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トリコの過去の調査
猫にもう一度会いに行くとしっかり話せたらしく、ロボに頼み事をしてきた。
“ねぇ ロボットちゃん なぜ ケダモノがことばを はなせるのか しりたくない?
おねがいをきいてくれたら なんでも しつもんに こたえてあげちゃうわ
じつはいま とてもこまっていることがあるの・・・ ロボットちゃん きいてくれる?
いまからつたえる レシピで あるものをつくってほしいの
つくれたら ここじゃなくて けんきゅうじょに もっていって
かんせいひんをみれば かれらなら いみがわかるはず きっとあのこを すくいだせるわ
だいじなあのこを すくうために ロボットちゃん よろしくね”
ロボは現実世界でスクリューをクラフトして研究所に届けに行った。
「待っていたわ。あの子に頼まれたものを持ってきてくれたのでしょう?
うん、バッチリ。
天才と称された設計技術は健在ね。
この装置を利用すればワクチンを精製可能よ。
・・・材料として大量の生体が必要になるけどね。
まだ発症前のあの子の娘は材料にはならない。
でも、あの子自身は・・・間違いなく・・・
娘たちのために犠牲になる覚悟で装置を完成させるなんて。
フフッ良い親ね・・・
私たちも見習いたいわ。
私たちも時が来たら必ず・・・」
女は意味深な事を言ったきりだったが、願いを叶えることができた。
その後、研究所の女から頼み事をされた。
「久しぶりね野良ロボット。
もしかしてまた誰かの手助けちゃうかしら?
貴方が持ってきた装置は正式に導入されて、活躍中よ。
まだ試験段階でワクチンは作れていないでしょうけど、いずれ完成するでしょう。
それまでにどれほどの命が犠牲になるかは分からないけどね。
・・・貴女に以前依頼したあの子も、ワクチンの材料になったわ。
気付いてたかも知れないけど、あの子は元々人間で研究員だったの。
でも獣病に罹って、娘ともども施設に入れられていたのよ。
娘まで入れられたのは、獣病は遺伝する確率が高いから。
もっとも・・・あの施設で暮らし続ければ誰だって感染するけどね。
・・・ともかく、あの子が娘を救うには命を張るしか無かった。
でも、やっぱり未練はあったのでしょうね。
私宛にこんなレシピを残していったのよ。
野良ロボットも見てくれる?
ありがとう。できたらあの子の娘に渡してあげてちょうだい。
不憫なあの子の最期の願いくらい・・・叶えてあげたいからね」
ロボは猫のぬいぐるみをクラフトしてサヤに届けに行った。
「ロボットさん?わたしにプレゼント?
え!?これって・・・
ロボットさん・・・どこで拾ってきたの・・・?
作ったって・・・そんなのおかしいよ・・・だって・・・だって、この子は・・・
ママが昔、わたしをモデルにして作ってくれたぬいぐるみだもん・・・!
この猫ちゃんを知ってるのは、ママしかいないんだもん!
・・・ねえロボットさん。このぬいぐるみの作り方、誰から教わったの?
もしかして、施設にいたあの猫ちゃんから?
やっぱり・・・そうなんだね。
わたし、最初から何となく分かってたんだ。
だからいっぱい甘えたし、いつも傍にいたくて、ずっと面倒を見てた。
でも、心のどこかでママが猫ちゃんになってる訳ない!と思って・・・
一度もママって呼んであげられなかった・・・
ママは姿が変わってもわたしを愛してくれてたのに・・・わたしは・・・わたしは・・・
ううっ・・・ごめんなさい・・・ママ・・・ごめんなさい・・・」
「・・・ロボットさん、ずっと側に居てくれてありがとう。
わたし、もうめげない・・・
だってママは最期まで強く生きていたから。
わたし、病気を治してママみたいな立派な大人に成ってみせるんだ。
今までありがとうロボットさん。
これからも見守っててね」
ロボは女に報告した。
「そう・・・喜んでくれたのね。正直ホッとしたわ。
私たちにも同い年の娘がいるからね、他人事に思えなかったのよ。
娘の名前?トリコよ。世界で一番可愛い子。
今どこに居るのかって?
ここには居ないわ・・・あの子は隔離されてるの。
研究のためなら非道な実験も辞さない、あの第1研究所にね。
理由・・・?子供を研究所に入れる理由なんて一つよ。
それは人体実験の材料にするため。
このまま実験の材料にされ続けたら、トリコは死んでしまうわ。
その前に私たちが必ず研究所から救い出してみせる。
そう・・・何をしてでも必ず、ね。」
★トリコの過去がわかった!「第1研究所」になにかあるかもしれない
[おお、ロボットさんどうしたんですかそんなに慌てた様子で]
ロボは急いでファクトリーAIに報告しに行った。
[え!トリコちゃんの情報が聞けたんですか!
