テラーノベル
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会議室のドアが静かに閉まる。
部屋には重たい空気だけが残っていた。
────────
💙side
「君の意思は変わらない?」
社長の声が静かに響く。
机の上には、一枚の書類。
サインを書けば。
もう後戻りはできない。
ペンを持つ手に力が入る。
(これでいい)
母のため。
実家のため。
何度も自分に言い聞かせてきた。
そうしなければ、この決断はできなかった。
ゆっくりと名前を書こうとした、その時。
「渡辺」
社長が翔太を見つめる。
「一つだけ聞かせてほしい」
💙「……はい」
「Snow Manを辞めたいと思ったことはあるか?」
翔太は顔を上げた。
迷わなかった。
💙「ありません」
「一度も?」
💙「一度もです」
即答だった。
社長は静かに頷く。
「そうだと思った」
少しだけ間を空けて続ける。
「だったら、この書類には今日サインしなくていい」
💙「……え?」
「三日だけ時間をやる」
「本当にそれしか方法がないのか」
「最後にもう一度考えなさい」
翔太は言葉を失った。
────────
❤️side
午後六時。
仕事はとっくに終わっている。
それなのに。
翔太から連絡はない。
スマホを見る。
画面は静かなまま。
(遅い……)
胸騒ぎが止まらない。
宮舘はメッセージを送る。
《終わった?》
既読は付かない。
数分待つ。
返事はない。
今度は電話を掛ける。
『おかけになった電話には出ることができません』
留守番電話。
思わず息を吐く。
❤️「どこ行ったんだよ……」
その時。
スマホが震えた。
翔太
画面を見ると同時に電話へ出る。
❤️「もしもし」
💙『……もしもし』
その声を聞いた瞬間、肩の力が抜けた。
❤️「よかった」
💙『ごめん』
❤️「今どこ?」
💙『まだ事務所』
❤️「そこ動かないで」
💙『え?』
❤️「今から行く」
💙『いや、大丈夫』
❤️「大丈夫じゃない」
少しだけ強い口調になる。
❤️「十五分」
❤️「待ってて」
電話を切る。
財布とコートだけを持って家を飛び出した。
────────
十五分後。
事務所の前。
翔太は一人、ビルの入口で夜空を見上げていた。
遠くから足音が聞こえる。
振り返ると。
宮舘が少し息を切らしながら走ってきた。
❤️「……間に合った」
💙「走ってきたの?」
❤️「タクシー降りてからね」
少し乱れた前髪を整えながら笑う。
翔太も思わず笑ってしまう。
💙「何してんだよ」
❤️「迎えに来た」
💙「だから大丈夫だって」
❤️「俺は大丈夫じゃない」
真っ直ぐな目だった。
その一言だけで。
翔太は何も言えなくなる。
❤️「少し歩こう」
💙「……うん」
二人は並んで歩き始めた。
夜の街は静かだった。
昔から。
悩み事がある日は、こうして何も話さず歩くことが多かった。
翔太も。
宮舘も。
無理に言葉を探さない。
その時間が心地よかった。
三十分ほど歩くと。
見慣れた景色が広がる。
💙「……ここ」
そこは。
子どもの頃、何度も遊びに来た海だった。
電車を乗り継ぎ、帰りは歩きながら他愛もない話をしていた場所。
デビュー前。
落ち込んだ日も。
夢を語り合った日も。
何度も訪れた、二人だけの思い出の場所。
❤️「覚えてる?」
💙「忘れるわけない」
波の音だけが静かに響く。
二人は海を眺めたまま、何も話さない。
でも。
その沈黙は苦しくなかった。
宮舘は隣に立つ翔太をそっと見つめる。
(今日こそ)
(翔太の本当の気持ちを聞きたい)
そう心に決めながら、ゆっくりと口を開こうとしていた。
コメント
2件
社長ムスカ?w りょた、まじでいけよ、本当に 伝えろよ?
第13話、読み終えました。会議室の重い空気から一転、宮舘さんが「迎えに来た」って駆けつけるところ、本当にぐっときましたね。あの「俺は大丈夫じゃない」の真っ直ぐな目が、翔太さんへの想いの深さを物語っていて。最後の海辺の無言の時間も、お互いをわかりあってるからこそ成立する沈黙で、すごく温かい気持ちになりました。この後の翔太さんの本当の気持ち、どう伝わるのか続きが気になります!
絶対辰哉
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