幸せなんだ

合鍵を使って深澤の家に入っている。

渡辺の言う通り、ソファで丸くなって眠っている。

寝室から毛布を持ってきてそっと掛けてやる。

岩本がここに来た時のために、チョコレートが置いてある。

コーヒーを淹れ小さなチョコレートを手に深澤の側に戻ってくる。

よく見ると目尻に涙の痕。

小さくため息を吐きコーヒーを飲む。

深澤が起きるまで待とう。

コーヒーの香りのせいか、毛布がモコモコ動き出した。

毛布を引き上げ潜ってしまった。

岩本ー辰哉。

深澤ー・・。

岩本ー翔太から聞いた。

深澤ー悪かったな、心が狭くて。

岩本ーホントに。

深澤ー照が優しいから、これも。

そう言ってメイクさんのために身体を低くしてる写真を見せた。

毛布から手だけを出して。

岩本はそれを見ても何とも思わない。

椅子がなかったんだから仕方ない。

岩本ーこら、みの虫。

深澤ー・・。

岩本ー言い訳なら聞くぞ。

深澤ー偉そうに言うな。

岩本ー・・。

深澤ー別れたい？

岩本ー何でそうなる。

深澤ー可愛げないし。

岩本ー辰哉は可愛いよ。

深澤ーどこが？

岩本ー毛布から出てきたら教えてやる。

モゾモゾと毛布から顔だけ出す。

ちょっと目が赤い。

一応、反省してますって顔をしている。

岩本はすぐそばに座り、頭をクシャっとする。

ふるりと首を振る。

岩本ー辰哉はすぐ勘違いして怒る。

翔太に泣きついて愚痴を言う。

すぐ拗ねる。

1人で勝手に落ち込んで泣く。

俺からしたら、どの辰哉も可愛い。

深澤ーいいとこないじゃん。

岩本ーそれが可愛いんだ。

深澤ー照って変。

岩本ー俺に嫌な部分も見せてるのが嬉しいし楽しい。

深澤ー我儘だと思わないの？

岩本ー辰哉の我儘なんか可愛いもんだ。

深澤ー何で？

岩本ー翔太にだって丸わかりだし。

もっと俺だけに甘えろ。

深澤ー照・・。

深澤は起き上がり岩本の首に両手を回した。

甘いキス。

だが、岩本は深澤を毛布でぐるぐる巻きにした。

深澤ー照！

岩本ーこのままじっとしてろ？

深澤ー何するんだよ？

岩本ーお仕置き。

顔と肩口までしか出ていない。

岩本は顔中にキスして耳を舐め首筋を舐め肩にキスマークをつける。

深澤ーんっ・・やだ・・。

岩本ー煩い。

深澤ーちゃんとして！

岩本ーしてる。

深澤ーやぁっ・・んっ・・。

岩本ー身体がモゾモゾ動いてる。

深澤ーっ・・やだ・・。

岩本ー顔が赤いぞ。

深澤ーごめんなさーいー。

岩本ー謝る事ない。

深澤ー怒ってるんだろ？

岩本ー可愛いって言っただろ。

深澤は岩本を睨む。

睨んだところで毛布は外れない。

暴れて暴れてソファから落ちてしまった。

毛布がばらける。

深澤は立ち上がり岩本に背を向けてむけキッチンに向かう。

岩本ー何してんだ？

深澤ーコーヒー飲むんだよ！

岩本ー俺ももう一杯くれ。

深澤ーカップ持ってこい。

カップを深澤に渡し、背後に立つ。

両手を広げて深澤の横に付く。

閉じ込めた。

深澤ーバカ、動けない。

岩本ー可愛いからこのまま見てる。

深澤ーバカバカ、危ないわ。

岩本ー上手に淹れてくれよ？

深澤ー照、俺はすぐ怒るし、口は悪いし、良いとこないぞ。

岩本ー俺にだけだろう？

深澤ー・・。

岩本ーだから可愛いんだ。

深澤が狭い岩本の腕の中で向きを変え、岩本に向き合う。

岩本が優しくキスしてくれる。