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「頑張れ~強く、もっと強く引っ張って~!!」

「ぐんぬおぉぉぉぉぉぉ……!!」

「これはきっと大物だよ! イスティさま、踏ん張れ~!」

「ふぉごぉぉぉぉ!!」

「そ~れ! そぉ~れぇっ!!」


どれくらいの時間が経ってしまったのか。


色濃い霧が強いせいで、今が夜なのか昼なのか分からない途方もない釣り。


そんな時、湖底から何かとてつもない引きがあった。フィーサは狭いボートに腰掛けながら、ひたすらにおれを応援しまくっている。そんな彼女に手伝ってもらおうという気は起きず、ずっとおれだけの力で竿を引っ張っている。何故ならこんな力で引っ張らなければいけない魚は、どう考えても尋常じゃないからだ。


嫌な予感もあり、フィーサは人化のままでいつでも攻撃出来る状態だ。彼女の声援とおれの気合いが静寂を壊す。


「ぬっ……こ、これは――!?」


そんな時だ。強力な引きを見せていた糸が、どういうわけか今度はおれを引っ張り始めた。


「イスティさま、竿を離して!! このままじゃ引きずり込まれちゃうよ!」

「おれの力を舐めるなよ? ルティよりも怪力になった拳の本気を見せてやろう!」

「あ、あまり参考にならないけど……そういうことなら、引っ張れ~引っ張っちゃえ~!」

「ぐ、ぐおおおおおお……!! おわっ!?」


引っ張り合いを楽しんでいたかのような力の均衡――それが急激に崩れた。


そして、


「あぁぁっ!? イ、イスティさまっっ!!」


フィーサの叫び声も空しく、自分が引っ張っていた力の反動をまともに受け、おれはそのまま湖に引きずり込まれた。


「……うう~ん」


水属性耐性のおかげで溺れる心配は無い。だが手狭な所に全身が包まれているような感じを受ける。溺れはしないが息継ぎの心配はつきまとう。


しかし不思議と息が出来ているようで、呼吸をするのも問題が無い。目を開けると目の前にあったのは漁礁のようなものがあった。おれはそこにものの見事に体が挟まっていた。


「くっ、何でこんな……」


漁礁を棲み処としているヌシにでも引きずり込まれたか?


「人間の手の力、それだけでいい気になるのは駄目だゾ! ”再生”しないとだゾ!」


……ん?


以前にもこんなことがあった気がするな。姿が見えず声だけのようだが、恐らくおれを引きずり込んだヌシと思われるが。


「そこから出してやるゾ。だから、ソレちょうだい!」


それと言われても意味が分からない。水中の中では自由が利かないので手振りを見せるしかないが……。


「忘れ去られたガントレット! 忘れ去られたままは悲しいゾ? それじゃあ、いくゾ~!」

「――なにっ!? う、うおおおおおお!?」


水中では思うような動きは出来ない。


そんなおれに対し、ヌシは漁礁ごと破壊する勢いで地上へと押し流す。



「はぁぁ~イスティさま。全く戻って来ないなんて、どうすればいいの~……」


あまりの威力に目を開けていられない圧がある。そうして何度も瞼を強引に開けていると、湖面を覗き込むフィーサの姿があった。その時点で、どうやらおれは空高くまで飛ばされたようだ。


「フィ、フィーサ、避けろっ!!」

「ふぇっ!?」


勢いそのまま湖に落下し、おれはボートとフィーサをずぶ濡れにしてしまっていた。


「ひゃうぅ~どうして何で、何でこんな~……」


濡れることを誰よりも嫌うフィーサを濡らしてしまい、ショックを受けたことで彼女は放心状態になっている。


「錆びることは無いけどこんなの、こんなのは嫌なのに~」

「すぐ乾かしてやるから!」

「……まぁいいなの。ところでイスティさま。その子、誰?」

「う? あ、あぁ……多分、ラーナと似た感じの子だ」


ずぶ濡れのフィーサをなだめていた状態の中、彼女の正面に見知らぬ女の子が座っていた。その子は大事そうにガントレットを抱えていた。その姿は、さながら卵を大事そうに温めているかのようだった。


姿を見るに湖底のヌシと判断していいだろう。


「ラーナ? って、そのトラウザーから現れたっていう?」

「ああ」

「ふ~ん……?」


水中のヌシは忘れ去られた何とかと言っていた。そうなると声に従って渡したガントレットも、再生されるということになる。


「……キサマ、名は?」


いや、言葉悪すぎだろ。


「おれはアック・イスティ……」

「聞いて跪くがいいゾ! 忘れ去られた湖底のヌシ、シリュールであるゾ!!」

「一応聞くが、ヌシのナマズか?」

「無論であるゾ! 余の怒りは地を揺らす! 怒らせた人間は、全て沈めてやったゾ」


ヌシを名乗るナマズの女の子の姿は、カエルのラーナと同様に人間の姿をしている。真っ黒で長い髪をしているが、どうやら長い髭のようだ。


「沈めてやった……って、まさか、この辺り一帯をか?」

「無論だ! 湖そのものが忘れ去られた所なのだゾ。参ったか!」

「そうか、そういうことか……」


フィーサの顔を見ると、ようやく気付いてくれたといった呆れた表情をしている。


つまり――南アファーデ湖村そのものがそういう場所だった。


「アック・イスティ! 再生を付けたら閉ざされた時間が動くゾ! 覚悟しとくといいゾ!!」

「閉ざされた時間が動く……なるほどな」

「イスティさま、ここはこの子に委ねるしかないよ~」


忘れ去られた湖村を明らかにして、果たしてどこにたどり着くのか。ルティとシーニャは自分たちで気付いてきちんと脱出しているといいけど。

Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!

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