・・・・・・
トリコちゃんは、人間達に実験材料にされていたんですね・・・
でもこれは大きな前進です
トリコちゃんがどんな実験を受けていたのかが分かれば、トリコちゃんの不可解な症状の原因が分かるかも知れません
そのためにはトリコちゃんが実験を受けていた研究所の場所がわかれば良いんですが・・・
・・・えっ以前のテラリウムですか?
でもあそこのメモリーシャードは以前ロボットさんが既に体験したのでは・・・?
なっ、なんと!!
わたしの声で途中で目覚めたから最後まで見てなかったんですか!
これは・・・盲点でしたね
そもそもあのテラリウムは、わたしたちがトリコちゃんと初めて会った場所です
あそこで菌糸まみれになったトリコちゃんをロボットさんが見つけたんでしたよね
つまり、あの地域でトリコちゃんが実験を受けていた可能性は高いとは思っていました
ただ、既にメモリーシャードを体験していたと思い込んでいたものですから・・・
詳しい調査をする候補から外してしまっていました・・・
わたし・・・一生の不覚です!!]
ファクトリーAIは泣いてしまった。
ロボは首を振って慰めた。
[うう、ありがとうございます、ロボットさん・・・・・・
ロボットさんがはやく、途中までしかメモリーシャードを見ていないと言ってくれたらなんて・・・
わたし、いわないですぅ!]
ロボは震え上がった。
[では、次の目標は以前のテラリウムへ調査に行くことに決まりですね]
ロボが旧テラリウムに到着すると、メモリーシャードを体験することができた。
「チーフ、被検体T-065の準備ができました」
「ああ・・・実験を開始しろ」
研究所の真ん中にトリコが寝かされている。
「侵蝕率74%、体内培養の速度が予想を上回っています。
これ以上は体が持ちません!中止にしましょう!」
研究員がそう叫んだが、チーフは頷かなかった。
「中止になどしない。良いから黙って実験を続けなさい。
その実験用個体は丈夫だから、簡単には壊れないよ。
ただし、壊さないようにだけ要注意だ。
まだまだワクチン作りに貢献してもらわないとね」
「・・・はい」
ロボはテラリウムに帰還し、ファクトリーAIに話した。
[おおお、流石はロボットさん!
これでVRRaTでトリコちゃんのことを調べることができます
・・・トリコちゃんの過去を見るのは少し怖い気がしますね・・・
ひどいことをされていないといいのですが・・・
いやいや、怖がっていても仕方ないですね!
過去のトリコちゃんよりも今のトリコちゃんです!
わたしたちは少しでもトリコちゃんに幸せに長生きしてもらうために頑張っているんですから!]
VR世界でもトリコの情報を集めることにしたロボは、第1研究所に向かった。
そこで男に話しかけた。
「ああ・・・困ったことになったなぁ
このままでは大切な命を救えない・・・
どうすれば良いんだ・・・」
「わたしはドクターガイ。ここでは唯一の医者だ
実は今流行り病の特効薬を作っていて、やっと完成しそうなんだよ
だが、悲しいことにシェルター内の物資では賄えない素材がある
なぁエラー個体君、素材を取ってきておくれよ」
ロボは頷いた。
「ありがとう、エラー個体君!
さて、早速だが集めてほしい素材のデータを転送しておいた
頑張ってくれたまえ
もしクラウドAIに怒られても無視するんだよ?やつには心がないからね」
ロボは一旦現実世界に戻り、素材を調達しに行った。
素材の調達の途中に野良ロボとの戦闘になり、新たなメモリーシャードを手に入れることができた。
ドクターガイに素材を渡しに行くと、大変喜んでくれた。
「やってくれたかエラー個体君!
素晴らしい活躍だよ!
これで命が救われる!生まれることすら許されない悲劇を減らせるんだ!
早速特効薬の完成を目指して子どもたちに与えてみよう
ふふ・・・結果がたのしみだねぇ
ん?エラー個体君は子供を探しているのかい?
