テラーノベル
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襟元を掴まれている。
距離は、ほとんどゼロ。
チャンスの顔が近い。
近すぎるくらい。
なのに。
俺は、まだ笑ってる。
「続き、見せてよ」
そう言ったあと。
ほんの一瞬。
空気が変わった。
――あ。
思った。
今の。
来る。
チャンスの目が変わる。
今までの、少し余裕のある感じじゃない。
完全に。
本気の目。
それ見た瞬間。
心臓が一回、強く跳ねる。
ドクン。
「……」
やば。
一瞬だけ、息が詰まる。
でも。
目、逸らせない。
むしろ、逸らしたくない。
チャンスが近づく。
さらに。
もう触れそうな距離。
襟元を掴む手に、力が入る。
その圧で。
なんか、頭の奥がじわっと痺れる。
「……エリオット」
低い声。
さっきと違う。
完全にスイッチ入ってる。
それ聞いた瞬間。
ゾクッとする。
背中じゃなくて。
もっと奥。
内側から来る感じ。
……あ。
俺。
これ。
待ってた。
気づく。
一瞬で。
昼からずっと。
ネクタイ引きたかったのも。
煽ってたのも。
全部。
これ見たかったからだ。
チャンスが本気になる顔。
それを引き出す瞬間。
それを見てる今。
ドキドキしてる。
でも同時に。
妙に落ち着く。
「……チャンス」
声が少しだけ低くなる。
さっきより、ちょっとだけ真面目に。
でも。
やめない。
やめる気もない。
むしろ。
少し笑う。
「やっと」
チャンスの目がわずかに細くなる。
「本気じゃん」
その瞬間。
自分でも分かる。
完全に火つけた。
でも。
もう引く気はない。
むしろ。
一歩踏み込む。
「ほら」
距離、ゼロ。
「それ見たかった」
ゆゆゆゆ
#Paycheck
ゆゆゆゆ
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