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-カキィィン‼︎

私の爪と相手の武器の間に火花が散った。アイツはどこからともなく人間大の信号機のようなものを取り出して私の爪と相対している。


「強いんだね、君!能力名は?」


「あんたさっき名乗らなかったじゃない」


「あっはは!それもそうだ!」


なんだこいつ、ムカつく奴だな。よしきめた!今日はこいつから血を吸ってやる。


「僕の能力名は”ヴィラン”さ!ここらじゃちょっと有名なんだ……よっ!!」


私の爪を弾き、弾かれながらからそいつは言った。私はダンマリを決め込む。相手が名乗ったからと言ってこちらが名乗る義理はない。にしてもこのままだとジリ貧だな。幸いここはそこそこ高いビルの中だ…空中戦に持ち込むか!


「お?」


私は地面を強く蹴って相手を押し出した。そしてそのまま壁を突き破って地面に落ちていく。しかしなんであいつはちょっと楽しそうなんだ。むかつく。私は勝利を確信し、空中から彼に迫る。


「…で?それだけ?」


私はその場にとどまることにした。なにがそうさせたかはわからないが、本能とでもいうべきだろうか。直後ヴィランの周辺に波紋と、小さな金魚が3体ほど現れた。そのまま金魚をけしかけてくる。私はとっさに爪で迎撃するも、それが無駄だと気づく。


「なにこれ!?」


ダメージを負ったのは私の方だった。ヴィランの金魚は一才傷つくことなく、私の爪を溶かした。

-スタッ

ほぼ同時に地面に足をつける。ヴィランの方も体が強いようだ。気がつくと金魚は消えていた。何か制限でもあるのか?動きがよめない。


「お?」


私はその場にとどまり、ヴィランを迎え撃つことにした。今迂闊に飛び込むのは良くない気がした。


「うん!いい判断だね!」


すると彼は先ほどとは比べ物にならないスピードで私に迫ってきた。よく見ると髪色が青から赤に変わっている。

-ッッッキーン

重い!!!一撃が重い!!!なんとか捌けたが次の攻撃は無理だと悟る。なら相打ち覚悟だ。くらえ!私の牙!


「ぐぁっ…!!」


ヴィランが唸る。 咄嗟に爪を囮に本命の牙で噛み付くことで、ヴィラン の体に傷をつけることに成功した。成功したが…それどころじゃない。


「なに…これぇ♡」


「なんだ?」


彼の血だ。美味しい。うますぎる。あたまがぽわぽわする。


「なにこれなにこれなにこれなにこれ♡♡」


欲しい。彼の血が欲しい。彼の血が…


「欲しいッッッ!!!!」


「なっ!?」


-カッキィィン

いける。ヴィランは今反応できてなかった。このままいけば勝てる!しかし、そう踏んだ直後私の右腕が吹っ飛んだ。


「あ”あ”あ”あ”あ”っ!!!」


「ふぅ…危なかった…。やっぱ手加減なんかするもんじゃないな。」


よく見ると彼の髪色が青に戻っている。最初はなにが起こったのかすらわからなかったが、私は腕を失った痛みでかえって冷静になっていた。私は勝てない。こいつは強い。


「降参するわ。」


「ほう、僕の血が飲みたくないのか?」


「いつか飲みほしてやるわよ。今は無理そうだけど。私はもっと多くの血を味わいたいの。」


自分の右手から滴る血を眺めながら言った。大丈夫、さっきよりは血は出ていない。どうやらこの体には再生機能もあるらしい。


「それ系の能力で自分に呑まれないのか、偉いね。君は強くなりそうだ。」


どこまでも上から目線でムカつく奴だ。まじで覚えてろよ、と思っていると彼は突然胸ポケットからメモ帳を私に投げ渡した。


「それは君の家の近くにいる能力者リストだ。美味しい血が飲みたいんなら自由に使うといいよ。あわよくばそれで満足して僕への興味を無くしてくれたら助かるね。」


そういって男は消えた。


「疲れたぁ…腕痛いよぉ…」


力の抜けた私はその場に情けなくうずくまった。

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