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ミノリ(吸血鬼)は闘技場の床を思い切り蹴ると、固有武装『|光を喰らう黒影製の翼《ブラックイカロス》』を背中から生やしながら『オメガ・レジェンド』の方に猛スピードで飛んでいった。


「ひ、ひえええええええええええええええええ!!」


彼は逃げようとしたが、ミノリが彼の背中に蹴りを入れたため、うつ伏せで倒れてしまった。

彼が起き上がり『クモ歩き』で逃げようとした直後。


「あたしがあんたを逃がすわけないでしょう?」


ミノリは瞬時に血液で作った日本刀の切っ先を彼に向けながら、そう言った。

その瞳《ひとみ》は殺意や憎悪に満ち溢れていたため、彼は腰を抜かしてしまった。


「ま、待て! 私は、はぐれモンスターチルドレン討伐隊司令なんだぞ? 私を殺せば部下たちが黙っていないし、世界を敵に回しかねないぞ! それでもいいのか!?」


「あんた何言ってんの? あたしの未来の夫を傷つけた男を黙って見過ごすわけないでしょう?」


「ひ、ひぃ! た、助けてくれ! 私はまだ死にたくなああああああああああああああい!!」


「それを決めるのは、あんたじゃないのよ。せいぜい、あの世で悔やむといいわ!」


「ひえええええええええええええええええええ!!」


ミノリが彼の心臓に血液製の日本刀を突き刺そうとした時。


「ミノリお姉ちゃん! その人を殺すのはやめて!」


ナオト(完全ショタ化)がミノリ(吸血鬼)を背後から抱きしめた。


「ミノリお姉ちゃんがその人を殺す必要なんてないよ! やるなら、僕にやらせて!!」


「ナオト……あんた」


「ミノリお姉ちゃん、僕はミノリお姉ちゃんが誰かを殺すところなんて見たくないよ」


「……あんたは相変わらず甘いわね。けど、あたしはそんなあんたのことが好きだから、ここまで旅をしてきた……。分かったわ、あんたの言う通りにする。だから、もうそんな悲しい顔をするのはやめなさい」


「ミノリお姉ちゃん……!」


「さあて、それじゃあ、賞金だけもらって帰りましょうか」


「うん! そうだね!!」


「ってことだから、今回だけは見逃してあげる。感謝しなさい」


「は、ははは、たす……かっ……た……」


オメガ・レジェンドはそう言うと気を失ってしまった。


「それじゃあ、本部席まで行くわよ。ナオト」


「うん!」


ミノリはナオトを抱きかかえると、本部席まで飛んでいった……。



本部席に到着すると、ナオトは実況の『トワイライト・アクセル』さんから、賞金の王金貨百枚(百万円)が入った布製の袋を受け取りにトコトコと歩いていった。

彼女はガクガクと震えながら、彼に優勝賞金が入った布製の袋を渡した。


「え、えーっと、『第一回 ケンカ戦国チャンピオンシップ』優勝者のほ、本田《ほんだ》 直人《なおと》選手に王金貨百枚を授与します。お、おめでとうございます」


「わーい! ありがとう! お姉さん!」


「い、いえ、私は何も……」


「あんた、見かけによらず、肝が座ってるのね」


「え、えーっと、どちらさまでしょうか?」


「あたしは、ナオトの未来のお嫁さんになる予定の者よ。まあ、今のナオトにはお姉さんだと思われているけどね……」


「そ、そうですか。では、来年……があれば、ぜひ参加してください」


「今度は、あたしも出るかもしれないけど、いいかしら?」


「は、はい。大人百人を相手にできるくらいの実力があれば、大丈夫です」


「……ふーん、そういう仕組みなのね。それじゃあ、そろそろ帰らせてもらうわ」


「え、あっ、はい。分かりました。お気をつけて」


「……あんたも気をつけてね。ほら、ナオト、帰るわよ」


「オオカミさんたちがまだだから、無理!」


「ん? あー、そういえば、そうだったわね。けど、その心配はないわ。みんな先に帰ったから」


「そっか。えっと、例の三人は?」


「ブラストは、うちまで運ぶように、ここに来た四人に伝えてあるわ」


※コハル、カリン、メルク、フィアのこと。


「ブレイクとブレイズは?」


「この会場の医務室にいるから大丈夫よ」


「そっか……なら、早く帰らなきゃね!」


「ええ、そうね。それじゃあ、帰りましょうか。あたしたちの家に……」


ミノリ(吸血鬼)はナオトを抱きかかえると、黒影でできた翼を広げた後《のち》、大空へと飛び立った。


「……あの子たちは、これから世界中の人たちに命を狙われるんだろうけど、あんなのに勝てる自信は私には無いな……」


『トワイライト・アクセル』さんは二人の後を追うように飛び立った剣士を見ながら、そんなことをつぶやいた。(名取のこと)

※名取《なとり》 一樹《いつき》。

名取式剣術の使い手で名刀【銀狼《ぎんろう》】の所持者。

ナオトの高校時代の同級生。

前髪で両目を隠しているのは人見知りだから。

普段は途切れ途切れに話すが、武器のことになると、よく話す。

存在感が薄い。

今はナオトたちと共に旅をしている。

妖精《チエミ》の『風の加護』を受けているため、飛べる。



この日『ケンカ戦国チャンピオンシップ』の一部始終を鏡魔法や風魔法を通して知った世界中の人々はナオトを【悪魔】だと言い始めた。

彼を探し出して殺した者には賞金として【王金貨】が一万枚(一億円)も出されることとなった。

ナオトは全世界の人々に命を狙われる存在になってしまったが、彼を見つけるのは容易ではない。

なぜかって? それは……。

不可視の結界を常時展開している巨大な亀型モンスターの甲羅の中心と合体しているアパートの二階に十一人のモンスターチルドレンとその他の存在たちが住んでいるところにいるからである。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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