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「そっちに行ったぞ!」

草原に大楯を構えたアランの声が鳴り響く。

「ふっ!」

その声とほぼ同時に、レビンの弓が放たれた。

ヒュンッ

『キャイン!?』

「ナイスだ、レビン!」

ダリーがレビンの弓を褒めた時、さらに敵がやってくる。

「ダリー!もう1匹行くぞ!」

アランの声に、ダリーは一太刀で応える。

ザシュッ

「よし!後は正面の3匹だ!」

アランの掛け声にレビンとサリーは弓を射って応え、ダリーはアランの前にいる狼の後方へと即座に回り込んだ。

「何だなんだ!?俺たち完璧じゃねーか!」

遺跡を越えた先にある草原での初戦闘を危なげなく終え、アランが興奮気味に声を上げた。

「そうだね。魔石さえ取ってしまえば、後は放っておいたら矢も比較的無事に回収出来るからね」

サリーは武器の消耗が少ない…出費がない事を喜んだ。

「俺は盾だから本格的には壊れづらいしな。後はダリーの剣が壊れない事を祈ろうぜ」

これくらいの収入があれば、後50回くらいの探索で剣が壊れなければ黒字になるようだ。

意外にシビアな収支であるが、他にも支出は多い。

矢や防具は勿論の事、靴などは定期的に替えないとすぐダメになる。

唯一長持ちするのが鞄(背嚢など)だと言われている。

「俺の剣はそこそこするからな…やはり金を貯めて、レビンと同じ素材のモノにしたいな」

レビンの剣は黒曜鉄にヒヒイロカネの合金製だ。

「お兄ちゃんの剣も安くないんだからねっ!?」

「わ、わかってる!」

ダリーの持つ黒曜鉄の剣も、金貨50枚はする。

「でもこの剣って、そんなに高価だったんですね…」

「そうだな…金貨100枚なら儲けはないんじゃないか?ヒヒイロカネが少しでも使ってあれば金貨100枚を簡単に超えるからな」

どうやらあの店の店主は普通の商売人とは違ったようだ。そして恐らくだが、あの店には金貨100枚を出せるような高ランクの冒険者は客層に居なかったのではと、レビンは今になって思う。

「俺なら200枚でも即決だな。…金貨200枚も持ってないが……」

「そうなんですね」

レビンは自身の幸運と、あの口の悪い店主に感謝した。

剣士であるダリーと話し込んでいると、盾役であるアランから誰にでもなく声が上がった。

「次が来たぞ」

どうやら休憩は終わったようだ。

経験値ではなく主に収入を目的にしたダンジョン探索はトラブルもなく、順調に進んでゆく。

ミルキィの魔法習得訓練も、カレンの教えたがり以外は特に問題なく消化していった。




「教える事がない!…わけじゃないけど、この辺りまでね。基礎の基礎は教えたから、後は日進月歩鍛錬あるのみね」

「じゃあ明日からミルキィは……?」

「一緒よ」

夕食時、カレンの報告にレビンが食いつき、それに呼応するようにミルキィが答えた。

「じゃあ、明日からまたよろしくね!」

訓練終わりにカレンから終了を告げられた時、ミルキィもレビンと同じように喜んではいた。

しかし、自分のことは棚に上げて、レビンにここまで素直に喜んでもらえるとは思っていなかったようで、気恥ずかしさから顔を赤くし俯いてしまう。

「ミルキィちゃん!?どうした!?具合が悪いなら俺がお姫様抱っこで部屋まで『ゴツン』っいでぇっ!?」

「馬鹿アランっ!黙ってて!」

二人の初々しく青々しいやり取りを温かく見守っていたサリーから、目にも止まらぬ速さでアランの脳天に手刀が落とされた。

(また見えなかった……)

