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ミリス
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第20話「映画が始まるまで」
7月18日(土曜日)。
映画館に到着した二人。
入口には、これから観る映画『夏、君に恋をした。』の大きなポスターが飾られていた。
陽葵「わぁ……!大きいね✨」
塁「ほんとだ。なんか、いよいよって感じする笑」
二人はチケット売り場へ向かった。
塁「陽葵、席どの辺がいい?」
陽葵「うーん……真ん中あたりがいいかな?」
塁「じゃあ、そこにしよう」
塁が二人分のチケットを購入する。
陽葵が財布を出そうとすると――
塁「今日は俺が出すよ」
陽葵「えっ、いいの?」
塁「うん。今日は誘ったの俺だし」
陽葵「じゃあ……ありがとう😊」
チケットを受け取った陽葵は、少し照れながら笑った。
そのあと二人は、売店へ向かった。
目の前には、ポップコーン、ホットドッグ、チュロス、ドリンクが並んでいる。
塁「何食べたい?」
陽葵「いっぱいあって迷う〜😂」
塁「じゃあ、ゆっくり選ぼう笑」
陽葵はメニューをじっと見る。
陽葵「ポップコーン食べたい!」
塁「味は?」
陽葵「キャラメルかな〜。塁くんは?」
塁「俺もキャラメル好き」
陽葵「一緒じゃん!笑」
二人で顔を見合わせて笑う。
陽葵「あと……チュロスも食べたい!」
塁「いいね。じゃあチュロスも」
陽葵「ホットドッグも気になる……」
塁「結構食べるね笑」
陽葵「だって映画館に来たら食べたくなるんだもん😂」
塁「じゃあ、全部少しずつにする?」
陽葵「それいい!」
二人で相談しながら、ポップコーン、ホットドッグ、チュロス、ドリンクを選んだ。
会計のとき、陽葵がまた財布を出そうとする。
陽葵「今度こそ私も払うよ!」
塁「大丈夫。今日は俺に任せて」
陽葵「……ありがとう」
何気ない一言。
何気ない仕草。
でも、陽葵にとっては、その一つ一つが嬉しかった。
「……やっぱり、塁くんって優しいな」
売店を離れると、映画開始までまだ少し時間があった。
塁「まだ時間あるし、あそこのベンチ座る?」
陽葵「うん!」
二人は映画館の近くにあるベンチへ向かった。
並んで座る。
さっきよりも、少しだけ距離が近い。
陽葵はドリンクを持ちながら、隣にいる塁をちらっと見る。
陽葵「なんか……まだ不思議な感じする」
塁「俺も。昨日までスマホ越しだったのにな」
陽葵「ほんとだよね笑」
塁「でも、会ってみたら思ってたより話しやすい」
陽葵「ほんと?」
塁「うん。もっと緊張すると思ってた笑」
陽葵「私はまだちょっと緊張してるよ😂」
塁「まだ?笑」
陽葵「だって塁くん、実際に会うと……」
陽葵は言葉を止める。
塁「俺が?」
陽葵「……かっこいいから」
小さな声で言うと、塁も少し照れた。
塁「……それ言われると、俺も緊張するんだけど笑」
陽葵「ふふっ😊」
二人は顔を見合わせて笑った。
そして、これまでSNSで話してきたことを、今度は直接話していく。
大学のこと。
仕事のこと。
好きな映画。
好きな食べ物。
まだ知らなかった、お互いの日常。
話しているうちに、時間はあっという間に過ぎていった。
塁「そろそろ映画始まるね」
陽葵「ほんとだ!早いね」
ベンチから立ち上がる二人。
陽葵はポップコーンを持ち、塁は飲み物とチュロスを持った。
塁「じゃあ、行こうか」
陽葵「うん!」
初めて会った緊張は、いつの間にか少しずつ消えていた。
そして二人は、並んで映画館の中へ入っていった。
これから始まるのは、映画の中の夏の恋。
そして――
二人にとっても、忘れられない夏の一日になる。
映画が始まるまでの時間さえ、二人には特別だった。
コメント
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「映画が始まるまで」の時間をこんなに丁寧に描いてくれると、読んでるこっちもドキドキしちゃいますね。初対面なのにスマホのやり取りを経てるからこその「話しやすい」と「まだ緊張してる」のバランスがすごくリアルで、塁くんのさりげない優しさ(奢るシーンとか)に陽葵ちゃんがときめく気持ち、よくわかります。何気ない会話の一つ一つが特別な日に変わっていく感じが、青春の香りそのままでした。