テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
終業式の午後。相談室に3人が集まり、通知表をなんとなく開いて──各自の「教師からの所見コメント」が話題になる。
蓮司「は〜い、ではこちら蓮司くんの通知表で〜す。
“協調性があり、場を和ませることができる生徒です”だってさ」
遥「場を……和ませる……?」
日下部「むしろ、場を乱す側では?」
蓮司「それな。俺が和ませてんのは“教師の顔色”だけ」
遥「てかそれ、ただの“喋りがうまい=性格も良い”ってやつじゃん。
はーい偏見偏見」
日下部「俺は、“真面目で努力家。物静かだが、芯のある生徒”……
なんか、無難なテンプレって感じ」
蓮司「いやいや、“物静か”って時点で教師はお前を“扱いやすい”って認識してんだよ。
“都合いい無害枠”」
遥(苦笑)「……で、俺はこう。“感情の起伏が激しく、周囲との摩擦が目立つ場面も”」
(沈黙)
遥「……言い方ってもんがあるだろ。
“起伏”じゃなくて、“環境に適応しようと懸命な姿が見られる”とかあるだろ普通……」
蓮司「それ書いたら教師が自分の責任問われるからな」
遥「俺がキレた日、なんでキレたか先生ら誰も聞いてねーくせに。
“騒いだ”って事実だけ書いて、“背景”は一文字も触れねーじゃん」
日下部「……怒らないと、存在に気づいてもらえなかったんだよな」
遥(小声で)「……そうだよ」
蓮司「でも俺も成績よくないけど、“言い訳のうまい問題児”ってポジションのおかげで助かってる」
遥「そこもムカつくんだよな。“できない奴”には“支援”じゃなくて“指導”って名の押し付けしかしない」
日下部「蓮司、社会は?」
蓮司「4。しかも、“人前での発言に説得力がある”って書いてあった」
遥「ふざけんな、俺なんて“発言に一貫性がない”だぞ。そりゃこっちが聞いてんのに無視され続けてたら声荒げるしかないだろ!」