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雨の日に。

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雨の日に。

7 - 初めての気持ち。

♥

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2023年09月28日

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「気持ち、楽になった?」

「ん…」



キヨくんは何も言わず、俺の背中をポンポンと叩いてくれた。されたことがないから戸惑って、それでも安心できたのは何でなんだろう。

でもそれと同時にどこか落ち着かない気持ちになる。自分の耳元で囁く低い声が、体の熱がそうさせてるのかもしれない。

ちょっとドキドキして、心臓が少しだけうるさくなった。

なんだろう…















しばらくして体が離れた。そっとキヨくんの顔を見ると、なんとも温かみのある表情をしていた。



「キヨくん…」

「…なんだよ」

「ありがと」

「…おう」

「また来てね、お兄ちゃん」

「誰が兄だよ!!」



そうからかうと、さっきまでの笑顔に戻っていた。



「ほら、兄弟みたいだなって」

「俺のが少し年下だから、レトさんが兄だよ」

「そっか」

「出来の悪い兄だなぁ」

「急に口悪いな!?」



あの雰囲気が嘘のように、キヨくんも俺をからかう。



「そろそろ寝るか」

「そうだね、もうこんな時間…」



時計に目をやると、時刻は夜中の2時を回っていた。いつもならもうとっくに寝付いている時間だ。初めての来客で浮かれていた俺は、日付をまたいでいるのに全く気が付かなかった。














床に布団を敷き、キヨくんの寝るスペースを作ってやる。あいにくベッドはシングルだからね。



「俺もベッドがいい」

「布団じゃ嫌?」

「そうじゃないけど…」

「ごめんキヨくん、俺がベッドじゃないと寝れないの」

「ああ、なら仕方ないか」



そう言って寝転がりながらスマホの画面を見る。どうやらアラームをセットしているみたいだった。せっかくの休みなんだから昼まで寝ればいいのに。



「レトさん」



座面に顔を向けたまま、俺の名前を呼ぶ。



「寂しいなら一緒に寝ようか?」



(え?なんて言った?)



「泣き虫なんだから、ね?」



ちらっと顔を見るとバチッと目が合って、バカにしたような顔で俺を見ていた。



「うっ、うるさいな!」

「どう?」

「絶対嫌や!!もう寝る!!」



夜中なのに大声でキヨくんの誘いを断った。正直なところ、嫌ではなかった。でも…



「はいはい、おやすみ」



さっきのあの妙な雰囲気に飲まれてしまいそうな自分がいて、困惑した。あんなことされてドキドキしたのも初めてだけど、それを許してしまう自分にも疑問を抱く。いったい何がそうさせたのか、考えていると目は冴えて、全く寝付けなかった。

久しぶりの人肌で脳がバグった、そう思うようにした。

…キヨくんはというと、静かに寝息を立てている。俺のことなんてお構いなしにズルいやつ。








To Be Continued…

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