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翌日_________
重苦しい空気と静寂が
会議室全体を支配していた
そこに集められたのはいつものメンバーと
彼らを見守るように静かに佇む国連とEUの姿があった。
テーブルの端で
ドイツは小さく息を吸い込む。
いつもなら背筋を正し誰よりも凛とした声で発言するはずの男が
今にも崩れ去りそうなほど肩を震わせ、か弱く細い声で唇を開いた。
🇩🇪 ……急に集まってもらってすまない。
今日は俺ことについての話をしたくて
皆を集めさせてもらった。
震える声。伏せられた瞳。
冷や汗の浮かぶ指先をぎゅっと握りしめる
ドイツの姿に
その場にいる誰もが言葉を失っていた
🇩🇪 おそらく話が長くなる……
それを考慮して
話を聞いてくれると嬉しい。
ドイツがそう言うや否や
他の国達は静かに頷いてくれた。
優しく話を聞いてくれそうな皆の様子を見て一旦は安堵したドイツ。
また小さく息を吸い
ドイツは口を開き始めた
🇩🇪 まず……
俺に兄がいることは知っているか?
All ?!
開幕から明かされた大きな情報に
衝撃を隠せない国達。
🇯🇵 どッドイツさん…
お兄様がいらっしゃったのですか…?
🇺🇸 oh…!俺は初耳だぜ、
🇫🇷 juも…
🇮🇹 ioも……、!
初耳だと言うアメリカに次々と
共感していく理事国達________________
🇬🇧 この感じだと…全員全くもって
知らなかったようですね
🇩🇪 まあ知らない前提で聞いたからな…
知らなかったのも無理はない
🇷🇺 …そうだったのか
🇨🇳 ……なるほどネ
🇩🇪 …とまぁ、さっき言った通り
俺には兄がいる。
…いや、”いた”と言っておこう
“いた”
進行形から過去形へと文を変えたドイツに
嫌な予感がどんどん増していく
おそらく…もうこの世にはいないのだろう
🇩🇪 兄の名前は『ナチスドイツ』。
ここまで言えばわかるだろうな
あのナチスとドイツは兄弟だった。
まさかとは思ったがそうだったとは……、
🇨🇳 、!!!
🇺🇳 ……っ本当に…知らなかった
🇯🇵 存じてませんでした……、
動揺し言葉を詰まらせる国達の姿を見て
ドイツは段々と心が痛んでいた
「「話を長くさせてしまえば
国達が衝撃に浸る時間も長くなる」」
それだけはしたくなかったドイツは
勇気を振り絞りキッパリと述べてみせた
🇩🇪 …結論から言おう
俺の一族は……代々短命なんだ
絞り出すようなドイツの告白が落ちた瞬間
会議室から一切の音が消え去った。
空気が凍りついたのではない。
部屋の中に満ちていた「日常」という概念
そのものが、一瞬で砕け散ったのだ。
言葉の意味を脳が拒絶するかのように理事国の面々はただ呆然とドイツを見つめていた。
🇬🇧 っ…………
普段から笑みを絶やさないあの、
あのイギリスが
手にしたティーカップをカタカタと小さく震わせている。
聡明で、あらゆる事態を冷静に分析してきたはずの頭脳が完全に思考停止を起こしていた。
見開かれた彼の瞳には、かつて見たこともないほどの激しい動揺と言いようのない痛みが揺れている。
🇷🇺 はっ………、?…
このなんとも重苦しい静寂を破ったのは
ロシアの掠れた声だった。
低い声はわずかに震え、いつもの無愛想な仮面は剥がれ落ちている。
喉の奥が引きつり、うまく呼吸ができていないかのように胸を上下させていた。
互いの兄同士の因縁を越え、今の自分たちがどれほど深く繋がっていたかを知っているからこそ、
こその「残りの期限」の存在が彼の心を容赦なく殴りつける。
🇯🇵 ……っ、なんで……なんで今まで言ってくれなかったんですか!!!!?
いつもは控えめな日本の悲痛な嘆き。
朱色の瞳に溢れんばかりの涙を溜め、感情を剥き出しにしてドイツへ詰め寄る
中国もまた、いつも軽快に語尾を跳ねさせる口調を完全に失っていた。
開いた口をふさぐように片手で覆い、冷や汗が頬を伝い落ちる。無数の歴史の興亡を見届けてきた古国である彼にとって、
「国家の崩壊」や「死」は誰よりも理解できる概念だ。
だからこそ、目の前にいる繊細な青年に突きつけられた残酷な運命の重みがリアルに、そして重く圧しかかってくる。
🇨🇳 嘘ヨ、そんな戯言…
誰が信じると思うネ……っ、!
