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私
にとっての最大の敵は自分自身だ。
他人からの賞賛なんて気にしない。
だからと言って、他者への尊敬を忘れたわけではない。
自分が一番大切なだけだ。
私にとっての最大のライバルは自分の欲望。
私が望むものはいつも一つだけ。
満たされたい。ただそれだけ。
私の人生は、常に何かに満たされていない気がする。
それはきっと、気のせいなんかじゃない。
自分のことなのに分からない。だからといって考えすぎない方がいいと思うけどね。
考えることで答えを見つけられるかもしれないけれど、それでは時間がかかりすぎるよ。
もっとシンプルに考えてみてごらん? きっと気づけるはずさ。
君が求めているもの、君の願いに。
「お前は俺のことを何も分かっていない!」
「お前だってそうじゃないか!俺はずっと我慢してきたんだぞ!?」
「分かって欲しいと思っていない。もうほっといてくれないか?」
「ふざけんな!!こっちがどんな気持ちでいたと思っているんだよ!!」
「それはこちらのセリフだ!!!」
喧嘩別れをした相手からの電話。
その言葉を聞いて頭が真っ白になる。
どうしてこんなことになったのか、理解ができない。
だが、冷静に状況を整理してみる。
確かに彼の言う通りだった。
今までの自分は相手のことを知ろうとしていなかった。
自分が相手を分かっていると思い込んでいたのだ。
それが傲慢な態度であったことに気づく。
そして反省をすると同時に、彼への愛おしさが増す。
彼は自分のことを考えてくれていたのに、自分は彼のことを考える余裕がなかった。彼からの愛に応えることができなかった。彼の気持ちがわかっているつもりでいたけれど、わかっていなかった。自分がこんなにも浅ましい人間だとは思わなかった。もう彼とは一緒にはいられない。
自分の考えを理解して欲しかった。自分の意見に賛同して欲しかった。理解されないことに腹を立て、反発してばかりいて、相手のことを見ていなかった。相手を思いやる気持ちを忘れてしまっていた。相手の立場になって考えるということをしなかった。相手の言い分を聞こうともせず一方的に否定してしまった。だから相手に嫌われた。当たり前だ。
自分のことを好きになる人なんていないと思っていたけど、そうじゃなかった。皆、本当は優しい人だった。ただ、私に対して素直になれないだけだった。もっと早く気づけば良かった。今更遅いかもしれないけれど、これからは自分の言葉には責任を持ちたいと思う。
いつも笑顔を絶やすことなく前向きだったあの人が、あんなふうになってしまうなんて思ってもいなかった。きっと辛いことがあったに違いない。どうして気づいてあげられなかったのでしょう? 私にとってかけがえのない存在になっていたはずなのに……。私がしっかり支えてあげなくてはいけなかったというのに……。本当にごめんなさい。許して欲しいとは言えないけれど、もし許されるならばもう一度やり直す機会を与えて欲しい。今度は絶対に間違えたりしない。だからお願いします神様! どうか私の願いを聞いてください!! ~とある少女の日記より抜粋~
***
「……っ!?」
突然襲ってきた眩しいほどの光の洪水の中、僕は思わず目を閉じた。
しかしそれは一瞬の出来事ですぐに瞼越しにも感じていた光が弱まり始めたことに気が付き、ゆっくりと目を開くとそこには見覚えのある景色が広がっていた。
(ここは……)
そこは先程までいたはずの教室ではなく、僕が通っている高校の廊下だった。しかも僕のクラスがある三階だ。窓から見える空の色を見る限り放課後の時間らしく、夕日に染まった雲が浮かぶ青空が広がっている。
「ねぇ、聞いた?」
「うん!」
ふと近くの女子生徒達の話し声が聞こえてきた。彼女たちの方へ視線を向けるとその表情はとても楽しげで期待に満ちたものだった。
「昨日のドラマ見た?」
「もちろんだよー!!」
「あぁ、あれね! 面白かったよね!」
どうやら最近話題になっているテレビドラマの話をしているようだ。確か『愛恋』とかいう名前だったかな? まだ一度も観たことがないんだよなぁ。ちょっと興味はあるんだけど。
「それでさぁ――」
そのまま会話を続けながら三人の少女たちはどこかへと歩いて行った。その様子を眺めているうちにようやく状況を理解し始めることができた。つまりこれは夢なのだと。
それにしても、この病気の原因は何なんだろうか? まるで、童話に出てくるお姫様みたいだね。
どんなに頑張っても報われないなんてさ。
そういえば昔、こんな話を読んだことがあるよ。
『白雪姫』とかいう本だったかな。
王子様にキスされて目覚めるんだよ。
もし、彼女が眠り続けていたら? 目が覚めた時、彼女は何を思うのだろう? ああ、やっぱり君は僕と似ているかもしれないね。
君もまた、独りぼっちなのかい? あの時の僕は、何もできなかった。
ただただ震えて怯えていただけだ。
けど今は違う! もう二度と、あんな思いをするのはごめんだ。
今こそ、僕の出番じゃないか! 待っていてくれ。
必ず助けに行くから―――。
【 】
彼は、ゆっくりと目を開けた。
夢を見ている間中ずっと その女には目的があった。それは達成されることのない願いだったが、 それでも彼女は諦めなかった。
ある日のこと、女はある男と出会う。
男は不思議な魅力を持つ人物だった。
気が付くと女の足はその男の方に向き直っていた。
しかし、男が何かをした訳ではなかった。
ただ女は無意識のうちに、自分の中にないものを求めるものなのだ。
だから男は、女の心に自分の理想を求め続ける。
「愛しているよ……」
嘘つき!……
「愛してる」
信じないわ!……
「好きだ!」
もう騙されないわ!……
「君を愛してるんだ!」
うるさい黙れ!……
「僕を信じてくれ!」
信じるもんですか!……
「お願いだ、僕の言うことを聞いてくれ!!」
絶対に嫌!!……
「なんでだよ!? どうしてわかってくれないんだよ?」
あんたなんか大嫌いよ!!……
「俺だってお前のことなんて好きじゃないさ!」
えっ?……
「本当は迷惑だったんだ!」……
「二度と顔を見せるんじゃねぇぞ!クソガキ!」
「えぇ、さようなら」
そう言って彼女は去った。
もう会うことはないと思っていたけれど……
彼女と再会したのは、偶然だったのか必然なのか。
それはわからない。
ただひとつわかることがあるとすれば―――。
あの日と同じだ。
彼女はまた同じ過ちを繰り返す。
大切なものを失うまで気づかないなんて愚かにも程がある。
僕はいつものように屋上へと向かった。
そして彼女がそこにいた。