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返事の日。
朝から照は少しだけ緊張していた。
ネクタイを締め直し、鏡を見る。
💛「よし」
小さく息を吐く。
迷った。
何日も。
何度も。
でも、もう答えは決まっていた。
────────
本社。
役員室。
部長と役員が照を待っていた。
「岩崎」
「返事を聞かせてくれるか」
照はゆっくり頷く。
💛「ありがとうございます」
💛「本当に光栄なお話でした」
一度言葉を切る。
そして真っ直ぐ前を向いた。
💛「ですが」
💛「今回は、お断りします」
部屋が静まり返る。
役員は少し驚いた表情を浮かべた。
「理由を聞いても?」
照は迷わず答える。
💛「約束があるからです」
💛「支社へ戻ると決めました」
💛「あそこで、まだ一緒に働きたい人がいます」
部長は照の目を見つめる。
数秒後。
ふっと笑った。
「そうか」
「君らしい答えだ」
役員も小さく頷く。
「残念だが、無理に引き留めるつもりはない」
「半年後、約束通り支社へ戻ってくれ」
💛「ありがとうございます」
照は深く頭を下げた。
────────
その日の夕方。
照はすぐには辰哉へ連絡しなかった。
電話ではなく。
直接伝えたかったから。
────────
土曜日。
久しぶりの休日。
辰哉は駅前で照を待っていた。
人混みの中から照が歩いてくる。
💜「お疲れ」
💛「待った?」
💜「今日は五分」
💛「成長したな」
💜「でしょ」
二人で笑う。
────────
少し歩いて、公園のベンチへ座る。
照は鞄から一本の缶コーヒーを取り出した。
ブラック。
💜「また?」
💛「間違えた」
💜「絶対嘘」
笑い合ったあと。
照の表情が少し真剣になる。
💛「返事した」
辰哉の笑顔が少し止まる。
💜「……うん」
💛「本社の話」
💜「どうしたの?」
照は辰哉の目を見つめる。
💛「断った」
辰哉は目を見開いた。
💜「え……」
💛「支社へ戻る」
💛「約束したから」
辰哉はしばらく何も言えなかった。
💜「俺のせいじゃん」
照はすぐに首を横へ振る。
💛「違う」
💛「俺が決めた」
💛「本社でも仕事はできる」
💛「でも」
💛「辰哉と一緒に過ごせる時間は」
💛「今しかない」
辰哉の目に涙が浮かぶ。
💜「そんなこと言われたら」
💜「嬉しいけど」
💜「申し訳なくなる」
照は穏やかに笑う。
💛「申し訳なく思う必要ない」
💛「これは」
💛「俺が選びたかった未来だから」
辰哉は静かに涙を拭いた。
💜「……ありがとう」
照は照れくさそうに笑う。
💛「その代わり」
💛「支社戻ったら」
💛「仕事では手加減しない」
💜「望むところ」
二人は笑い合う。
五年前。
仕事と恋を両立できなかった二人。
でも今は違う。
逃げずに話して。
悩んで。
自分で答えを選んだ。
その積み重ねが、少しずつ二人を強くしていた。
遠くで夕日が沈み始める。
照はその景色を見ながら、小さく呟いた。
💛「やっと」
💛「同じ未来を見られた気がする」
辰哉も静かに頷く。
💜「うん」
💜「これからは一緒に歩こう」
二人は穏やかに笑い合った。
コメント
3件
うおおおお😭めっちゃ良いぃぃぃぃ😭 これからが楽しみ!!!
口角どっか行った))))
28話、めっちゃ良かった……!照が本社の話を断って支社に戻る決断をするシーン、胸が熱くなった。でもそれ以上に「俺が選びたかった未来だから」って言い切る照の強さにグッときたな。五年前と違って、二人でちゃんと話して答えを出せるようになったんだなあって。夕日の中で「同じ未来を見られた」って呟くところ、最高だった。仕事も恋も、逃げずに向き合う二人が好きです。