「アナタヲ専用の罰を受ける場所ニ移動させるワヨ。ワレの腕ニ掴まりなさイ。」
デェ模んが自分の右腕を私に差し出す。
私は渋々腕に掴まるフリをして、デェ模んの股間を蹴った。
「おっ、命中したね〜。股間には何かあった?」
「何も生えてなかったです。」
肝心のデェ模んは、痛くも痒くもなさそうな様子でため息をつく。
「ホントに失礼ナ人達だワ。」
私の頬にデェ模んは平手打ちをすると、急に目の前の景色が歪んでるように見えた。
視界の解像度が段々と低くなり、ついには赤と黒だけしか見えなくなる。
しばらくすると、視界がはっきりとしてきた。
主に黒い鉄で構成された屋内にいるようだ。
(瞬間移動でもしたのか……?)
身体の中に熱いものがあるような感覚がする。
その感覚は全身に広がっていき、気付けば自分の両腕が火傷していた。
「っ!」
天井からは溶けた銅らしき雫が落ちてくる。
その雫が私に触れる度に、猛烈な痛覚が襲ってきた。
「あゔッ!?」
1歩だけ歩けば雫から逃れられそうなのに、足が動かない。
下半身の方を見ると、左足がトラバサミという罠にかかっていた。
トラバサミの歯が完全に左足に食い込んでいる。
「う……」
私はトラバサミごと匍匐前進のように這って進み、雫が当たらない場所までは移動できた。
安心したのもつかの間、床から生えてきた槍が私の胸を貫いた。
「くっそ……!」
爛れた腕でなんとか槍を胸から引き抜く。
胸からはかなりの血液が流れたが、もう死んでるのだから出血多量による死なんて気にしなくていい。
(はぁ……目眩もしてきたし、腕と左足と胸がすんごく痛いし……最悪だ。)
槍を使って、左足を挟んでいたトラバサミを外す。
左足の骨の一部は砕けているようだ。
右手は壁をつき、左手で持った槍を杖のように突いて、左足を引き摺りながら歩いた。
左側の壁に格子状の扉がある。
安全かどうか確認するために、隙間から部屋の中の様子を覗く。
中身の液体が沸騰して少し溢れてる大釜が見えて、その中に金髪碧眼の男性が気絶していた。
重い扉をゆっくり開けて、私は部屋に入る。
何故か扉は私の方に倒れてきて下敷きになった。
扉の部屋側の面には小さなトゲがたくさんあって、私の背中に結構刺さる。
男性の顔をよく見ると、開いた口の中に鉄球があった。
(この人どうしようか……?)
取り敢えず男性を大釜の外に出そうとするが、沸騰した液体が熱くて痛い。
男性の身体もかなり火傷しているようだ。






