【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
次の日目が覚めてから、ないこは今まで通りだった。
そつなく仕事をこなし、リーダーシップを発揮する。
舞い込んできた任務をメンバーに割り振り、采配はさすがのものだった。
俺が手伝ったことなんてごくわずかだ。
ただ休む間もなく数日動き続けているところだけは気になる。
まるで考え事をする時間すら、自分に与えないようにしているようにも見えた。
「ないちゃん最近休んでる?」
しょにだの言葉に、ないこは笑う。
「休んでるよ? 結構寝てるし、実戦に行くのはしょうちゃんたちの方が多いじゃん。この後の任務も子供組に行ってもらうし」
「そうやけど…」
「心配してくれてありがと。でも大丈夫だって」
けらけらと笑ってみせるないこは、確かに無理をしているようには見えない。
もっと顔に出るタイプかと思っていたけれど、意外にポーカーフェイスがうまかった。
…眠りながら泣いていたくせに。
「ないくん、スマホ鳴ってるよ」
しょにだとの話を遮るように、りうらがないこにそう声をかけてきた。
リビングのテーブルの上、放り投げていたないこのスマホが確かに数回振動して止まる。
「? なんだろ。ありがとりうら」
りうらに礼を言いながら、ないこはスマホに手を伸ばした。
そして画面を確認したらしいあいつは、それまでのポーカーフェイスが嘘のようにサッと顔色を変える。
「……っ」
片手で口元を覆うその様子に、気づいたのは俺だけだったみたいだ。
しょにだもりうらももう次の雑談に移っていたし、ないこに注目している奴はいない。
「…俺部屋に戻るね」
その場にいたメンバーにそう声をかけてリビングを出て行くないこを、数秒遅れて追いかけた。
「ないこ」
2階の部屋に入ろうとしたその後ろ姿を呼び止める。
閉まりかけたドアに手を伸ばし、閉じるのを阻止した。
「び…っくりした、どうしたのまろ」
目を丸くして振り返ったないこが、驚いてドアノブから手を離す。
それをいいことにぐいと更にドアを押し開いて、ないこを押し込むようにして自分も中に入った。
「何かあった? 俺忘れてた仕事があるから、今からそれ片付けなきゃなんだけど…」
「こっちのセリフ。何があった?」
後ろ手にドアを閉めて、間違ってもリビングに声が届かないように遮断する。
俺の言葉に眉を持ち上げ、ないこはこちらを見上げてきた。
「何のこと?」
「さっき、スマホ見て急に顔色変わった」
間を空けずに答えると、一瞬言葉を飲み込む。
八方美人を発揮するあの笑顔を消して、真顔でこちらを見つめ返してきた。
「目敏いなぁ」
宝石みたいなピンクの目を伏せて、ないこは「…うん」と自己完結するように自分で頷く。
「だから嫌なんだ。まろのそういう鋭いとこ」
「何があったん」
「言わないよ」
言えない、と言い直して俺に背を向ける。
部屋の奥へと進み、スマホをベッドの上にぽいと投げた。
「そんな顔するぐらい、何か大変なことがあったんちゃうん?」
「……」
「ないこ」
「っ、まろには関係ない!」
叩きつけるような声に、驚いたのは俺だけじゃなかった。
自分で発した言葉に自身で驚いて、ないこも目を瞠る。
「…ごめん、でも頼むからちょっと一人にして」
ハッと我に返ったないこは、やっとの思いでそれだけ口にした。
その顔は、こちらから背けてもう俺の方を振り返ろうとはしなかった。
「あにき」
リビングに戻って、俺はソファに座っていたあにきに声をかける。
長い髪をりうらに好き放題いじられ、器用に編みこまれている途中だったあにきが「ん?」と振り返った。
「頼みがあるんやけど」
「あぁ! ちょっとあにき動かないで!」
俺とりうらの声が重なる。
「…ごめん」と珍しくしおらしげに謝ったあにきは、目線だけで俺の言葉の先を促した。
「この後子供組が任務に出るやん」
今日も別件であいつらは夜中に出かける予定だ。
それほど大きな事案ではないから、難しい任務でもないだろう。
それに同行するのは、今日は俺の役目だった。
「見守り、代わってもらえん?」
続けた俺を、あにきは無言で見据える。
しばらく俺の目を覗き込むように見つめた後、「…何かあったな?」と小さく吐息まじりに言った。
「別にえぇで。この前の借りチャラな」
「ん。ありがとう」
「その代わりちゃんと解決せぇよ」
「そればっかりは分からんわ」
何せ俺の問題じゃない。
肩を竦めてみせた俺に、あにきはただ苦笑いを浮かべていた。
…さて、どうしたもんか。
とりあえず家に2人きりになったはいいものの、ないこのあの雰囲気では何も話してはくれないだろう。
(…不器用やなぁ、ほんまに)
苦しいことがあるなら吐露してしまえばいいのに。
誰かに半分担がせれば自分の心は幾ばくかくらいは軽くなるかもしれないのに。
あにきが懸念していたのは、ないこのこういうところなんだろう。
全て一人で抱え込んでしまうところ。
あの性格じゃ、押しすぎるのは逆効果に違いない。
…ならどうするか。
