か?」タクトは警戒を強めながら、アプリをもう一度操作しようとするが、依然として画面は真っ暗なままだ。
すると、突然少女が口を開いた。
「…あなたがタクト?」
その声は低く、冷たさを感じさせるものだったが、どこか儚さもあった。
「そうだが、何の用だ?」タクトは苛立ちを隠さずに返す。
「私の名前はリリス。世界に存在する高次の存在として、あなたを見守っていたわ。」
「リリス…?」その名前を聞いて、タクトは一瞬眉をひそめた。確かに過去の伝承や神話に出てくる悪魔の名前だ。しかし彼女がただの悪魔でないことは、その圧倒的な存在感から容易に察することができた。
「何が目的だ?」タクトは冷たく問い詰める。
リリスは静かに微笑んだ。その笑顔は美しくもあり、どこか不気味さも感じさせた。
「あなたに協力をしたいの。これから現れる悪魔は、あなた一人では倒せない。私はその力を持っているわ。」
タクトはしばらく考え込んだ。彼女の言葉には何か引っかかるものがあったが、その一方で、彼女の力が自分にとって必要になるのではないかという直感もあった。
「協力だと?だが、俺は他人と組むのが好きじゃない。特に、目的のはっきりしない奴とはな。」
「目的ならあるわ。」リリスは再び微笑み、その目は冷たく光っていた。「私は、最高神マデスを倒すことが目的。」
その言葉に、タクトの心臓が一瞬だけ早く鼓動した。
「マデスを…倒す?お前は一体何者なんだ?」タクトはその言葉に戸惑いながらも、興味を隠せずにいた。
「いずれわかるわ。今はただ、私が必要だと感じたときに呼んでくれればいい。それまでは、あなたの自由にしてちょうだい。」
リリスはそう言い残し、ふわりと消えるように姿を消した。
タクトはその場に立ち尽くし、スマホを再び手に取ると、アプリが正常に動作し始めたのを確認した。しかし、頭の中ではリリスの言葉がぐるぐると回っていた。
「マデスを倒す、だと…?」その言葉の意味を深く考えながら、タクトは次の戦いに備えていた。