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さっきまで流していたオルゴールの音をパソコンのキー一つで消す。
 ついさっき彼女が置いていったお金をレジの中にいれて、店仕舞いをする。
 この古びた木造のカフェが流行らず、客も来ないのは誰だってわかるだろう。
 ここに来るのはうちの姉弟か、主様そして、連華ちゃんだけ。
 このカフェは高いビルとビルの間に挟まれてこぢんまりと建っているに過ぎない。
 カフェの外に出て、そっと桃色の狐面を取る。
 「カモフラージュ」
 カフェに向かってそう一言言葉を掛ける。そうすると、そこにカフェがあるのだと知っている人以外はこのカフェが見えない。
 コツコツと黒のヒールの音を響かせながら、狐面を付け直す。
 家に帰ったら、主様と一緒に同人誌でも描こうかな。新しいシチュ思いついたし。
 なんてことを考えながら、今度うちも親睦会を開かないといけない。なんてことを忘れないように頭の片隅に入れたいまま、薄い本の売ってある本屋にちょっとだけ寄って帰路についた。
 ふと掲示板の文字に目が行く。
 全く意味のわからないことだ。
 早く帰って姉さんの美味しいご飯を食べて寝よう。
 そう思って、少し足を速めた。
 そういえば、前に、連華が何かに操られたように、
 「抗えぬ力に寄り添って」
 と言っていたな。
 それは、願望なのか。
 自身の行動なのか。
 誰かの姿なのか。
 考えてもわからない事を考えても仕方が無い。
 今度、姉さんに美味しいケーキでも買ってあげようかなぁ。
 誕生日は、来年になるけどね。