テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第9話 「38.9℃」
家に着く。
「ただいま。」
リビングから橙と黄が顔を出した。
「おかえり!」
「紫くんも一緒だった!」
「ただいま。」
紫は靴を脱ぐと、赤の方を見た。
「赤くん。」
「ん?」
「先、熱測って。」
「え、大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃない。」
「でもご飯……。」
「今日は俺がやるから。」
「え?」
赤は驚いた顔をする。
「紫くん、疲れてるでしょ。」
「いいから。」
「でも……。」
「赤くん。」
いつもより少しだけ強い声。
「測ってきて。」
赤は観念したように頷いた。
「……わかった。」
⸻
体温計を脇に挟む。
数分がやけに長く感じた。
ピピッ。
赤は表示を見て固まる。
38.9℃
「……うそ。」
思わず小さく呟いた。
コンコン。
「赤くん。」
紫の声がする。
「測れた?」
「……。」
「赤くん?」
ゆっくりドアを開ける。
「何度。」
赤は体温計をそっと差し出した。
それを見た紫は目を見開く。
「38.9……?」
赤は気まずそうに笑う。
「思ったよりあった……。」
「思ったよりじゃないよ。」
紫はため息をついた。
「これで家事しようとしてたの。」
「……。」
「昨日から熱あったんでしょ。」
「うん……。」
「なんで言わないの。」
「心配かけたくなくて……。」
「それに、紫くん仕事あるし……。」
「俺がやらないと……。」
そこまで言ったところで、
コンコン。
「赤兄?」
黄の声だった。
「熱あったの……?」
部屋の外は、
静かになった。
NEXT→♡3000
しばらく到達しないでしょう
まって?何事?なにこれ?夢?え?は?ん?
みんな指撮れない?大丈夫?怖いよ?
コメント
3件
「38.9℃」という数字が、物理的な熱と同時に赤くんの“無理を重ねてきた心の温度”を表しているようで、胸がぎゅっとなりました。紫くんの「測ってきて」という一言に込められた強い優しさと、それに観念する赤くんの距離感が絶妙で…。黄くんの「赤兄?」でさらに家族の温かさが溢れて、続きが待ち遠しいです🌷
莉月
18,091