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ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。私はエーリカと再会した翌日、仕立て屋工房が完成するまで戦闘力の強化を目的としてエーリカを誘い訓練所へ来ています。

最初の一時間は勘を取り戻すように剣を振るっていたエーリカでしたが、直ぐに模擬戦をしたいと言い始めました。素振りなんかよりずっと身に付きますからね。

そして、やはりお母様が見込んだだけあって直ぐに勘を取り戻したのか剣筋が鋭さを増していきました。

もちろん奴隷としての三年間で体力が落ちているので、無理の無い範囲で訓練を行いました。

「……ん、シャーリィ。これやり辛い」

そして今エーリカはアスカと訓練をしていますが、切り結ぶアスカの言葉が彼女の特異性を示しています。

なにせエーリカは『左利き』ですからね。

帝国では右利きが主流であり、あらゆる物が右利きであることを前提に作られています。

左利きは特異体質、下手をすれば偏見で見られるような社会。当然大半の左利きは右利きへと矯正されます。

エーリカの場合は母親であるエリサさん、そしてお母様が個性として尊重して矯正されずに成長しました。

『剣術だって右利きが主流よ。左利きの剣士なんて滅多に居ない。それはつまり、相手の虚をつけて有利に立ち回れることを意味するわ。わざわざ矯正する必要なんて無いのよ』

お母様のこの言葉が決定打になったのは間違いありません。事実彼女との稽古は幼い頃も苦手でした。

普通とは反対側から剣が迫ってくるんですからね。やり辛いんですよ。

「更に腕を上げたようで何よりです、エーリカ」

「素振りなんかは毎日欠かしませんでしたからね!と言うかこの子はなんなんですか!?速いんですけど!」

切り結びながらアスカの速さに翻弄されていますね。

「うちの期待のエースです。学習能力が恐ろしいくらい高くて、獣人らしく身体能力も高いのでご注意を」

「それはもう少し早く聞きたかったですね!」

まあ、それはそうでしょうね。

「敢えて言いませんでしたから」

「変なところで意地悪なところは変わらないようで安心しましたよ!」

「お褒めに与り光栄ですよ。軽口を交わす余裕があるみたいで何よりです」

それに、アスカには左利き相手の戦い方を学ばせるには最適な相手ですからね。すばしっこくて、小柄なアスカを相手にするならエーリカも良い訓練になる筈。

「アスカ、相手は体力的な不安があるのである程度で終わらせてください」

「……ん」

おっと、早くも適応してきましたね。エーリカの普通とは逆の剣筋に反応していきますね。

「もう反応してきた!?賢いだけじゃ説明がつきませんよ!?」

「それがアスカなのです。将来が楽しみですね」

まだアスカは十歳前後。成長が待ち遠しいです。

「私は辛いんですが!」

「負けないくらい頑張ってください。白光騎士団の名前に劣らないようにね」

「それすんごいプレッシャーなんですけどね!?」

まあ、剣を合わせながらも軽口を叩けるだけ余裕があるなら安心です。

時間をかけて体力を回復させていけば、うちでも有数の剣士になってくれる筈。

「お嬢様」

訓練風景を眺めていると、セレスティンが声をかけてきました。

「どうかしましたか?セレスティン」

「先ほど偵察部隊より定時連絡がございました。『エルダス・ファミリー』に動きあり。二百人弱を動員した攻撃の兆しありと」

「二百人ですか」

これまでで最大の数ですね。これと真正面から戦えばどれだけ犠牲が出るか。やはり農園防衛陣地に誘い込んで殲滅するしかありませんね。

「御意、正面決戦は避けるべきかと。『エルダス・ファミリー』はまだ余裕を残しておりますからな」

「率いているのは幹部ですか?」

「おそらく、ベルモンド殿が話していたバンダレスなる幹部でしょう。武闘派の筆頭であると聞きます」

「ならば策略が必要ですね。上手い具合に誘い込まないと。皆を集めてください、会議を行います」

「御意。海賊衆が間に合えば楽なのですが」 

「エレノアさん達には大事な仕事がありますからね。私達だけで対処するしかありません」

しかし、この攻撃は『エルダス・ファミリー』だけではなかった、

『闇鴉』から資金提供を受けた『ターラン商会』の不満分子は今回の抗争に参加すべく動かせる人員を動員しつつ武器類を『エルダス・ファミリー』へと供給した。

この動きを察知したマーサは止めることが出来ないと判断して信用できる人材のみを集めて『暁』合流に備えつつ情報を流した。

この『ターラン商会』内紛を察知した『オータムリゾート』のリースリットは、『暁』支援のために牽制と攻撃を行うことを決定した。

~カジノ『オータムリゾート』本店執務室~

「金にものを言わせて兵隊を集めな。『暁』が今回の攻撃をはね除けたら、十六番街へ攻め込んで目ぼしいシノギを根こそぎ奪うよ」

机の上に腰かけたリースリットは、居並ぶ幹部達に方針を伝える。

「だが目ぼしいシノギは『ターラン商会』が押さえてる。それは良いのか?」

幹部のジーベックが懸念を口にする。

「あそこは内紛が起きてるんだとよ。シャーリィに味方してるマーサと、怖がってる馬鹿共だ。で、このままいけばマーサは『ターラン商会』を捨てて『暁』で一からやり直すらしい」

「ほう、それはまた思いきったな」

「シャーリィの下なら余計な柵は無くなるだろうさ。で、今の『ターラン商会』は潰して良いらしい。シノギについても、ちゃんと話しは通してある」

「なら早い者勝ちだな、ボス。直ぐに兵隊を集めよう。それだけでも『エルダス・ファミリー』に対して牽制になる筈だ」

「あと、レイミを呼び戻してくれ。シャーリィは今回の抗争で『エルダス・ファミリー』を完全に潰すつもりだ。久しぶりに荒れるぜ」

「やれやれ、ゆっくり金稼ぎをやっていたいんだがなぁ」

「良いじゃねぇか。私達は金稼ぎしか出来ねぇなんて嘗めてる連中に思い知らせてやるチャンスだ」

「ボスがやるなら俺たちは従うだけさ。あんたに従ってれば金を稼げるからな」

「おう、今回もシャーリィに賭けるんだ。あいつは味方には気前が良いからな。見返りにも期待できるってもんさ」

『オータムリゾート』は『暁』と『エルダス・ファミリー』の抗争を利用して勢力拡大を目指す。

この『オータムリゾート』の動きは完全にイレギュラーであり、『闇鴉』の計画を根本から破壊することとなるのである。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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