(宮城代表決定戦に入ってます)
西川side
1次試合の数十分前、少し余裕が出来た私は施設内を歩き回っていた。
(できれば1目だけでもお目にかかりたい!)
その理由は白鳥沢一行を見るため。
牛島若利さんと天童覚さん大ヲタクの私は、ちょっとだけでも見れないかなー、と御一行を探しているのだ。
(たのむー!試合前に・・・!)
??「あっ!ゆりちゃ〜ん!」 『?』
キョロキョロしていると、少し遠くから名前を呼ばれる。
『! 及川さん!お久しぶりです!』
及川「1週間ぶりね!?遊んだの忘れないで!?」
(あの人はいつでも変わらないなあ・・・)
及川さんはこちらに歩いてくる。
『背伸びました!?』
及川「うんうん伸びたよ〜!」
及川「ゆりちゃんは相変わらず小さいね☆」
『はぁん?💢』
(・・・いや、ウザさが増している・・・)
『別に小さくて困ることないですもん!💢』
及川「かわいいって意味だよ!」
『ぅえ、え!えへへそうですか〜?』
私が思わずニヤケてしまうと、突然及川さんが耳を赤くししゃがみこむ。
『!? 及川さん!?』
及川「っはあ”あぁぁ・・・」
及川「もう・・・ほんっと可愛すぎる・・・!」
『???』
及川「こちとらゆりちゃんの一挙手一投足にキュンキュンしてるんだよ・・・!」
及川「責任とってよ・・・!!」
『えっ、なんかすみません!』
私は急いで手を差し出して起き上がらせる。
及川「絶対意味わかってないね・・・」
『とりあえず今日は頑張りましょ!』
及川「・・・うん、」
及川「まあ及川さんが勝つに決まってるけどね!!!」
『はいはい。笑 行きますよー!』
及川さんと私は、そのあと少しの間立ち話してから解散した。
(・・・はっ!!そ、そういえば・・・)
(そういえば白鳥沢探すの忘れてたァー!)
また後で探しに行こう。
・・・1時間後
1次試合を勝ち残り、私は試合を見て昂った心を抑えきれないままボトルを運んでいた。
(えーと・・・ここどこだっけ・・・)
(マップを見・・・) 『あ』
ある人を見つけ歩みを止める私。
そこには憧れの牛島若利さんが立っていた。
(ひえぇ!!本物だぁ・・・!マップ見てる・・・)
(もしかして迷っちゃったのかな・・・)
(助けたいけどー・・・!牛島さんは人と絡むタイプじゃないし・・・迷惑だったら・・・)
『・・・・・・かっこいー・・・』
(ていうかやっぱりかっこよすぎるー!!)
私より数十cmも高い身長に凛とした顔。
どうしようかと心の中で葛藤していると、牛島さんがこちらを向き寄ってきた。
(え?!なになに?!!でか!!!)
牛島「突然すまない。道を聞きたいんだが。」
『あぇ、はい!なんでしょう!』
(尊敬してる人に話しかけられちゃった・・・)
牛島「この荷物置き場まで向かいたい。」
マップを指さす牛島さん。
『なるほど・・・それなら、あそこを右に曲がって、医務室に沿っていけば良いですよ!』
牛島「医務室とはここのことか?」
『あ、えっと、こ、ここ・・・』
(ゆ、ゆびが・・・届かない・・・!)
マップのかなり上にある医務室。
私が苦戦しながら背伸びしていると、牛島さんがじっとこちらを見て私の二の腕を掴む。
『?!』 (ん?!なに?!!)
そのまま私の腕を上に持っていく。
グイッ (ちょ、ちょっと浮いてる・・・)
牛島「ここだろうか。」
『そ、そこです・・・!いてて・・・』
牛島「! すまない。力が強かった。」
『い、いえいえ!』
私の指で医務室を指してから、ぱっと手を離す牛島さん。まあ、ご褒美としよう。
(も、申し訳ない・・・恥ずかしい・・・)
牛島「・・・・・・」
牛島さんはマップを数秒見て、こちらに軽く頭を下げる。
牛島「分かった。有難う。」
『ぜ、全然です!むしろ尊敬している人とお話できてすごく嬉しいです!』
『今日の試合も応援しています!』
(・・・あ、応援したらまた怒られるー!)