そこまで思考したところで、部屋のドアをノックする音がした。
ベッドの上で転がっていた俺は、驚きながら上体を起こす。
「どうぞ」と声を出すと、それが遠慮がちに開かれた。
「…まろ」
小さく俺を呼ぶ声は、とても儚げで。
耳を澄ましていないと聞き逃してしまいそうなほど。
「今日こっちで寝ていい?」
そう尋ねるないこは、自分の毛布を頭からすっぽりと被っていた。
俺の答えを待たずに部屋に入ってくる。
向かいのほとけのベッドの前に立って、そこでもう一度俺の方を振り返った。
「…さっき、ごめん。八つ当たりした」
「……いや…」
首を横に振った俺に、ほとけのベッドに腰かけながら少し安堵したように息をつく。
恐らくさっきの自分の態度をずっと後悔していたんだろう。
その表情に、先刻まで「どうやって口を割らせようか」と考えていたことが馬鹿らしくなった。
何があったかを吐かせるより、大事なことがあるはずだ。
「ないこ」
呼びかけた俺の声に、ないこがゆるりと顔を上げる。
「ん、こっちおいで」
両腕を広げてそう言うと、「え」とピンクの瞳が困惑に揺れた。
「…なん…で」
「『何で』? 嫌なこと全部忘れさせたるやん」
冗談っぽく笑って言うと、ないこはおずおずとこちらに近寄ってきた。
手が届く範囲まで来たところで、ぐいとその手を引く。
「言われへんことやったら言わんでもいいよ」
ぽすんと腕の中にその細い体を収めて、耳元でそう囁いた。
「その代わり、今は頭空っぽにして」
ぐいと顎を引き上げさせて、その唇に口づける。
「!? …っ」
驚いたらしいないこの体はビクリと一度震えたけれど、抵抗らしい抵抗はなかった。
触れるだけのキスで、唇を唇でなぞる。
たったそれだけのことなのに目を固く閉じて快感に耐えようとしているのがかわいくて、その唇を割って舌をねじ込ませた。
「…ん…っ」
舌先を吸うと、その細い腰が揺れる。それをぐっと手で抑えると苦しそうに身を捩った。
「ふ…ぅん…っ」
息をするのを忘れているのかと思うほど、苦しそうに舌を絡ませて応えようとする。
そのかわいさをしばらく堪能した後、俺はようやく唇を離してないこを一度解放した。
「…ま…ろ、何で…」
泣きそうに目を潤ませたないこが、途切れそうな声でそう問う。
「好きになったらダメだって、言ったくせに…」
「頭真っ白にしろって言うたやん。嫌なこと全部忘れろって」
余計なことを言わせないように、俺はもう一度その唇を塞ぐ。
そのまま覆い被さるように、その体をベッドの上に優しく押し倒した。
「ないこは気持ちよくなることだけ考えとったらいいよ」
そう言いながらないこのズボンの中に手を入れると、これから与えられる快感を予感したのかピンク色の髪が一度大きく震えた。
目を覚ましたのは、太陽の光が部屋の中に差し込んでくる時間になってからだった。
と言ってもないこのために照明は煌々とついているから、光が差し込もうがなんだろうがこの部屋には関係ないけれど。
目を開くと、ベッドの中で隣にいるはずのピンク髪はそこになかった。
「……ないこ…?」
思わずその名を呼ぶと、部屋の隅でカタンと音がする。
俺が起きたことに驚いたのか、ないこが目を見開いてこちらを振り返った。
「…まろ…」
「…何しとるん、ないこ」
ないこが立っていたのは、部屋の奥にあるほとけの机の前だった。
「んーん、何でもない。諜報活動とかしてるだけあって、ほとけっちのパソコン周りかっこいいなぁと思って見てただけ」
「……」
「そろそろ皆帰ってくるよね。俺も部屋戻るよ」
俺の前をすり抜けて、ないこはそのまま部屋のドアへ向かう。
出ようとしてドアノブに手をかけてから、思い出したようにもう一度こちらを振り返った。
「…まろ、ありがとう。でも俺、もう大丈夫だから」
「…ないこ」
「勘違いとか、しないし」
言い逃げるようにそのまま部屋を出て行く。
その後ろ姿を呼び止める術もなく見送ってから、俺は部屋の奥を振り返った。
ほとけのパソコンに指先で触れる。
それはほんのり温かくて、さっきまで起動されていたことが分かる。
「ないこ…?」
今度はあいつが出て行ったばかりのドアを振り返り、俺は眉を顰めた。
…もしかして、この部屋に来た本当の目的は…。
「…まさか、な」
ざわりと胸騒ぎがしたのに気づかないフリをして、俺は頭を切り替えようと首を横に大きく振った。
コメント
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青桃が良すぎます!!桃さんの変化に「青さんだけ」気づいたといのがとっても好きです…! 朝のシーンがシリアスなですね…、桃さんが何を思っているのか…🤔
うわぁぁぁ”ぁ”ぁぁ”” これは何とは言いませんけどヤったということでいいですよね…!? 桃さんが水さんのパソコンを使って、元恋人のことを調べていたということですか…? そのために桃さんは青組のいる部屋に行った…?そして桃さんは青さんより早く起きて元恋人について調べていた…?んぅ〜、色々考えられます…。お話が出るたびに色々考えられてとても面白いです!!