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「あ、なに?」
やっと出てきた言葉を返すけど、何と言うか、麗華はどこまでもオロオロとして、こんな姿を見るのは初めてだった。
「……ごめんなさい、何でもないの」
私の前をスッと通り過ぎて行ったかと思えば、靴箱前でも「あ、ごめんなさい」と弱々しい声がして、何ごとかと覗き込むと、肩を抑える莉乃に、麗華がペコペコと頭を下げていた。
「気を付けてよねぇ!」
莉乃の尖った声に、関係ないはずの私の心臓がキュッとなる。
莉乃は三人の中で一番性格がキツくて、自分より下、あまりこうゆう言い方はしたくないけど、スクールカーストの下だと思った子には、こうゆう物言いになる。
麗華は顔が整っていて、制服とかもキレイに着こなすけど、友達という後ろ盾がないから、クラスの中で下と認識されてしまい、こんな扱いになっている。
あの時、みんなと仲良くなっていたら、こんな扱いされることなんてなかったのにね。
何も悪くない麗華にモヤっとしてしまった私は、莉乃の悪態に身を縮めてしまい、グループに戻るタイミングを逃してしまった。
「まあまあ、それよりさっきのハナシ」
「そうそう、一緒にいるとヤバいよねぇ!」
莉乃の苛立ちを宥めるのはいつも紗枝で、それに相槌を打つのが真希だと決まっている。
いや、そうなんだけど一体、何のハナシ?
心臓からドクドクと音がする。
これ以上、聞いてはいけない。
もう一人の私が、警鐘を鳴らしてくる。
「ねー、なんでアイツなんかグループに入れたの? 声かけたの真希だよねぇ? 私ら中学メンバーの三人でいーじゃん!」
「えっ? あー、なんとなくぅ?」
「私らまで下に見られるじゃん! ここまでツルんでたら今更切れないしぃ。あー、ダルっ!」
「あ……、ごめん」
「もう、いいや。帰ろっ、紗枝!」
莉乃の一声で空気が悪くなった三人は、莉乃の隣にはいつも通り紗枝が、その後ろに真希が少し離れて歩いていくのをボンヤリと眺めていた。
……合流しようとしなければ良かった。そしたらこんなホンネ、「知らなくて良かった」んだから。
いや、違う。「聞かなくて良かった」の間違いだった。
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