その火は、ゆらゆらと僕たちの前で揺れていた。そしていろはがその火にナイフを刺した。するとその火からは、赤い鮮血がどばっと出てきた。血が滴る生々しい音が響き、僕たちは唖然とした。その火は小さな女の子に変わり、その子の腹にはいろとのナイフが刺さっていて、血が多量に溢れていた。いろとはそれでも何故かまだ何かを信じず、思いっきり小さな女の子からナイフを引き抜くと、「んがっ…」という声と共に、その女の子は倒れ、その倒れた先からは、先程より出血し、鉄分の匂いが増した。その女の子は、僕たちを見ながら、小さな手を伸ばした。いろとはナイフを構えるのをやめ、僕たちの方を向いた。その小さい女の子は、徐々に目の光が無くなるように思えたため、純恋がその女の子の怪我を治す係になった。包帯を巻いて、消毒液を撒いた。消毒液を撒く際、痛さで体が跳ねていた。その女の子はまだ幼いのか、涙が止まる気配がしなかった。包帯を巻いた頃には、寝てしまったのか目を瞑ってしまっていた。
僕と純恋は、暗い空間をどんどん進んで行った。クレイズネスが小さな灯りを持っているだけで、周りは黒そのものだ。純恋が背負っている子は、まだ眠っている。純恋が言うには、まだ体温はあるらし、寝息も聞こえるという。僕はクレイズネスと先頭を切って、黒そのものの空間を歩き続けた。
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