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◻︎闇鍋♡
「そんなことがあったんですか。その女性は、若い子をつかまえて、どうするつもりだったんでしょうか?男の僕には理解できませんが…」
雅史と成美の話を、雪平さんに話してみた。
単純に、雪平さんならどう考えるか?それを知りたかったからだ。
「おそらく、年齢はあまり関係なかったのかもしれませんね。その男の子は優しいので、必死にすがってくる女性を邪険にできず、お互いがお互いに依存しあってることに気づいてなかったんだと思います。もちろん、本気で愛し合ってるならそれはまた話が別ですが、そうは答えなかった…」
「子どもがいると、女としてより母として父親になる男を探していた、ということでしょうかね?」
「そうかもしれませんね」
「女性は、女であったり母であったり妻であったり…色々変化する生き物なんですね」
「男性は違うんですか?」
「どうでしょう?うちには子どもがいないので、わからないですね」
「……」
私は、なんとなく聞いてはいけないことを聞いてしまったようで、黙ってしまった。
「美和子さん?」
「はい?」
「これでは顔も見えませんから、少し明るくしましょう」
「イヤです」
「ダメですか」
「明るくなって現実を見てしまうと、残念に思いますよ、きっと」
「そんなことはないですよ」
「私が、自分に残念だと思うからです。見えないなら私は私の中でとてもいい女でここにいる、と妄想できるので」
「妄想、ですか?」
「はい、こうしている今は夢のような時間ですから」
闇鍋のような交わりのあと、雪平さんの腕枕に甘えながらとりとめもない話しをするこの時間は、私にとっては現実から離れられる夢の時間なのだ。
せめて、夢の中では、いい女でいたいと思ってしまう。
「仕方ないですね。でも、眠ってしまうといけないのでアラームをセットしておきましょう。あと1時間、いいですか?」
「はい」
「アラームといえば、学生の頃は二つ使ってましたよ、起きるまで交互に鳴るように。今は朝寝坊ができなくなりました」
「そんな年なんですね、私もです」
雪平さんの手のひらが、私の髪と唇を撫でた。
背中がピクリとして、甘い感覚が流れた。
「そんな年で、美和子さんに出会えてよかった…」
「私も…」
「まだしばらくは、僕の相手をしてくださいね」
「こちらこそ」
ふっと吐息が顔にかかり、そのまま私の上に覆い被さる雪平。
「もう一度…」
「え?」
うっわ!
闇鍋おかわり!!