「今度は、翔太かよ」
「カップルでどんなシンクロ起こしてんのよ笑」
「不思議ですねー」
「まぁでも、体に大事がなくて良かったよ」
俺が記憶をなくして、3〜4か月ほど
今度は翔太くんが頭を打って若干の記憶喪失
またもや3年前までしか覚えてないときた
(……3年前ねぇ、どうしようか)
俺が身体で翔太くんを覚えていたように、翔太くんも俺が触れる感覚に覚えは感じるのだろうか
「渡辺さん戻られますー!」
マネージャーから連絡が入り、程なくすると翔太くんが練習スタジオに入ってきた
「おつかれさま、みんなごめん」
「翔太!おかえり!大丈夫かぁ?」
「…大丈夫………ありがと」
「え、翔太お前、ちょっとよそよそしくない?…もしかして、人見知りしてんの?笑」
「いや、だって、、やっぱみんな、なんかちょっと違う…」
「ほんと、そういうとこ繊細よな笑」
「……ふっかさん、うるさい」
「なぁんでよ笑」
入ってきた瞬間にメンバー数人に取り囲まれた翔太くんを、少し後ろから眺めていると、キョロキョロとみんなを見渡す
「っ!」
目が合ったので、ゆっくりと近づいていくと少し構えられたのがわかる
(まぁ、この頃の俺は好き好きって付き纏ってたもんな笑)
「しょっぴー、大丈夫?」
ゆっくりと話しかけると、拍子抜けしたような顔をする
「……あ、うん、大丈夫」
「そう、よかった」
「…めめ、調子悪いのか?」
「ふはっ!そんなことないよ。今の俺はみんなの前で毎日しょっぴーに告白したりしてないから笑」
「っ!………や、ちが、そうじゃなくてっ!」
また好きって言われると思ってたことがバレて少し恥ずかしそうだ
「今のお前からすると、そうだよなぁ笑」
「なに?笑 もしかしてちょっと残念だった?笑」
途端に周りからからかいの声が上がる
「っっ!そんなわけないしっ!」
「あ、拗ねたー笑」
「かわいいですね〜!しょーたくんは〜!」
「もう!うるさい!お前らみんな、3年経ってもそういうところは変わんないのかよ!」
無理やり頭を撫でられて、耳まで真っ赤にしながら口を尖らせている
でも、みんなのおかげかいつもの調子に戻ったようだし、本人もそれはわかってるのだろう
抵抗も少し大人しめだ
「ほら、翔太からかうのはそこらへんまでにして。練習再開するぞ」
「はーい」
「翔太は見学な」
「うん」
最近の曲じゃないものは、翔太くんも練習に入ったりしながら、その日1日は過ぎて行った
練習が終わり、すぐ帰ろうとするしょっぴーを引き止める
「しょっぴー、シャワーが終わったら待っててね、一緒に帰ろう」
「なんで?」
「その辺もその時に説明するよ」
「わかった」
いつも通り手早く準備して、さっさとシャワー室に向かう翔太くんを見送る
「なべはいつ記憶が戻るかねぇ笑」
「明日の朝には戻ってますよ」
「なんで断言できんの?笑」
「思い出させますから」
「………お前さ、無茶はさせんなよ」
「わかってますよ、抱きますけど」
「………それ、わかってないだろ笑」
「大丈夫ですって」
「……はぁ。まぁ、お前に任せるのが1番だからな、頼んだぜ」
「はい」
(抱く前に思い出してくれたら1番いいけど)
ぽんと肩を叩いてふっかさんが去っていくのを、追って俺もシャワーを浴びにいく
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