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夜。涼ちゃんはソファで眠っていた。
呼吸はまだ浅いけど、さっきよりは落ち着いている。
若井は、少し離れた椅子に座ってスマホを見ていた。
画面が光る。
元貴からだった。
――いつ戻れそう?
若井は一度、画面を閉じる。
涼ちゃんの寝顔を確認してから、短く打つ。
――しばらく休みほしい
すぐに返事が来る。
――涼ちゃん体調戻った?
若井の指が止まる。
ほんの数秒考えて、正直に送った。
――今日また倒れた
既読。
少し、間が空く。
――そっか…
――もうそろそろいいんじゃね?
――若井まで倒れたらどうするの?
責めているわけじゃない。
心配でもある。
でも、線を引く言葉だった。
若井は、スマホを握ったまま、息を吐く。
(そうだよな)
誰かが無理をし続ける形は、
長くは保たない。
分かってる。
分かってるけど。
若井は、涼ちゃんを見る。
眠りながら、無意識に指先を握りしめている。
その手をほどく代わりに、
若井はスマホに短く打った。
――うん
――わかった
――早いうちに戻る
送信。
それだけ。
スマホを伏せると、
胸の奥に、静かな重さが残った。
若井は立ち上がって、
そっと毛布を掛け直す。
「……すぐ戻るって言ったのに」
誰に向けた言葉か、自分でも分からない。