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陽気に答えた私のテンションを見て、恵は「諦めるか」と頷いて「私もビール」と挙手した。


そのあと、どうやらお店のオススメはお肉、もしくは海鮮とのセット盛り合わせだと聞いた。


基本的にお肉は鉄板に載せられて提供され、ビーフ単体だと「肉のエアーズロックや~!」と声が聞こえてきそうな、分厚いお肉が出てくる。


セットはオージービーフとバラマンディーという白身魚は固定で、もう二品、海老とロブスターの海鮮コースか、カンガルーとワニのオーストラリア食材コースかを選べる。


「シーフード盛り合わせは頼んだから、朱里はこっちを食えば満足できるんじゃないか?」


尊さんがオーストラリア食材コースを指さし、私は「そうします!」とビシッとサムズアップする。


周りのテーブルを見ると、とても魅力的な料理や、美味しそうな飲み物、フルーツを使ったカクテルなどが並んでいるけれど、残念な事にメニューは文字だけなのだ。


このお店はとても有名らしく、日本の旅行会社越しに予約をとる事も可能だそうだ。


それぐらいの人気店なので、勿論、尊さんと涼さんも以前に来た時、このお店に来た事があるらしい。


「本当に仲良しなんですね。お値段も結構しっかりしてるじゃないですか。さっきは男性同士の旅はもっとカジュアルみたいな事を言ってましたが、やっぱりグルメセンサーが立ったんですか?」


尊さんに尋ねると、彼は遠い目で言う。


「カンガルーとワニがあるからに決まってるだろ……。どうせ食べるなら美味い店で、っていう事だよ」


「「ああ……」」


私と恵は納得し、涼さんを見て頷く。


「ちょっと待って? 『ああ、そっか。ゲテモノ男か』みたいな納得の仕方、やめて?」


「それ以外の何なんですか?」


「恵ちゃん! 無垢な目で、心の底から不思議そうに言うのやめて! こう見えて、俺は美食家と書いてグルメ……」


「本当のグルメってゲテモノもいきますよね。分かってますから、誤魔化さなくていいです」


「ああああああ……」


恵は両手で頭を抱えて落ち込む涼さんの背中をポンポンと叩いて「どんまい」と言い、「私は何にしようかな~」と再びメニューを覗き込む。


「シーフードは食べられるからいいとして、朱里と同じ量を食べられる自信はないんですよね。半分でいいかな……。半分も入らないかもしれないけど」


「じゃあ、俺が頼んだのを味見する?」


「立ち直り早いっすね。それでお願いします」


何だかんだで涼さんと恵を見ていると、テンポ感が安定していてお似合いだな、と思う。


きっとだけど、今まで涼さんの側にいた女性って、彼に嫌われないように気を遣い過ぎていた人ばっかりだったんじゃないだろうか。


嫌われないように、自分の綺麗な面ばかりを見せて、本心を見せられなくなってしまう。


涼さんは鋭いから、そういうところを見抜いて付き合う人を選んできたように思える。


彼も多分、付き合った女性が〝完璧なイケメン御曹司〟を求めるなら、ある程度応えようとしただろう。


けれどそれが涼さんのすべてじゃないから、相手の望む自分を演じる事に疲れてしまったんじゃないだろうか。


その分、恵は男性に媚びる事を知らないし、『涼さんに嫌われたらどうしよう』と心配はするけど、そのために彼に縋ったりはしない。


だから、こうやって塩対応して振り回されるのも新鮮なんだと思う。


むしろ「ご褒美」と言いそうだ。


恵も過去の彼氏と付き合っていた時は、本当の意味での塩対応だった。


涼さんにも塩対応してるけど、付き合いの長い私はこれが愛のある塩だと分かっている。


彼女はもともと痴漢の件があって男性不信気味だったけれど、涼さんと付き合ってすべての男性が体目当て、性的な事ばかり考えている訳じゃないと分かったと思う。


その意味で、私も涼さんに深く感謝していた。


「尊さんは?」


「俺は普通にオージービーフでいいかな。あとは適当につまむ」


「ラジャ!」


飲み物も含めてオーダーが終わったあと、四人で川を背景に記念写真を撮った。


勿論、私の自撮り棒が大活躍である。


「冬の日本を脱出して、夏のケアンズに来るのもいいけど、冬のケアンズも暑すぎず丁度いいだろ?」


「ですね! 歩き回っても汗だく! ってほどにはならないと思います」


「ヨーロッパって冬はどうなんですか?」


恵に尋ねられ、尊さんと涼さんは顔を見合わせる。

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