そして翌朝。
10時ちょうどに、深澤はスタジオの前に立っていた。
「……おはようございます」
スタジオのドアを開けると、佐久間はもうそこにいた。
「おー、来た来た。真面目だな、10時ぴったり」
軽い口調で笑いながら、手に伝票を持たせる。
「はいこれ。荷物受け取って来て」
「……あ、はい」
深澤は言われるまま最寄りのコンビニへ向かう。
受け取った段ボールは思ったより軽い。
「戻りましたー」
「中身開けていいよー!」
不思議に思いながら開けると――目に飛び込んできたのは、ローションと箱入りのコンドーム。
一瞬、呼吸が止まる。
「……え」
背後から近づく気配。
振り返る前に、肩を軽く叩かれる。
「ご苦労さん」
佐久間が荷物をひょいと取り上げる。
「じゃ、次はこっち」
有無を言わさぬ口調。
深澤の腕を取って、奥のドアを開ける。
⸻
寝室はスタジオの奥にあった。
カーテンは半分閉じられ、薄暗い光が差し込んでいる。
ベッドの上には、さっき受け取ったばかりのローションとゴムが、当然のように置かれた。
深澤は足を止める。
「……さっくん、これって……」
「何って、見りゃわかんだろ?」
振り向いたその笑顔は、カメラの前の明るさと同じなのに、目の奥だけが光っていない。
次の瞬間、深澤の手首が掴まれ、ベッドに押し倒された。
「ちょ、ちょっと──」
抵抗の声はあっさり遮られる。
「昨日言ったろ。“知ってる”って。お前のこと、だいたい耳に入ってるんだよ」
佐久間はにやりと口角を上げ、深澤の腰に手を滑らせる。
シャツの裾がめくられ、指先が素肌に触れる。
深澤は営業スマイルももう浮かべられなかった。
「……っ」
「ほら、ちゃんと受け入れて。これが、お前の“仕事”だろ?」
喋りながらあっという間に下半身は脱がされ、腕は枕に縫い止められた。
逃げるには力が足りない。
「……やだ、まだ……」
言葉は弱々しく空気に溶ける。
「“まだ”って何?」
佐久間はあっけらかんとした声で、指先を冷たいローションで濡らす。
「ここに来た時点で、もうわかってたろ?」
指が滑り込む。容赦のない動きに、深澤は背を反らし、思わず声を詰まらせた。
「っ、く……!」
「なに? 痛い? それとも気持ちいい?」
軽口の調子は変わらない。
だが瞳だけは笑っていない。深澤の反応を逃さず観察し、支配する目。
「……さっくん、やめ……」
掠れた声は最後まで言えなかった。
強引に口を塞がれる。
「無駄なこと言うなよ。映像残したきゃ撮ってやろうか?」
冗談めかした調子で囁かれ、背筋が粟立つ。
腰に覆いかぶさられ、次の瞬間には、コンドームの袋が破られる音が響いた。
深澤は目を閉じるしかない。
ローションで無遠慮に広げられたところへ、硬さをもった熱が押し当てられる。
「ん……っ、待っ……!」
「可愛いな」
佐久間は笑いながら、一気に貫く。
狭い奥へ押し込まれる衝撃に、深澤は目を見開き、声を失った。
「……っ……あ……!」
息が乱れて、指先がシーツを掴む。
「声、我慢するの?」
軽快に挑発しながら、腰を揺らす。
「や……っ、さっくん、もう……っ!」
涙が滲んでも、動きは止まらない。
むしろその震えた声を聞くほどに、佐久間の動きは加速する。
「ほら、ここ好きなんだろ?」
奥を抉られるたび、身体は勝手に跳ねてしまう。
否定したくても、喉から洩れる声が裏切る。
「あぁ!そこ、ダメ!」
「素直じゃん。……なあ、気持ちよくされんの嫌い?」
耳元で笑われ、深澤はただ首を振ることしかできない。
「あ……あぁ!! 」
全身がしびれるように震えた瞬間、熱いものが注がれるのがわかった。
「……っ……はぁ……」
かすれた息だけが残る。
「な?言ったろ。最後まで面倒見るって」
佐久間は汗を拭いながら、カメラの前と同じ笑顔で言った。
コメント
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これ…🩷💜ですか??🫣🫣