テラーノベル
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最終話まで投稿します☺︎
その夜。
部屋は静かだった。
ソファに座っていた佐久間が、
ふっと息を吐く。
🩶「……全部話したんだな」
阿部はゆっくり頷いた。
💚「うん」
🩶「……そうか」
少しの沈黙。
やがて佐久間は、ぼそりと呟いた。
🩶「あいつ、泣いてたな……」
💚「……うん」
🩶「あいつさ」
🩶「ずっと怖がってたんだよ」
🩶「自分のこと」
阿部は黙って聞いていた。
🩶「…俺だって」
その声が、少しだけ震える。
🩶「俺だって泣きてぇよ」
💚「……」
🩶「誰とも喋れなくて」
🩶「触れられなくて」
🩶「寂しい人生…送ってきたんだわ」
🩶「変な目で見られるしさ」
淡々と話しているのに、
その言葉の奥にある孤独が痛いほど伝わってくる。
💚「……」
阿部はゆっくり立ち上がった。
そして――
迷わず、佐久間を抱きしめる。
🩶「……は?」
驚いた声。
💚「そんな顔しないで」
💚「俺は、変だなんて思ってない」
腕の中で、佐久間の体が少し強張る。
🩶「……お前」
🩶「分かってんのか?」
💚「何が?」
🩶「俺はあいつじゃない」
🩶「お前の恋人は、あいつだろ」
💚「うん」
💚「でも」
阿部は抱きしめる腕に、少しだけ力を込めた。
💚「俺は、今ここにいる君を抱きしめたいから、抱きしめてる」
🩶「……」
佐久間はしばらく何も言わなかった。
その腕は――
阿部を振りほどかなかった。
むしろ、少しだけ。
ほんの少しだけ、
阿部の服を掴んだ。
💚「……」
阿部の胸の中で、
夜の佐久間は静かに目を閉じる。
💚(この人……)
💚(ずっと、ひとりだったんだ)
胸が締めつけられる。
💚「もう」
💚「ひとりじゃないよ」
小さくそう呟くと、
佐久間は、
ほんのわずかに笑った気がした。
つづく。
コメント
11件
すでに泣いてしまいそうです、(T . T) できる限り涙腺を締めて、最終話まで読んできます!!笑