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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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ダメダメ、樹とは付き合ってもないんだから、新しい下着なんて要らない。

何をバカなことを考えてるの、私。

本当に、ちょっとおかしい。



何だかふわふわ心が揺れて、落ち着かないまま、私は一通り買い物を済ませ、マンションに戻った。



夜までの間、ソワソワしっぱなしで立ったり座ったり。自分がこんな気持ちになるなんて、柊君とお別れした時は夢にも思わなかった。



落ち込んで、暗い毎日を過ごすはずだったのに、今、無性にドキドキしてる自分がいる。

よくわからない不思議な感覚。



そうこうしてるうちに、樹がやってきた。

部屋の前まで来てくれて、荷物を運んでくれた。



本当に……今から2人で暮らすの?

これは夢なのか、まだ信じられない。



車に乗り込むと、樹が言った。



「今日は俺の部屋で食事しよう。宅配頼んでるから」



「あ……うん、ありがとう」



部屋で食事って、緊張して喉通るかな?



それにしても、運転席の樹さん、本当にいい匂いがする。しっとりと、大人っぽい香りだ。



樹のマンションに到着し、荷物を持って部屋に入った。まず1番奥のかなり広いリビングに通された。



「後で部屋に案内する。とりあえずそこに座って」



「あ、うん」



ぎこちなく返事をして、私はリビングの大きめのソファに腰掛けた。



お願い、緊張よ、早く溶けて消えて……



まるでおまじないみたいに自分に向けて唱えた。



「これ、飲んで」



樹は、温かいミルクティーを入れてくれた。



「ありがとう」



「寒くないか?」



「ううん、ちょうどいいよ。ミルクティー、いただきます」



樹も少し離れてソファに座り、コーヒーを飲んでいる。私との距離は1mくらい。



すぐ隣にいる樹。

もちろん、樹は柊君とは違う。でも、もし、柊君と結婚していたら、こんなふうに毎日一緒にいられたんだろうな……



悪い癖だ、どうしてもすぐに柊君のことを考えてしまう。

無駄なことだとわかってるのに。



「ピンポン」と、チャイムが鳴った。



「俺が出る」



宅配が届き、樹はドアを開けて、リビングを出ていった。



その背中を見て、私は大きく深呼吸した。



「食べよう。いろいろ頼んだから」



戻ってきた樹が、テーブルに料理を取り出して並べてくれた。



「ありがとう、美味しそう。あっ、私にも払わせてほしいんだけど……」



「そんなことは気にするな。俺が誘ったんだ、お金のことは一切気にしなくていい」



「でも、そんなの申し訳ないよ」



「そんなこといちいち考えてたら窮屈だろ。ラクにすればいい。今日からここがお前の家だ」



「でも……」



確かに、樹がお金には困ることはないだろう。だからって、甘えてもいいの?



「そんな顔するな。ここにいる間はずっと笑っててくれ。頼むから……」



そんなこと言ってくれるんだ。

そうだね……私も、できることなら笑っていたい。



「ごめんね。本当に甘えちゃっていいのかな?」



「ああ、もちろんだ。さあ、食べよう」



樹は、さり気なく割り箸を渡してくれた。

2人のあなたに愛されて ~歪んだ溺愛と密かな溺愛~

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