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曇りの午後、雨の予感。教室の窓ガラスに風の音だけが響く。
誰ともなく、話題が“家庭”に触れていく。
蓮司「この前、家庭科のプリントで“親に感謝してること”とか書かされたわけよ。
全員書ける前提で話進めんなって感じ」
遥「は? 何それ。
じゃあ俺、“呼吸してても文句言われて感謝すらできません”って書くわ」
日下部「……俺も、空欄で出した」
(短い沈黙)
蓮司「俺の親は、俺が“何やっても驚かない”ように育てたんだよな。
褒められたことも怒られたことも、あんまない。
“放置されてた”っていうのが近いかな」
遥「うちの親は、驚くっていうか、暴れるタイプ。
“言うこと聞かせるために壊す”って考えしてんだろうな」
日下部「……うちの親は、怒鳴らないけど、目で黙らせる」
(また沈黙)
蓮司「なんでこんな話してんだろ、俺たち」
遥「知らねーよ。俺が聞いたわけじゃねーし」
日下部「……でも、たまには言ってもいいんじゃないか。
誰にも届かないところで、黙ってるよりは」
蓮司「……沙耶香には、一回だけ言ったことある。“親になりたくねえな”って。
そしたら、“じゃあ、ならなきゃいい”ってだけ言われた。あいつ、冷たいよな」
遥「冷たいっていうか、正しい」
日下部「……“親になる資格”とか、あるなら誰が決めるんだろうな」
※ここでは、そこまで深掘りしない。