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タクトがリリスとの謎めいた出会いから数日が過ぎた。彼の頭の中には、リリスが言い放った言葉がずっと引っかかっていた。「マデスを倒す」という目的を掲げた彼女の真意とは一体何なのか。そして、彼女が持つ「力」とはどれほどのものなのか。
タクトはふと気づいた。マデス自身がこのことについて一度も触れていないという事実だ。彼は、性格悪いとはいえ、何かを隠しているということがあまりない神だとタクトは感じていた。しかし、今回は何も語らず、何も知らないかのように振る舞っている。それが、タクトにとってさらに不気味だった。
タクトがアプリの通知を確認していると、突然スマホが異常な振動を始め、画面が赤く染まった。「警告:最高神マデスとの通信を開始します」と表示された。
「やっぱりな…」タクトはスマホを手にし、深く息を吸った。
瞬間、彼の目の前にマデスが姿を現した。相変わらずの京都弁と威圧的な雰囲気をまといながら、彼は悠然とタクトを見下ろしていた。
「おう、タクト。どないした?悩んでる顔やけど。」
「お前に聞きたいことがあるんだ。」タクトは、すぐに核心に迫るように問いかけた。「リリスって女、知ってるか?」
マデスの表情が一瞬だけ曇ったが、すぐにいつもの調子で答えた。「ああ、知っとるで。リリスいうたら、ええと…ちょい厄介な存在やな。」
「ちょい厄介?あいつは『お前を倒す』って言ってたんだぞ。」
その言葉を聞いて、マデスは一瞬だけ静かになり、目を細めた。だが、すぐに声を上げて笑い始めた。
「なんやそれ!俺を倒す?そんなんリリスにできるわけないわ!あいつはちょっと昔から目立ちたがりやねん。自分の力を過信しとるんや。まぁ、お前が気にすることちゃうで。」
タクトはその軽い返答に少し苛立ちを感じた。リリスがこれほど強力な存在であり、目的がマデスを倒すことだとしたら、なぜマデスはこれほど無関心でいられるのか?
「お前、本当に何も感じてないのか?リリスがどれほどの力を持っているのか、お前が知らないとは思えないんだが。」
マデスは一瞬だけ真剣な表情に戻ったが、すぐに再び軽く笑みを浮かべた。「そら、リリスがただの雑魚や言うてるわけやない。確かに、あいつの力は侮れん。でも、俺を倒す?ふざけた話やな。」
「ふざけてない。あいつ、マジだった。」タクトは真剣にマデスを見つめた。
すると、マデスは深くため息をついて言った。「まぁ、お前がどれだけ心配してるかはわかる。けど、俺は最高神や。誰にも倒されることはあらへん。それに、お前と一緒に悪魔退治を続けとるんやから、そこは信頼せぇ。」
タクトはその言葉を聞いても、まだ完全には納得できなかった。だが、マデスの自信には揺るぎないものがあった。もしかすると、タクトがまだ知らない秘密があるのかもしれない。
「信頼ね…」タクトは小さくつぶやいた。「なら、次の悪魔退治でその『最高神』の力、見せてくれよ。」
マデスはにやりと笑い、「ほんなら、次の戦いで俺の本気見せたろか。」と自信満々に言った。
「リリスがどう絡んでくるか、今はわからんけど、まぁ、心配するな。俺とお前で、この世界のバランスを守っていこうや。」
タクトはその言葉に少しだけ安堵したが、リリスの言葉が頭の中で再びこだまする。「マデスを倒す」――真意を解き明かすために、タクトはさらに警戒心を強める必要があると感じていた。
次の戦いは、単なる悪魔退治では終わらないかもしれない。リリスの影が徐々にタクトの周りに忍び寄っていた。