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13 - 十二 ~だれかの心臓になれたなら~

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2024年08月11日

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「こんな世界」と嘆く誰かの 生きる理由になれるでしょうか

これは 僕がいま君に贈る 最初で最期の愛の言葉だ


街も人も歪み出した 化け物だと気付いたんだ

欲動に巣食った愚かさも 全てがこの目に映る

シアトリカルに手の上で 誰も彼も踊らされる

生まれた意味だって知らぬまま 形骸化した夢は錆びついてしまった


「愛をください」きっとだれもがそう願った

「愛をください」そっと震えた手を取って

「愛をください」心を抉る 醜いくらいに美しい愛を


「こんな世界」と嘆く誰かの 生きる理由になれるでしょうか

いつか 終わると気付いた日から 死へと秒を読む心臓だ

ねえ このまま雨に溺れて藍に融けたって構わないから

どうか どうかまたあの日のように 傘を差し出し笑って見せてよ


もしも夢が覚めなければ 姿を変えずにいられた?

解けた指から消える温度 血を廻らせるのは誰の思い出?

雨に濡れた廃線 煤けた病棟 並んだ送電塔

夕暮れのバス停 止まったままの観覧車

机に咲く花君の声も何もかも 最初から無かったみたい


死にたい僕は今日も息をして 生きたい君は明日を見失って

なのに どうして悲しいのだろう いずれ死するのが人間だ


永遠なんてないけど 思い通りの日々じゃないけど

脆く弱い糸に繋がれた 次の 夜明けがまた訪れる

どんな世界も君がいるなら 生きていたいって思えたんだよ

僕の地獄で君はいつでも 絶えず鼓動する 心臓だ

いつしか君がくれたように 僕も、だれかの心臓になれたなら




文字数・639字

作者様・ユリイ・カノン様

曲名・だれかの心臓になれたなら

2024・4/5

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