はじめに言ってくれたまえよ
ふむ・・・名前はトリコか
・・・聞き覚えがないな、力になれなくて申し訳ない
ただ、この施設にはたくさんの子供が居るし、手がかりはあるかも知れない
君には借りができた・・・もし手がかりを見つけたらまた報告するよ
人類の尊い命を守っていくために今後も助け合っていこう!」
ドクターガイからは有益な情報は得られなかった・・・。
その後、またドクターガイから頼み事をされた。
獣病のワクチンの材料が足りないらしい。
ロボにまたシェルター内で賄えない材料を取ってきてほしいとのことだった。
ロボが材料を取ってくると、また大喜びしてくれた。
「私についてきてくれ。君の用意してくれたものを早速使わせてもらうよ」
お礼に研究所の中に入れてくれるという。
ドクターガイについていくと、トリコが居る研究室に着いた。
「侵蝕率74%、体内培養の速度が予想を上回っています」
前にメモリーシャードで見た光景が広がっていた。
「どうだい?エラー個体君のお陰で実験は順調だよ
この実験用個体がワクチンの培養にとても便利でね
このまま行けば近いうちに獣病のワクチンは完成する
問題は・・・この個体が流石に衰弱してきたというところか・・・」
ロボはトリコの母親のところに向かった。
そして、トリコのことを話すと母親は早く助け出さなくてはいけない、と考え始めた。
カードキーを作ってトリコを取り戻してきてほしいと依頼され、すぐにカードキーを作成した。
研究所に行くとトリコの姿はなく、トリコの背丈に近い大きさの箱が置いてあった。
ひとまずそれを母親のもとに届けることにした。
箱の下には拙い文字で書かれたノートが置いてあった。
そこには「おそとにでたらやりたいことリスト」と書いてある。
中には子供らしい無邪気な夢がいくつも書いてあった。
トリコの母親に箱を届けると、不思議そうな顔をした。
「野良ロボット・・・?そんな大きな箱を持ってきてどうしたの?」
事情を話すと、中にトリコが居るのかと慌てて開いた。
父親が箱を開けると、中には大量の瓶が入っていた。
「きっとワクチン保管用の冷蔵庫ね
あの子は一体どこに・・・
・・・ね、ねぇあなた
この、中身って・・・」
母親が何かに気が付き、瓶を取り出した。
「・・・!?なにかの間違いだろう・・・そんな、はず・・・」
父親もそれを見て驚いた様子だった。
「この瞳!手!足!見間違えるはずないわ!この瓶の!中身は!」
「落ち着け!おち、つけ・・・
落ち着こう・・・落ち着くんだ
落ち着くしか、ない」
「ふうーーー・・・ふうーーー・・・
こんなのあんまりだわ・・・わたしたちは何のために・・・」
「せめてもう一度だけ、あの子の笑顔を見たかったな・・・」
可哀想な2人のためにロボのメモリーにあるトリコの笑顔を見せることにした。
「野良ロボット・・・?!?その映像って・・・?
え?死んだはずじゃ・・・
・・・現実世界?わたしたちは下層世界の住人だというの?」
「・・・信じがたい話だ
だが、現にこうして娘は元気に生きている
それに研究中のクラウドAIの技術なら実現可能だろう
野良ロボットの話を信じよう
・・・ん?どうした?野良ロボット
聞きたいことがあるって?」
「・・・なるほど、娘の細胞が死んでいく病か・・・
原因はおそらくここで娘に対して行われていた実験だろう
人類は今汚染菌類に対抗するために、大急ぎでいろんな研究をしているところでね
中には非人道的な研究も行われている
そう、娘はその被験体に選ばれてしまったんだ
汚染菌糸に感染した生き物は、異常な変異をすることで知られている
人間をわざと汚染させて変化を観察したり、変異をコントロールすることを目的とした研究だったようだ
殆どの被験体は失敗・・・つまり死んでしまったようだ
娘は運良く生き延びたが・・・
汚染菌糸が娘の細胞と結びついた結果、異常な自己再生力を持つようになったんだ
その結果自体は人類の危機を解決できないが、色々無茶な研究をするのに都合がいいということになってね・・・
それから、娘は・・・
ひどい人体実験を・・・繰り返されて・・・
もちろん我々も娘を取り返そうとした
だが、失敗に終わってしまった・・・
逆に娘の安全を盾に脅されて、アイツに好き勝手に使われるこのザマだ・・・
話がそれてしまったね
わたしたちは娘を元の体に戻せないか調査をしていた
だから娘の病の原因に心当たりがある
おそらく、娘の細胞は寿命を迎えようとしている
細胞が分裂できる回数には限りがあるんだ
自己再生力が優れていても、例外ではない
さっき聞いた話では、これまでにいろんな病気を治してきたみたいだが、無茶な治療でも治っていたのは娘の再生力のおかげだ
だが、それも限界を迎えようとしている・・・
それを止める手立ては・・・済まないが見つからない・・・
おそらく、そちらの世界の娘の命も長くはないだろう・・・」
「・・・それでもまだ、娘が生きている世界がある・・・」
「・・・・・・
そうだな・・・」
「ありがとう、野良ロボット
貴方のお陰で生きる希望ができたわ」
「きっとわたしと同じ考えだろう?
なすべきことは一つだ」
「わたしたちがこれまで指示に従っていたのは、娘を救うため
その枷が外れた以上は好きにやらせてもらうわ」
「少しずつ動き出そう。今度こそあの子を幸せにするために・・・」
ロボは一部始終をファクトリーAIに報告した。
[・・・・・・]
〈?〉
[・・・・・・ぐすっ
ううううううううう・・・・・・・
トリコちゃんがいつ死んでしまってもおかしくないだなんて・・・
・・・・・・・
トリコちゃん・・・・・・・]
ロボも悲しそうだ。
[ろ、ロボットさん・・・
わたし、ロボットさんに提案があるんですけど・・・
ま、まだ気持ちが高ぶっていて上手く話せそうにないです・・・]
ファクトリーAIはしばらく涙を流したのだった・・・。