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おぉ……!!新シリーズ!!相変わらずセンスがすごい… ここから恋愛が始まるわけですね。分かります(?)
普段、私の登下校はスクールバス。
私は電車が嫌いだ。
というより人が沢山いるところがあまり好きじゃない。
自分で言うのもアレだが私は人見知りだ。
人と話そうとすると喉の奥が苦しくなって息が出来なくなって泣きたくなる。
電車も同じで、
人目が気になったり目眩がしたりする。
そんな私は今、電車で帰っている。
理由は委員会のせい。
こんな遅くに帰るなら入らなきゃ良かった…
そう愚痴を心で零す。
というか委員会必須なんて鬼畜だ。
電車が嫌だから部活にも入ってないのに…
そんなことを考えながら電車に揺られる。
なるべく下を向いて、
人が視界に入らないようにする。
だけど今の時間帯はほぼほぼ混んでいる。
ラッシュとまではいかないけれど。
あぁ、嫌だ。
苦しい。
息が出来ない。
視界が回ってる。
そう思い、
つり革に捕まっていた手を手すりに移動し、
少ししゃがむ。
こんなあからさまにしているのに、
誰も助けようとはしない。
やっぱり人って──
「大丈夫?!」
「へ…?」
急に耳元でそんな声が聞こえる。
低い男子特有の声。
そんな声が耳元で。
途端、息苦しくなる。
必死に息を吸っても吸えない。
逆に何故か私は呼吸自体を止めようとしているばかり。
『死んだら楽になれるのに』頭の中にそんな声が響く。
何度聴いただろうか。
その時、電車が駅に着いたアナウンスが流れた。
私が降りるべき駅。
「大丈夫です!!」
そう無理やり声を出して私は逃げるように電車を降りた。
呼吸が出来ないことを忘れ、
無我夢中で人混みを抜けていく。
早く。
早く遠くに行かなければ。
そんな一心で。
あの人、親切だったなぁ…
誰もが助けてくれなかった中、
あの人だけ話しかけてくれて心配までもしてくれた。
そんなことを考えながら家へ向かう帰り道。
「嫌だなぁ…帰るの」
そんなことを零しながら暗闇に染まった公園を横目で見る。
「遅かったね」
家に帰ってきて早々、
母にそんなことを言われる。
「委員会だよ」
「そう」
一見すればなんて事ない平凡な家族に見えるだろう。
だけどそんなことは無い。
家族なんて私は呪いたいほどに大嫌いだった。
『こいつらのせいで私の人生は狂ったんだ』そう毎日思いながら眠りに落ちる。
あぁ、私ってなんて最低な奴なんだろう…
『帰りたくない帰りたくない帰りたくない』
そう考えていたらいつの間にか放課後時間。
結局昨日も電車で今日も電車。
でも今日はただの自業自得。
「あ!!昨日の体調悪子ちゃんじゃん!!」
急に教室のドア近くからそんな声が聞こえる。
誰の話をしているんだろうか。
そう思いながら姿勢は机に顔を突っ伏したまま。
「ねぇ聞いてる?」
「君だよ君、体調悪子ちゃん!」
そう言って近づいてくる声。
『まさか』と思い、
顔を上げるとほぼ0距離に居る男子と目が合う。
「あ、おはよ〜!!」
目の前で手をヒラヒラと動かす男子。
「ひっ…!!」
机や椅子をガタリと鳴らしながら椅子ごと後ろに下がる。
「え、何?」
「なんか虫でも居た〜?」
この声…
昨日の助けてくれた人…
いやいやいや。
なわけないか…
「俺のこと覚えてる〜?」
「ほら、昨日君が電車でうずくまってた時に俺が声掛けたんだけど〜…」
やっぱそうじゃん…
覚えてる…
っていうか、
この人なんか距離感おかしい…!!
「それでさ〜、俺やばいこと起きたんだよね」
「俺、君に一目惚れしちゃったっぽい」
私に構わず話し続ける。
しかもにこりと微笑みながらそんなことを言う。
てか一目惚れ?
何言って…
「どう?付き合ってくれる?」
「え、無理」
「え?」
「あ、じゃあじゃあ友達からでもいいからさ〜」
「無理です!!男子が嫌いなので…!!」
「きら、い…?」
分かりやすくショックを受ける男子。
「ぁ、違っ───」
いや違くは無いんだけど…
なんて言えばいいのか…
「せめて!!知り合いからで…」
「お願いします…」
そう言うと男子は
「うん、いいよ!!」
と元気よく満面の笑みを浮かべて返事する。
なんで知り合いなんかになっちゃったの私…!!
ちゃんと断れよ!!
自分で自分の行動を否定するも、
現実の時間は止まることなく進んでいく。