強がりすらも形にならず、語尾は弱々しく空気の中に消えていった。
🇩🇪 っ……
全員がこのあまりにも衝撃すぎる事実にそれぞれに打ちのめされ、言葉を失う中で——。
会議室の最後方、大きな扉の前に並んで佇んでいた国連とEUは、ただ静かに視線を落としている
各国の頭上に君臨し、世界の秩序と調和を保つための機関。
いわば『概念』や『神』に近い位置から彼らを見守ってきたふたりだったが、その背中はいつになく小さく、痛々しいほどに丸まっていた。
🇪🇺 嘘ッ……嘘って言ってよ…
EUが苦しげに胸元を固く握りしめる
互いの経済や政治を支え合い、誰よりも長く隣にいたはずなのに。
ドイツがひとりで抱え込んでいた恐怖の冷たさに、今更になって気づかされた
🇺🇳 あんなにも近くにいて……
何一つ…知らなかった
ぽつりと漏れ出た国連の呟きは掠れていて今にも消えてしまいそうだった。
すべてを把握し、管理しているはずの存在。
世界の安寧を願うために作られたはずの自分が、最も身近で誰よりも真面目に世界を支えていたドイツの『絶望』にすら気づけていなかった。
万能であるはずの管理者たちが浮き彫りにさせたのは、無力感と深い後悔だった。
🇩🇪 …衝撃に駆られているところすまないが
続きを話すぞ
ドイツは段々と表情が崩れていく面々を見て心傷め、言葉を途切れさせながらも
ひとつひとつ、秘密の蓋を開けていく。
代々続く一族の短命。兄・ナチスの死と、自分に残された遺書。
そして自らもまた、いつ消えるか分からない恐怖と隣り合わせで生きているという事実を。
一通り話し終えた瞬間、静寂は激しい感情の渦へと呑み込まれた。
🇮🇹 …っ!もっと早く、もっと早くに
言ってほしかったんね……!!!!泣
イタリアはボロボロと大粒の涙をこぼしながらドイツにしがみつき、胸元に顔をうずめて子供のように泣きじゃくった。
🇮🇹 消えるなんて嫌なんね!ドイツがいなくなるなんて、絶対に許さないんねっ…!!
普段の賑やかさとは一線を画す、心からの悲鳴のような懇願。
🇫🇷 っ………、、
フランスもまた、唇を噛み締めながら視界を揺らしていた。
ティーカップを揺らし
不安に駆られに駆られていたイギリスだが
ふと我に返り、視点を後ろに移す。
部屋の奥に静かに佇む『絶対的な存在』——
国連へと向けられる。
世界の秩序を象徴し、どこか浮世離れした神のような存在感を放つ国連
その存在に、彼は藁にもすがるような思いを心の奥底に隠して国連に問いた。
🇬🇧 ……国連。貴方なら…貴方なら
何かを知ってはいませんか、…?
🇯🇵 っ…この……この呪いのような運命を
変える方法はないのですか、……?!
🇷🇺 何か手段はないのか、?!
あるのなら俺は全力を注ぐ……!
イギリスの問いに他の国も乗っかり
全員の視線は国連へと注がれた
珍しく取り乱すロシアや中国に
目を見開く国連だったが
生憎皆の言う『手段』とやらはない。
国連は静かに瞳を閉じゆっくりと首を横に振る
その悲しげな表情が、安易な奇跡など存在しない悲惨な現実を突きつけていた
だが、誰も諦めてなどいない。
🇺🇳 皆の期待に応えられず申し訳ない…
…でも諦めないで
諦めたら、そこで全て壊れるよ
コメント
1件
うわ……重たい……でもすごく引き込まれたよ。 ドイツが震える声で一族の秘密を打ち明けるシーン、胸がぎゅっとなった。特にイタリアが泣きじゃくってしがみつくところ、あれがすごくリアルで切なかった。みんなそれぞれの反応の仕方が違ってて、それぞれの関係性が透けて見えるみたいだった。 「諦めたらそこで全て壊れる」って国連の台詞、すごく響いたな。ドイツの独りで抱え込む姿が辛くて、でもみんなが受け止めてくれる感じが温かかった。続き、すごく気になる……。
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かきごおり。
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