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37 ◇見舞い先での会話
「片想いの辛さとはまた違うっていうか、一時でも
寵愛を受けていたのにいつの間にか愛されないようになるなんて、
私でも発狂するわ。
『私の気持ちを返せー』って、バットで相手を殴りつけるかも。
人の気持ちを軽々しく弄んではいけないのよ」
「うん……分かる」
「励ましじゃなくて、やなこと言ってごめんね。
疲れるといけないから今日はこれで帰るね。
次は早く帰れる日に夜にでもまた様子見に来るから。
養生して元気になりますよう」
「サンキュー。楽しみに待ってるよ」
「それじゃあまたね」
私は彼が元気になることを願って、笑顔で部屋を出た。
(刺されたと聞いた時から、もう一度夫とやり直してもいいかなと
前向きな考えになっているひまりだったが、しばらくはそれを誰にも
言うつもりはなかった。
何が理由で、その感情がなくなってしまうかは、分からなかったから)
夫が自宅に帰れる頃、まだ自分の中にやり直したいという感情が
残っていれば、その時考えようと思ったのだ。