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レンニーの広間にてケイシとリーシの見合いは執り行われた、見合いというのは名ばかりでもう婚約の儀といっていい形式だった
レンニーのしきたりで互いの杯に互いが酒を入れ、それを飲み干す。これで婚約が確約された事となる、
そしてケイシとリーシは別室に移動し暫し互いを知る時間を与えられた
二人が直接言葉を交わすのはこの時が初めてだった
「ケイシ様、なにか飲まれますか?」
自分にはなにも決める権利もなく男達の言うがままに生きていくしかないのだと、リーシはわかっていた。
「なにもいらない..」
お茶を淹れようと背中を向けていたリーシにケイシは言った
「こっちを見てほしい」
リーシは慌てて振り返る
真っ直ぐな瞳で自分を見つめるリーシはその眼差しの強さに一歩も動く事ができないでいる
ケイシはリーシを見つめながら目の前まで歩み寄ってきた
「そなたに心を奪われた多くの男達と同様に俺もそなたに心を奪われた、だが!他の男達と同じではない!」
優しく頬を触りながらリーシの艶やかな黒髪を撫でながら
「この美しい顔がシワクチャになっても、 この絹のような黒髪が真っ白になっても俺の愛は変わりはしない!今も身を焦がすほど激しく愛している、だが20年後30年後のそなたを今よりもっと愛している!」
リーシは呆気にとられた、この方はなにを言っているの?かとキョトンとしているケイシは続けた
「年老いていくそなたを傍で見ていたい、一緒に年老いていきたい」
リーシは自分の目から涙が溢れている事に気づいた
(ザッハ様もとても優しくしてくださり幸せな結婚生活だった..でも、この方は..なにか違う)
リーシから溢れる涙を優しくケイシは拭い、次の瞬間抱き寄せた
「俺とそなたは運命だったんだ、シワクチャになり白髪になったそなたを今よりももっと俺は愛すると断言できる、よいか、俺の妻となってくれるな?」
結婚は決まっていたも同然だがリーシの口から聞きたかったケイシはそう聞いた
「はい」
リーシは初めて本当の意味での女としての喜びを知った
こうしてケイシとリーシの真実の愛の物語は始まった、そしてそれが後に生まれる愛する我が子たちにも継承されていく事となる