牛島「む。俺を応援しているのか。」
『はい!凄く尊敬してます!』
牛島「有難う。いつも通りやるだけだ。」
牛島「では失礼する。」
『はい!それで・・・』「ア、若利くん居た〜!」
(?! こ、この声は・・・!!)
私の声を遮り牛島さんの肩に手をかけたその人物は、天童覚。私が牛島さん同様すごく尊敬している人だ。
天童さんは時差で小さい私に気づく。
天童「ン、女のコ?ごっめん若利くん!」
天童「ナンパ邪魔しちゃったかナ〜?」
牛島「? 道を教えて貰っていた。」
『な、ナンパじゃないです、!それでは私はこれで・・・』
(さ、さすがに推し2人は持たない・・・!)
ボトルを持って逃げようとするが、後ろから天童さんに腕を掴まれる。
天童「チョイ待ち〜。ここに来たってことは、道に迷ってんじゃナイの?」
長い指でマップを指さす天童さん。
(・・・あ!そういえばそうじゃん!!)
確かに道に迷っていたことを思い出した私は、すぐさま振り返る。
『えーと、備品室ってどこでしょうか・・・?』
(マップに見当たらないんだよな・・・)
天童「ア〜、備品室ね、このマップ載ってないンだよね〜。俺も去年迷った〜」
天童「あそこ右に曲がったら見えるよ〜ん。」
『え、そうなんですね!すみません・・・ありがとうございました!』
天童「送っていこうか〜??」
『?! いえいえ!申し訳ないので!!』
(お、お優しい・・・!)
天童「別にイイヨ〜?俺も用事あるしネ。」
『そ、それなら・・・お願いします、!』
天童「ハイヨ〜!」
天童「ゴメンね若利くん!先行ってて〜」
牛島「・・・分かった。変な事はするな。」
(へ、変なこと・・・?!)
天童「酷いなァ〜・・・しないヨ〜?」
天童「じゃ、行こっか〜」
『は、はい!すみませんお願いします!』
牛島さんが荷物置き場に向かうのを見てから、天童さんは歩き出した。
後ろから見ても自分より何倍も大きい背中。
(やっぱ背高いなー・・・)
(腕も長いし・・・だからあんなブロックが・・・)
天童「ネーネー?」 『!?、はい!』
私がぼーっと後ろ姿を眺めていると、突然話しかけられた。
天童「キミ烏野のコだよネ〜?名前は?」
『にっ、西川ゆりです!』
天童「フーンゆりチャンね!俺天童覚〜」
(な、名前呼びだ・・・!感謝・・・)
天童「キミかわいいからさ〜、あんまり人助けしちゃダメだよ〜?惚れられちゃう。」
『うぇ?!かわいくはないです!!!』
動揺すると同時に耳が熱くなる。
『で、でもありがとうございます!天童さんにそんな事言っていただけるなんて・・・!』
天童「・・・ン?俺のこと好きなの?」
『はい!すごく好きです!』
『天童さんのブロックとても上手で・・・試合全部見てます!かっこいい!!』
天童「ェ・・・・・・」 ピタッ 『?』
私が本音を漏らすと、突然足を止める天童さん。そのままゆっくりとこちらに顔だけ振り向く。耳を赤くして。
天童「・・・そ、ソレ、マジで言ってる、?」
天童「俺のこと好きとかサ・・・、」
(ど、動揺天童さん?!レアだ!!!)
『大マジです!尊敬してます!!』
天童「・・・んん、ゴメン、やっぱ一緒についていけないカモ・・・」
天童(このままだと手ェ出しちゃいそ・・・)
天童(・・・ンン〜、?なんだろ、すっごい傷つけたくないなあ・・・初めてのキモチ〜・・・)
私と目を合わせずそう言う天童さん。
推しと一緒に歩けるのは光栄だが、心臓が爆発しそうだったので助かった。
『ん、そうですか!平気ですよ!』
『本当にありがとうございました!』
天童「んーん、じゃあ行くネ〜」
『はい!それではー!』
(めちゃくちゃいい人だった・・・)
反対方向に歩いていく天童さんの背中に、私は何回も頭を下げお礼した。
終わり.
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