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午後の社内。
いつもなら軽口と笑い声が飛び交う一角。
——なのに今日は、少し違う。
「……おい」
デスクに肘をつきながら声をかける
デュセッカー。
「……」
返事がない。
視線の先。
窓際。
ぼんやり外を見ている
シェドレツキー。
「……」
完全に上の空。
「珍しいな」
デュセッカーが近づく。
「仕事はどうした」
「……」
反応なし。
「おい」
肩を軽く叩く。
「……ん?」
やっと反応。
「なんだよ」
「なんだよ、じゃない」
ため息。
「見てみろ」
デュセッカーが顎で示す。
少し離れた席。
そこには——
並んで資料を見ているジョンとジェーン。
距離が近い。
会話は少ない。
でも。
時々、視線が合う。
自然に。
「……」
シェドレツキーもちらっと見る。
「……おお」
「“おお”じゃない」
「いい感じだろ」
「だな」
あっさり認める。
「で?」
デュセッカーが少し目を細める。
「お前、昨日までならもっと騒いでたはずだが」
「……」
返事がない。
また窓の外を見る。
「……」
風に揺れる木。
通り過ぎる人影。
でも——
見てるようで、見てない。
「……あの人さ」
ぽつり。
「ん?」
「変だよな」
「誰だ」
「……ブライトさん」
ブライト・アイズの名前。
「……」
デュセッカー、無言で聞く。
「普通さ」
シェドレツキーがぼんやり言う。
「怖がらせたら終わりじゃん」
「……まあな」
「でもあの人さ」
少しだけ眉をひそめる。
「逃げないし」
「……」
「ちゃんと見てくるし」
「……で?」
デュセッカーが促す。
「……なんか」
言葉を探す。
「……気になる」
「……」
デュセッカー、確信する。
(ああ)
(こっちもか)
「お前」
少しだけ呆れた声。
「完全に引っかかってるな」
「は?」
「自覚ないのか」
「いや別に?」
即否定。
でも。
また窓を見る。
「……またチキン持ってったら」
「やめとけ」
即止める。
「いやでも食べてたし」
「だからなんだ」
「いやだって——」
言いながらも、どこかぼんやりしてる。
「……」
デュセッカーが小さく息を吐く。
そして、ちらっともう一度ジョンとジェーンを見る。
穏やかな空気。
完全に安定。
(あっちは順調)
視線を戻す。
窓際の男。
(こっちは——)
ぼんやり外を見る横顔。
いつもの軽さが少し抜けてる。
「……」
デュセッカーが小さく呟く。
「こっちも重症だな」
「なにが」
「気にするな」
「……?」
シェドレツキーは首を傾げる。
でもすぐにまた外を見る。
「……変なやつ」
小さく呟く。
でも。
それはもう、嫌な意味じゃない。
その少し後ろで。
デュセッカーは腕を組みながら、
(面倒なことになってきたな)
と、静かに思っていた。