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「侵食」
rt × ky
今日も隣でキヨは、嫉妬に潤んだ目でレトルトを見ていた。
「……ねぇ、どこ行ってたの?」
「なんで連絡くれなかったの?」
ずっと、レトルトだけを見ている。
「他の男と喋ってたんでしょ」
「なんで?」
少しずつ声が震え始める。
「なんで?俺じゃだめなの」
「レトさんには俺がいればいいじゃん……」
また、始まった。
正直、鬱陶しい。
「俺はずっとレトさんのこと考えてた」
「ずっと、ずっと考えてたのに」
沈黙。
そしてゆっくり顔を上げたキヨの目は、涙で滲んでいた。
「……レトさんは…. 俺がいなくても平気なんだね」
異常な程の重い愛。
「……俺も考えてたよ?」
ため息混じりにそう言って、スマホを取り出した。
「ほら」
画面を向ける。
待ち受けはキヨ。
……まぁ、正確にはキヨに「して」「なんでしてくれないの」「嫌いなの?」と何日も言われ続けて、渋々変えただけだけど。
数秒、画面を見つめていたキヨの目が大きく揺れた。
「本当だ!」
声が嬉しそうに震えている。
「レトさん……大好き……」
さっきまで嫉妬で壊れそうな顔してたくせに。
レトルトは小さく息を吐いた。
本当にどうしようもない奴だ。
こいつは俺しか見てない。
俺しか知らない。
俺だけで生きてる。
……本当に、面倒臭い。
キヨが朝から嬉しそうに出かける準備をしていた。
鼻歌まで歌ってる。
珍しい。
「……どっか行くの?」
後ろから声をかけると、キヨはパッと振り返った。
その目は、見たことないくらい嬉しそうに輝いていた。
「うん! 今日、うっしーと遊ぶの!」
――は?
今までずっと俺しか見てなかった目が。
あの重たくて、鬱陶しくて、俺しか見えてなかった目が。
違う方を向いてる。
胸の奥から競り上がってくる、嫌な熱。
そんなの聞いてない。
聞いてない。
なんで?
なんでそんな嬉しそうなん。
「へぇ?」
「そんな事、聞いてないんやけど?」
気付いた時には、 レトルトはキヨの手首を乱暴に掴んでいた。
「レ、レトさん……?」
戸惑う声も聞かず、そのまま寝室へ引っ張る。
勢いよくベッドへ押し倒されたキヨが目を見開いた。
「ねぇ?」
上から見下ろす。
胸の奥が熱い。
意味が分からない。
「……俺しか見てないんだよね?」
驚くくらい低い声。
「なんでそんな嬉しそうなの?」
「うっしーと遊ぶの、そんな楽しみ?」
キヨの顔が少しずつ青ざめていく。
「もしかして……」
手首を掴む力が強くなる。
「うっしーの方が好きなの?」
「れ、レトさん……?」
キヨの目が揺れる。
初めて見る顔だった。
泣きそうな顔。
怯えた顔。
「答えろよ!!」
部屋に声が響いた。
キヨの肩がびくっと震える。
「ち、違う……!」
「俺が好きなのは……レトさんだけ……!」
震える声。
ぽろ、と涙が落ちた。
その瞬間、 胸の奥の膨れ上がった黒い熱が溢れ出した。
「……許さへんよ?」
逃がさない。
俺だけ見ろ。
俺だけ考えろ。
ずっと。
ずっと。
震えるキヨの首筋に跡を残す様に噛み付く。
天井を見ていたキヨの口元が歪む。
(堕ちたな)
コメント
4件

夜だったので叫べなかったんですがめっちゃくちゃ最後の堕ちたなで無事やられました(*´˘`*) いやー重い愛最高ーですからね ほんとにご馳走様です
この話本当に大好きです!!読んでいる最中好きすぎて胸の奥がギュっとなりました!!本当です!最高です!!!!ありがとうございます!!!!!!