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17 - 恋が下手になった理由③〜めめさく🖤🩷

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2025年12月31日

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目黒side


俺は、「好き」って言うのを、やめた。


正確に言えば、

言わないことに決めた。


これ以上伝えても、

きっと佐久間くんには届かない。

それが、やっと分かったから。


今までの恋は、

欲しいと思えば、手を伸ばせば、

だいたい手に入った。


なのに——


佐久間くんだけは、違った。


笑って、

触れて、

無邪気に返してくるくせに。


その全部が、

恋の入口にすらならない。


(……初めてだ)


「手に入れたい」なんて、

人生で初めて、はっきり思った。


だからこそ、

ここで踏み込むのが怖くなった。


壊したくない。

失いたくない。


その結果が、

「好きって言うのをやめる」だった。



YouTubeの撮影中。


佐久間くんが隣にいる。

いつも通り、距離は近い。


「蓮!これ見てよ!」


画面を覗き込む佐久間に、

肩が触れそうで触れない。


目黒は、

一瞬だけ視線を落としてから、

何事もない顔で笑った。


「はいはい」


軽く、

冗談めいたトーン。


ファンが喜ぶ、

ちょうどいい距離感。


コメント欄は、案の定だ。


——めめさく最高♡

——距離感バグってる

——仲良すぎでは?


(……それでいい)


そう思う反面、

胸の奥が、じわりと痛む。


アプローチは、やめたはずなのに。


カメラが回っていると、

どうしても視線が追ってしまう。


名前を呼ぶ。

隣に立つ。

話を振る。


触れない。

でも、離さない。


それはもう、

無意識の独占だった。



ライブでも、同じだった。


立ち位置が近いわけじゃないのに、

気づけば佐久間の動きを追っている。


MCで笑う顔。

ファンに手を振る仕草。


(……取られるわけないのに)


それでも、

胸の奥に黒いものが溜まる。


触れていないのに、

独占欲だけが、露わになる。


事故みたいに。


ファンは喜ぶ。

「めめが佐久間くん見てる!」

そんな声が、SNSに溢れる。


でも、

その中で一人だけ、

空気の違いに気づいていた。


深澤だった。


(……あれ?)


楽屋で、

モニターを見ながら、

ふと目を細める。


(前より、重いな)


距離は近い。

でも、踏み込まない。


触らない。

でも、離さない。


(これ、諦めてる顔じゃねえな)


深澤は、

何も言わなかった。


ただ、

目黒の背中と、

何も知らずに笑う佐久間を、

交互に見ていた。


(あー……これ)


(めめ、完全に詰んでる)



一方、佐久間はまだ、

その意味に気づいていない。


でも、

最近、ふと思う。


(蓮、優しいけど……前と違う)


距離は変わらないのに、

温度が、少し下がった気がする。


それが、

なぜか、

少しだけ、寂しい。


理由は、まだ分からない。


ただ——


蓮が 「好き」って言わなくなったことだけが、

胸に引っかかっていた。


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