レビンは手刀の鋭さに慄いていた。

「また無視かよ……」

アランは少しめげてきた。

アランは大反対していたが、翌日から20日ぶりに両パーティとも正規メンバーでの活動を行う事になった。

平たく言えば元に戻っただけだが……



ミルキィは20日に及ぶ修行の成果を早くレビンに見せたくて、しっかりと早起きをしていた。

「ちょっ…待ってって!ミルキィ!?」

「ダメよ!冒険者なんだからちゃんと活動しないと!魔物は待ってくれないのよ?」

「いや活動はしてるよ!?それより僕たちは僕が先頭だったよね!?あれ?合ってるよね…?」

ダンジョンの中をスタコラサッサと、まるで目的地がわかっているかの如く歩いていくミルキィに、自身の記憶違いか?と、段々と自信がなくなってきたレビン。

まだ15と若く、20日程度前の事がわからなくなるレビンに少し不安を抱く……

そんなレビンを後にして、不意に立ち止まるミルキィ。

「うおっと」

危うくミルキィにぶつかり掛けて声を出したレビンへと、人差し指を口元に寄せて見せるミルキィ。

「あそこにゴブリンがいるわ。手出ししないでね?」

「えっ!?どこ!?手出し無用って…あっ。魔法を見せてくれるって事か!」

レビンは幼馴染の魔法が見れるという事で、期待に胸を膨らませた。

そして重要な事に遅ればせながらも気付く。

(もしかして魔力探知…?)

レビンを置き去りにする勢いで魔物が蔓延るダンジョン内を歩いていたミルキィは、すでに修行の成果を発揮していた。

「マジックボール」

ミルキィの声と同時に、何かがミルキィの前方から射出された。

バギッ

グチャ

その何かは二人の視線の先にある木を穿った上で、その向こう側にいたゴブリンの上半身を吹き飛ばした。

「…す、すごい」

「うぇ。やっぱり魔物に当てるとこうなるのね…」

レビンは魔法の速さや威力に感嘆の声を上げる事が精一杯で、ミルキィ自身は修行中にも体験した魔物の散乱死体に胃の中のものがせりあがってきた。

「魔石がどっかに行ってしまったわ」

「それは仕方ないよ。明らかにゴブリンには必要のない威力だったからね。

それよりも、さっきのはどれくらいの数が撃てて、威力の調整は出来るの?

それと魔力が枯渇したらどれくらいで回復するの?」

ミルキィは己の失敗を反省していたが、こればかりは仕方ないと半ば諦めていた。

そしてレビンの矢継ぎ早な質問には、待っていましたとばかりにミルキィが口を開いた。

「ちゃんと教えてあげるから。でも、その前に戻りましょう?」

「それもそうだね」

二人は街へと帰還する事にした。

元々ミルキィが二人の連携の為に魔法を見て欲しいと、準備も程々にダンジョンへやって来ていたのだ。

もちろんレビンも知っておかないといけないと考えていたので、渡りに船とばかりに二つ返事で了承したのだ。



仲良く街に帰った二人は、次のダンジョン探索の為の買い出しを終えた後、昼食を摂るために食事処へと訪れていた。

「そうなんだ…凄いね…」

「ありがとう。私が魔法を使えるようになったのはレビンのお陰よ。ありがとっ」

ミルキィが自身の魔法で出来る事を伝えると、レビンはまたも感嘆の声を上げた。

自分の事を無条件に褒めてくれる幼馴染に、ミルキィは顔を少し赤くして感謝の気持ちを伝えた。

「ううん。僕は僕で、他の冒険者の戦い方とか冒険の仕方とかを学べたからお互い様だよ。

それに魔法が凄いんじゃなくて、そこまで使いこなせるように努力したミルキィを褒めたんだし」

「貴方…時々恥ずかしい事をナチュラルに言うわよね……」

ミルキィはプレイボーイ化が進行しているレビンへと、冷たい視線を送る。

いつも顔を赤くしてばかりではないのだ!

まぁ、顔は赤いのだけれども。

「そう?でもこれで明日からのダンジョン探索が楽になるし楽しみだねっ!」

「そうね。これまではレビンにばかり負担を掛けてきたから、これからは私も活躍するわ!」

「……レベル上げの為にも、基本は魔物とは僕が戦うからね?」

レビンは張り切ったミルキィが、遭遇した魔物を文字通り粉々に砕く姿を想像し危惧していたのだった。




レベル

レビン:7→6→9→8→10→9→12→11(75)

ミルキィ:60→64

(描写はない)

〓〓〓〓注意書き〓〓〓〓

レベルは20日間の内に吸血衝動を抑える為に時々摂取させていました。

もしかしたら間話かこの後にその描写が出てくるかもしれませんが未定ですので一応補足を…

混血の吸血姫と幼馴染の村人

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