剣士署に着く。準備をして、朝礼に行く。
奏さんがいた。
でも、話すことがないまま、行ってしまった。
今日も見回りへ。
皆で見回りながら歩いていると、
『あら、剣士たちじゃないの。見回りご苦労様ね〜』
昨日のおばあさんが話しかけてきた。
『お疲れ様です。あの後は、何か問題はありませんでしたか?』
『いいえ、もう大丈夫よ。』
『それはよかったです。』
島田さんが笑顔で言った。
『そうそう、名前は柴田よ。』
柴田さんか。
『私は剣士第1隊の島田.有希です。』
自己紹介をしていく。
『あ!かわいいワンちゃんですね!』
桜乃さんが言った。
今日は、犬と散歩をしているみたいだ。
『ジョンはお利口さんなのよ。ほら、おとなしい子でしょう?』
この子がジョンか。
確かにおとなしい。
『撫でてもいいですか?』
桜乃さんが訊く。
犬が、好きなのかな。
『どうぞ〜』
柴田さんがにっこりと笑う。
桜乃さんが、ジョンの頭を撫でる。
『ジョンって感じじゃなくね?』
『そうかも、しれませんね?』
如月さんが言った。
確か、この犬の種類は…
柴犬、だったかな?
『この子がジョン…と言うんですか?』
撫でてながら、桜乃さんが訊く。
不思議そうな顔だった。
桜乃さんも、感じたのだろう。
『この子の名前は、ジョセフィーヌじゃよ。』
じょ、じょせふぃーぬ?
『え、えーと…ジョセフィーヌ…ちゃん?』
『ワン!』
ジョセフィーヌちゃんが元気よく鳴いた。
尻尾を振っている。
『柴犬にジョセフィーヌっておかしくね?』
耳元で如月さんが訊いてきた。
『そんな気がします…』
犬につける名前がどんなものかはわからないけど、なんか違う感が…
『ちゃうよ?ジョセフ.イーヌじゃよ。』
『ぅぅっ…!』
皆が吹き出しそうなのを堪えていた。
僕も…
『ジョセフ.いーぬだって、ブゥゥッククク…』
如月さんが耳元で言う。
やめろ!やめてくれ!
変な笑い方するなあ!
『いつもはジョンと呼んどるがね。』
柴田さんが笑う。
じょん…
『普通は、ジョセフじゃね?』
『そんな気がします…』
ジョンは、なんか違う感がある。
『と、とりあえず問題がないならよかった。で、では、お気をつけてください。』
柴田さんとジョセフ.イーヌさんと別れる。
『ぶううぅぅぅぅぅ‼︎あはははははははあ‼︎』
如月さんが爆笑した。
『あはは、なかなかに個性的な名前だったなぁ。』
島田さんも静かに笑っていた。
『お、面白い方でしたね…』
岡野さんも、肩を震わせていた。
僕も、笑っていた。