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絶対辰哉
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第十話から三日。
翔太は約束通り、宮舘の前から姿を消すことはなかった。
仕事にも来る。
笑う。
メンバーと話す。
でも。
その笑顔の裏にあるものだけは、誰にも見せなかった。
────────
💙side
「渡辺さん、お願いします」
今日の仕事は雑誌のインタビュー。
テーマは、
“今、一番大切にしているもの”
(最悪なテーマだな)
心の中で苦笑する。
カメラが回り、インタビュアーが優しく質問を投げかける。
「渡辺さんにとって、今一番大切なものは何ですか?」
一瞬だけ言葉に詰まる。
本当なら。
“Snow Man”
そう答えたい。
“メンバー”
そう言いたい。
だけど。
一年後には、自分から手放そうとしている。
そんな人間が口にしていい言葉じゃない気がした。
💙「……人ですかね」
「人?」
💙「支えてくれる人」
「例えば?」
翔太は少し笑う。
💙「家族とか」
💙「友達とか」
💙「……大事な人です」
最後の一言だけ。
自然と宮舘の顔が浮かんだ。
────────
❤️side
「次、宮舘さんお願いします」
入れ替わりで椅子へ座る。
インタビュアーが同じ質問をする。
「今、一番大切にしているものは?」
宮舘は迷わなかった。
❤️「人ですね」
「具体的には?」
❤️「家族もそうですし」
❤️「メンバーも」
少しだけ笑う。
❤️「幼なじみも」
その言葉にスタッフが微笑む。
「渡辺さんですか?」
❤️「はい」
即答だった。
❤️「昔から隣にいるのが当たり前なので」
❤️「いなくなったら困ります」
その言葉を。
部屋の外で順番を待っていた翔太は、偶然聞いてしまっていた。
(やめろよ……)
胸が締め付けられる。
そんなこと言われたら。
決心が揺らぐ。
────────
昼休憩。
メンバーはそれぞれ昼食を食べていた。
💜「翔太、今日少なくない?」
翔太の弁当には、ほとんど手が付けられていない。
💚「ほんとだ」
🧡「体調悪い?」
💙「朝食べすぎた」
また嘘。
阿部は少し心配そうな顔をする。
💚「無理しないでよ」
💙「平気平気」
その時だった。
❤️「翔太」
宮舘が自分の弁当のおかずを一つ箸で持ち上げる。
❤️「食べる?」
💙「子どもじゃないんだけど」
❤️「いいから」
💙「……」
昔から変わらない。
子どもの頃も。
給食を残せば、宮舘が横から「一口だけ」と渡してきた。
翔太は小さく笑って、おかずを受け取る。
💙「ありがと」
❤️「うん」
その様子を見ていた深澤が笑う。
💜「ゆり組ってほんと変わんないよね」
🧡「もう家族やん」
💚「見てるこっちが安心する」
家族。
その言葉が胸に刺さる。
(家族だからこそ)
(離れなきゃいけないんだ)
翔太は俯いた。
────────
仕事終わり。
メンバーが次々と帰っていく。
「お疲れ!」
「また明日!」
翔太も荷物を持って歩き出す。
すると。
マネージャーが小さく近付いてきた。
「渡辺さん」
💙「はい」
「明日の午後、社長とのお時間が確定しました」
💙「……分かりました」
「書類も最終確認になります」
最終確認。
その四文字が重く響く。
「それじゃ」
マネージャーは立ち去った。
翔太はその場から動けない。
(明日か)
とうとう来る。
全部が動き出す日。
その頃。
廊下の角で、その様子を見ていた人が一人いた。
宮舘だった。
会話までは聞こえない。
でも。
翔太の顔色だけで分かる。
“明日、何かがある”
それだけは確信した。
宮舘は静かにスマホを取り出す。
そして。
翔太へ一通だけメッセージを送った。
《明日、仕事終わったら少しだけ時間もらえる?》
送信。
既読は、まだ付かない。
でも宮舘は決めていた。
明日。
何があっても。
翔太の本音を聞く。
二十年以上一緒にいた幼なじみとして。
そして。
まだ自分でも気付いていない、この気持ちの答えを知るためにも。
コメント
2件
うがっ 心に響くっ りょたがんばれっ
第11話読み終えたよ。 インタビューで「大事な人」って言った時、二人ともお互いの顔が浮かんでるのエモすぎる……。お昼のおかず交換とか、子どもの頃から変わらんゆり組に泣ける。宮舘が決心してメッセージ送るところ、めっちゃ効いた。明日、本音がぶつかる展開、心臓に悪いけど待ってる🔥