.
「怪しい色してるなぁ……本当に何やってるんだろ私」
ビーカーに注がれた灰色の液体を揺らし、溜息を吐く。
まあ良いや。之は何処かに捨てておこう。
と、ビーカーを持って立ち上がった_その時。
「……っ、太宰さん」
医務室へ入って来た、我らポートマフィアの五大幹部・太宰治。
彼の突然の登場に、ひゅっと息を飲んだ。
これだけで圧が凄い。
「…何だ君か。それより、良いモノ持ってるじゃあないか。頂戴」
一息でまとめて云う彼。
理解するのに数秒かかった。
「…え? 之が飲みたいんですか……?」
私の手にある、先程適当に混ぜた液体。
私がそう尋ねると、太宰さんはこくっと頷いた。
「死んじゃうかもですよ? 本気なんですか…?」
「それが目的だから。さ、早く頂戴」
「あっ…」
__貴方のような人は死なせられない。
そう云おうと口を開くも、声を出す間もなく私の手から奪われた。
そして太宰さんが、ビーカーに口を付け、身体に流し込んだ。
本当に飲むとは思っていなかった。私は目を見開くも、すぐさま彼の腕を掴んだ。
「太宰さん!? 本当に飲んだんですか!?」
「うん。意外と美味しかったよ。君才能あるんじゃない?」
「いやいやっ、そう云う問題じゃないですよ!! それに全部飲んでますし…! 早く首領の処へ行きましょう!!」
彼の腕を引っ張って、急いで首領の元へ走る。
____そして、次の瞬間。
「……待って」
後ろから彼の声が聞こえる。
然し今は待ってなんか居られない。
「ねぇ、待ってってば」
細い声がし、一瞬だけ止まって彼の方を振り返る。
「__っ……!?」
すると、形勢逆転し私が腕を引っ張られる。
バランスを崩してしまい、彼の方に倒れ込む形になる。
これは拙いと思い、ぎゅっと目を瞑ると__
「何だか、君の事が凄く愛おしく見えて来ちゃった」
頭上から、爆弾発言が落とされた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!