テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
引っ越し準備は順調に進んでいる。退去日も引っ越し日も決まったし、電気ガス水道ネットの切り替え・契約も一段落した。
夕飯を食べながら、千歳と何となく話した。
『引っ越し、あとなんかやることあるかなあ』
「今できることはこれくらいかな。トラブル起きなきゃいいけど」
『あとは物減らすか……ゴミも当日までに何とか出しとかなきゃなあ』
「そうだね。あと、新しい家の家具の配置とかも決めとかないと」
『そうだな、また配置図作るか』
「配置図で、ひとつお願いなんだけど」
『なんだ?』
千歳は不思議そうにした。そうだな、この部屋に引っ越しするときは配置は千歳の好きなようにしていい、って言ったしな。
「あのね、俺仕事リビングでやりたいんだよ。だから、机リビングに置かせてくれないかな? すみっこでいいから」
『自分の部屋じゃなくていいのか?』
いぶかる千歳に、俺は苦笑して言った。
「千歳の目がないと、無限にサボりそう」
『そんなことないだろー、お前真面目だし』
千歳は笑ったが、俺はリビングで仕事したい本当の理由を言わなかった。
一人で……千歳がいない空間で仕事するの、寂しいんだ! 俺!
千歳がそばで家事したり仕事したりの空間にいたい。理由はそれだけ。恥ずかしいけど……。
#幽霊
凛道桜嵐 新
193
#日常
がくじゅつてき・あかげ
22,155
わーい
41
485
コメント
1件
寺島あおいです🌷 849話、読ませていただきました。 「千歳の目がないと、無限にサボりそう」って表向きの理由にして、本当は「千歳がいない空間で仕事するの、寂しいんだ!」って心の中で叫んでる主人公が、もう愛おしくてたまらなかったです。ああ、こういう不器用な本音をさらけ出せない2人の距離感、すごく好きです。 長く一緒にいると、こういう「一緒の空間にいたい」って気持ちがかえって言い出しづらくなるんですよね。でもちゃんとリビングに机を置かせてほしいってお願いできるところが、じんわり温かい。引っ越し準備の合間の何気ない会話なのに、2人の関係性がぎゅっと詰まっていて、思わず頬が緩みました🤍