「花篤家系」
※()の中はその前の言葉のふりがなです。
授業中、今は静かに社会の授業を受けて居る。受けて居ると言っても全く先生の話は聞いて居ないのだが。僕にとって授業とは、只(ただ)黒板に書いて有る通りにノートに文字を写すだけの1時間なのだ。此れ(これ)では供給が無い。だがやらなければ居場所が無いのも現状で有り、何うにも(どうにも)出来ないのだ。
「―花篤(かとく)さん、墾田永年私財法とは何か答えなさい。」
気付くと先生に指名され、皆からの視線が僕に集まっていた。此んなのは簡単に答えれば良いのに、何故此処迄も(なぜここまでも)学級が騒騒(ざわざわ)と騒ぎ立てるのだろうか。一体、自分は何んな(どんな)生活をしていたのだろうか。先が思いやられる。
「はい、―墾田永年私財法とは、西暦743年に前の三世一身法の時、国への返却が近付くと其(そ)の土地を耕さなくなるのを防ぐ為に開墾した土地を永久に自分のものに出来るという土地制度です。しかし、墾田永年私財法を作った所為で(せいで)公地公民が崩れてしまいました。」
黒板に書かれている内容を見るに、舐められて居たのだろう。此の問題は中学受験にも出てくる程簡単なもので、中学校二年生に出す問題では無い。本当に自分は何んな行動をして生活していたのだろう。何処迄(どこまで)したら此処迄(ここまで)舐められるのだろうか。まぁ容姿を見れば理由は解るが。何故なら右頬には「SOS」という文字が書かれていたり、左耳には「T」という文字の形をしたピアスが付いていたりするからだ。 ちなみに「T」の字は「辰哉(たつや)」の「T」であり自分の名前で有る。其れにしても流石に自分のイニシャルをピアスにする人は見た事が無いし、右頬に「SOS」と書いている人も見た事が無い。其のおかげで僕は未だに自分を僕に出来る自身がない。其程(それほど)、自分が可笑しくて痛い奴だったと解り、怠く(ダルく)なって来る。本当に自分は僕では無い気がする。
本当におっかない。
放課後、何うやら自分は友達も居ない様で仕方無く一人でぶらぶらと本屋に寄り道して帰った。此の家に寄り道とは許される事なのだろうか。だが僕が自分に成る代わりに自由にして良いと言われたから、良いのかもしれない。だがそれも、「自分に成る」というものが何処迄のラインなのかに依るが。 ―帰ってからで良いか。別に考えても変わる訳では無いのだ。考えるのは諦めよう、そう思ってまた帰路に着いた。
僕の家は豪邸だ。前の家とは違うとても大きな家だ。 ガラガラと大きな音を立てて門を開けると庭に出る。庭はとても綺麗で沢山の花が咲いていた。入って来た時言われたのだが、此の花には触るのが駄目らしい。 毒が有るのか、それとも手入れに相当力を入れて居るのだろうか。
門から玄関まで伸びているコンクリートの道の先には、綺羅びやかな本邸の扉が有る。玄関を上がると目の前に大きなホールが有り、両側には此の扉から来た人を迎え入れるように幅が広く、赤いカーペットが敷かれている大きな階段も有った。今更ながら本当に豪邸だと思った。
僕は其の右側の階段を登り、最上階の3階へ行き一番奥の部屋へと向かう。其処が僕の部屋だ。
僕の部屋は随分と広い上に2つ有る。1つは書斎の様なもので、扉から右側の壁の奥の方に文房具や本立てが置いて有る机が有り、其の周りには壁を埋め尽くすように沢山の本棚が有った。しかし、本棚には手を付けていない様で、埃を被っていた。其れも其のハズ、此処に有る本は何れも読んだものだからだろう。聞いた話では辰哉は僕と同じで読書家だったと聞いている。
すごい中途半端なところで1話は終わりです、 つづく
ここまで読んでくれてありがとうございます!!
そういえば此の話、小4の頃から温めてたんですよね。あと漢字に強いのは今月漢検2級受けるからです。要するに準2級持ってます。あと京極夏彦読んでるからです。そういえばこの作品今までの作品で一番長いですよね!溜め込んでたので2頁(ぺージ)に1話ずつ書こうと思ったんですよ、そしたら意外と量有りました!
そろそろ宿題やらないとヤベェ…ってことでさよならです!面白かったらハートとコメントお願いします!2話は今日か来週に上がると思います!お楽しみにしててください!!