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#三角関係
霞花怜
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#イラスト部屋
寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
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「でも……もし黒瀬さんが求めているものが、僕じゃなくて『朝倉奏』に向けられた優しさでしかないのなら……僕は……っ」
言葉にならなかった続きを、瑞樹はすべて聞き取ったようだった。
いつも浮かべていた余裕のある笑みが消え去る。瑞樹は吸い寄せられるように畳へ膝をついたが、すぐには手を伸ばさなかった。
「すみません……そんなに思いつめさせていたなんて……」
その声は、痛々しいほど震えている。
「あなたが朝倉奏だったから、俺はあなたを見つけることができました。ですが……俺が今、愛しているのは『朝倉奏』の輝きではありません。目の前で悩み、苦しみながら、それでも必死に生きて……俺を必要としてくれた柊吾さんです」
瑞樹は、柊吾の手元へゆっくりと視線を落とした。
「俺のことを頼ってくれたから好きになったんじゃない。あなたが誰にも頼れず、ひとりで壊れそうになっているのを見て、もう絶対に一人にしたくないと思ったんです。……それが正しい愛し方なのかは、まだ分かりません」
自分の醜いところも、勝手な想いも、瑞樹はすべて隠さずに差し出してくる。その言葉に嘘、偽りは一切感じられない。
躊躇いがちに、言葉を選びながら、それでも真っすぐに柊吾を見つめ、切なげに思いを伝えようとしてくれる。
「ただ、あなたを誰かの代わりにしているわけじゃない。それだけは……信じてほしい」
伸ばされた瑞樹の手が、肌に触れる寸前で静かに止まった。
ほんの少しの距離を隔てたまま、瑞樹の指先がかすかに震えていることに気付いて、胸がぎゅっと苦しくなった。
(そっか。黒瀬さんも、怖いんだ……)
自分が傷つくことなんて何一つ恐れていない。ただ、このまま柊吾を完全に失ってしまうことだけを恐れているのだと、その痛々しいほどの指先から伝わってくる。
嘘や計算ではない、ただ『柊吾』という存在を失いたくないと必死に縋ってくる男の覚悟と不安。それに触れた瞬間、胸の奥から込み上げてきたのは、息が詰まるほどの愛おしさだった。
怖さが完全に消えたわけじゃない。裏切られるかもしれないという恐怖は、まだ胸の底にくすぶっている。
けれど——この愛おしい熱を、自分に向けられた切実な想いを、もう二度と失いたくはなかった。
震える指をゆっくりと動かし、柊吾の方から瑞樹の手へ重ねていく。
「……信じます」
「――っ」
重ねられた指先から、瑞樹が息を呑む気配が伝わってきた。
まさか受け入れられると思っていなかったかのように、瑞樹は驚きに目を見開く。それから、堪えていた感情が決壊したように、泣きそうなほど愛おしそうな顔をゆっくりと歪めた。
コメント
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いやあ……第95話、すごくよかったです……! 瑞樹くんの「俺が今、愛しているのは『朝倉奏』の輝きじゃない」って台詞、胸に沁みました。それまでの柊吾さんの不安がちゃんと報われる、この上なく優しい告白だったなあ。最後の指先の震えとか、お互いがお互いを怖がってるのに触れ合いたくて仕方ない感じが丁寧に描かれていて、編集者としても思わず書き留めたくなりました📝 かんなさんの心理描写、本当に繊細ですよね……!