ー殺人鬼の子でも桜のように舞い散れるー
「はぁ、、、」
まだ来ないのか?先生。明らかに数時間も過ぎてるんだが?
「、、、もう帰ろうかな」
「それはアカンで〜。」
「、、、!」ビクッ
急に先生の声が聞こえてビックリする。
「すまんなー、遅くなって!色々生徒に呼び出されとったんよー」
俺は遅れて来た先生に向かって睨んだ。先生はその視線に気にせず、俺の事を見る。
「そんで、痛いとことかないな?」
「、、、はい。特にありません。」
「うーん、ホンマにそうやな?」
「だ、大丈夫、ですけど、、、」
「、、、」
「、、、」
なんでそんなに無言で見つめるんだよ。
ー、、、はぁ、この身体の主はどれだけ痛みを我慢したんだ?
「うーん、怪しいなぁ、、、。少し見させてもらうで」
そう言って先生は俺の足を重点的に、身体をじろじろと見た。
「、、、先生、見方が気持ち悪い。」
「はぁ!?なんてこと言うんや!?」
「安心しぃ、君の身体に興味は無いからな」
「それは分かってるけど、なんかキモかった」
「お前〜、、、!」
一応この主、先生と2人きりの時はタメ口で喋ってたんだな。自然にこの身体の主の喋り方と一緒になる。
「まあでも、ホンマに怪我は無さそうやな。」
「だから言ったでしょ?」
「うーん、やけど手首が少し怪しいな。」
「、、、」
あー、さっき片手で回ったから体重が全て片手に行ったんだろ。
「うーん、軽い捻挫、、、やな。包帯巻いたるで動かんといてな。」
そういって俺の手首に触れる。この身体の主だったら照れるだろうが、今は俺だからな。全然ドキドキしないな。
と言っても、先生は意外と綺麗な顔をしているな。
橙色の髪にとても綺麗で深い緑色の瞳。そして何処かで見た事のある金木犀の耳飾り。
「、、、」
俺はついその金木犀の耳飾りに触れてしまった
チャリン
金木犀の花がぶつかり合っていい音を奏でる。
「、、、ははっw」
「?」
ずっと耳飾りを触っていると急に先生が笑い出した。
「ちょっ、くすぐったいでw」
「、、、」
「そんなにこの耳飾りが気になる?」
「、、、」コクッ
俺は何も言わずただただ頷いた。そしてまたクスッと笑いながら先生が言う。
「これはな、俺の宝物やねん」ニコッ
「、、、そうなんだ」
「ふふっw偽物の花やけど、なんかいい匂いすんのよ。それがお気に入りなんや。」
「、、、」
「ちょっと嗅いでみる?」
「、、、うん。」
「ん、ほい。」
先生は俺に顔を近づけた。俺は先生の耳飾りをすんっと嗅いでみた。
「、、、うん。いい匂いするね。」
「ははっwせやろ?」
「すごい、綺麗な耳飾り。」
「、、、桃やって綺麗やで。その桜の髪飾り。すごい似合っとる。」ニコッ
「、、、俺も、これは宝物、かな。」
「そうなんやね。」
「ほい!手当終わった!」
「、、、先生、ありがと。」
「どういたしまして!ほら、外でお友達が待っとるで!」
「うん。ありがとう。じゃあね。」
「うん。バイバイ。」
タッタッタッ
「、、、はぁ、」
「、、、」
そういえば、お友達って誰のことだろう。取り敢えず、主の記憶を遡ってみる。
「桃くーん!早く帰ろっ!」
「う、うん!待ってよ赤!」
「待ったないよー!」
「ちょっ!走ると危ないぞ!」
「えへへー、大丈夫、、ってうわっ!! 」
「言ったこっちゃない!!」
「えへへー、ごめんね〜、桃くん!」
「はぁ、もう!早く帰ろっ?」
「うんっ!」
なんというか、明るい人だ。ていうか、さっき保健室に来た人と声が全く一緒なんだけど、もしかして同一人物?、、、考えるのをやめよう。
「あっ!桃くーん!遅いよー! 」
「ご、ごめん。赤。」
「もぉー!早く帰ろっ!」
「うん。」
「それでね!ーーーーー」
「ーーーーーー!」
なんというか、赤といると自然に和むな。そしてよく見てみるとこの子も中々の美形だ。
赤色と1部黒色がある髪と左右で非対称なパワフルな黄色と紫色の瞳。そして大きな犬耳ととてもよく似合っている椿の首飾り。
その首飾りはどちらかと言うとチョーカーのような役割をしている気がする。
「、、、」ジー
「?どうしたの?桃くん。俺の顔になにか着いてる?」
「えっ、いや。赤って結構綺麗な顔立ちだなって」
「えっ?なに急に、、、そんなに褒めても何も出ないよ!」
「いや、普通に思ったことを口に出しただけだけど、、、」
「やん。照れる。」
照れると言いつつも全然照れておらず、逆に真顔だ。正直少し怖く感じた。
「そういえば桃くん!先生とはどうだった?」
「えっ?別に何も無いぞ?」
「いやいや!!桃くん先生のこと好きじゃん!なんなら告白したいって言うほど!」
「え?あー、うん。もうほぼ諦めてるから。」
「いやいや!諦めないの!先生モテモテなんだから!いつ取られるかわかんないよ。」
そう言ってくれるのは嬉しいが、好きなのは俺ではなくこの身体の主なため、告白なんてものできるわけが無い。
「うーん、」
「取り敢えず!諦めずに頑張れ!諦めない心が大切だから!」
「な、なるべく頑張るよ、、、」
赤って恋愛のことになるとすげぇ怖いんだよな。これは主が教えてくれたから分かる。
「はぁ、桃くんが羨ましいよ。俺も恋愛したい。」
「赤は理想が多いから無理だろ。」
「うぐっ、否めない。」
「むぅー、それでも彼女欲しいー!!彼氏でもいいからー!!」
「取り敢えず付き合えればいいって思ってるやつじゃん。それ。」
「そりゃそうでしょ!リア充になれば全てが解決する!」
「訳では無いと思うぞ。」
「うぐっ、確かに。」
「んもー!!それでもずるーい!」
「、っははw」
赤と喋っているといつの間にか時間が過ぎてしまうような感じがする。そうしてどうでもいい話をしていたら、あっという間に家に着いてしまった。
「じゃあね!桃くん!明日も迎えに行くから!」
「うん。じゃあね。」
赤とバイバイして、家に帰ってきた。
「、、、一応、日記でも書いとくか。」
今日一日のことを日記に書き記し、少し勉強をしてから、晩御飯を食べた。
そして風呂に入り、眠りにつき、一日が終えた。
明日は、どんな一日になるんだろうか、。
「ねぇ、〇〇くん。」
「?どうしたんだ?」
「お願いがね、あるの。」
「?」
「俺を、ね、」
「、、、えっ、」
「ごめんね、もう、限界なんだ。」
「〇〇くんに殺されるなら、なんの未練もないだろうし、」
「自殺は、怖くて、無理だからさ、」
「、、、でも、」
「お願い、。今の、綺麗な俺が、無くなる、前に、」
「、、、わかった。」
「、、、っ!ありがとう。」((ニコッ((ポロポロ
おねがいきえて、かなしいきおく。
おねがいきえて、きたないきおく。
おねがいきえて、むかしのじぶん。
いまはとてもきれいだから。またあやまちをおかさぬように。
きえてなくなれ。いたいのいたいのとんでけっ