テラーノベル
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ふっかに同棲したいと伝えてみた。
今日の昼間、楽屋で心の底から幸せそうな顔をしながら惚気話をするめめを見ていたら、俺もふっかと一緒に住みたくなった。
ふっかに泊まりに来てもらうのが、俺の中で日常になってしまっていたけれど、それならもう、家を同じにした方が良いような気がしてきたのだ。
でも、ふっかは俺がそう伝えてから、どっちつかずの反応ばかりで、ずっと何かを考えているみたいだった。
ふっかは同棲には前向きではないのか、一人で住む方がいいのかと少し不安になる。
今までずっと、ふっかの過去のトラウマを克服するために半ば強引なくらいに、毎日俺の家に連れ帰ってきていた。
もし、このまま順調に、ふっかが何の恐怖心も持たずに誰とでも触れ合える日が来たら…。
俺たちのこの時間は無くなってしまうのではないかという思考が脳を掠める。それはちょっと、いや、だいぶ寂しくて嫌だった。
リハビリがあったって、無くたって、俺は四六時中ふっかと一緒にいたい。
起きている時間も、寝ている時間も、ずっとふっかを守っていたい。
俺の気持ちは強すぎるのだろうか。
どこにいるのか、何をしているのか、誰といるのか、全部知っていたいし、できる限り俺も一緒にそこへ行きたい。
俺の愛は重たいのだろうか。
流石に発信機をつけたり、録音したり、そういう犯罪になってしまうようなことはしない。知りたいなら、教えてって自分の口で言う。
ただ、自分が納得できる理由がもらえるまでは、延々と問いただしてしまうきらいはあるが…。
一緒に住むのは嫌かと、ふっかに尋ねてみた。
俺だけがそう思っているのかな、という不安からどこか拗ねたような聞き方になってしまって、子供っぽく突き出た唇に気恥ずかしさを覚える。
ふっかは「ん?んなことないよー」とまったりした声で一言答えると、また一人考え事の世界へ戻って行ってしまった。
眠いのだろうか、ふっかの体が温かい。
腕に回した首、頬に触れる胸、全てがじんわりと柔らかい熱を持っていて、こちらも眠気を誘われる。
こんな風にピッタリとくっつけるようになった、今この瞬間が何よりも愛おしい。
柔らかい微睡の中で、俺もふっかの真似をするように、ひとり思い出の旅にに耽っていった。
「明後日オフでしょ?一緒にどこか出かける?」
この関係が始まって一ヶ月が経った頃、何の気なしにふっかにそう尋ねると、目の前でスマホをいじっていたそいつは、少し苦そうな顔をした。
「わり、明日予定あってさ…」
「え、どこいくの」
「カフェ」
「誰と?」
「大学の友達」
「何時から?」
「14時」
「何時まで?」
「だいたい16時くらいじゃない?」
「迎えにいくから、解散する前に連絡して」
ふっかは俺の質問に一つずつ答えるごとに、どんどん困ったような顔になって、最後には「お母さんかよ」って呆れたように笑った。
心配だった。まだリハビリも途中なのに、ふっか一人で出掛けて行って、その最中に、またパニックになったりしないかと。
この一ヶ月間、一日も欠くことなくふっかに触れてきた。
徐々に慣れてくれたふっかとは、抱き締め合えるようになった。
キスもできるようになった。
付き合ってからの初めてのキスは、ふっかがしてくれた。
主張するふっかの欲を吐き出させたあとで、ふっかは熱っぽく溶けた瞳に俺を映しながら、おずおずと触れてくれた。
驚きで思わず目を見開いたが、ふっかが少しずつ歩き出せていることが自分のことのように嬉しくて、ゆらゆらと、俺の瞳は水に揺れたのを、よく覚えている。
しかし、それでも、俺以外の人と会うことに、まだ不安を感じる。
俺がいない場所で、ふっかが独り混乱して、また過呼吸になったりでもしたらと思うと気が気では無かった。
だから、俺としては、事前に知っておきたかったことを聞いただけだったのだが、これはどこかおかしいのだろうか。
「違う、彼氏だもん」と拗ねたように返せば、ふっかは「っ、そういうことじゃねぇよ!」と照れたようにまた笑った。
次の日、また冠番組の収録の時間になって、みんなで一緒にスタジオに入る。
「おはようございます」と言ったあとは、それぞれが好きなように過ごす。
俺は今日の内容の最終確認をスタッフの方から聞きながら、ずっとふっかの手を握っていた。
遠くの方から、こちらをじっと、恨みがましく睨むような視線を感じる。
一ヶ月前から、それに感づいてはいたが、気にしないようにしていた。
間違っているのはあちらで、こちらは何もおかしいことなどしていないのだから。
しかし、これ以上、こんな状態が続くのも正直疲れてきたし、ふっかも毎週怯えている。
なんとかこの状況を打破したかった。
スタッフさんの説明が終わると、俺は佐久間たちのところにふっかを置いて、あのプロデューサーさんの元へ足を進めた。
「おはようございます」
「……ぁあ、おはよう」
「今日もよろしくお願いします」
「…チッ、よろしく」
これがこの人の本当の姿なのだろう。
プロデューサーさんは、俺を心底毛嫌いしているのが丸わかりなほどに顔を顰めて、舌打ちした。
しかし、無視されなかったことをいいことに、俺はその先を続けた。
「もう一ヶ月が経ちますね。」
「…なんの話かな?」
「あのパーティーの日、あなたはあいつを手に入れられなかった。」
「…」
「それは、あなたに魅力が無かったからでも、あなたの気持ちが不純だったからでもないですよ」
「…あ?」
「あなたがふっかを大切に想っていなかったからです」
俺が話し終えると、プロデューサーさんは眉を歪ませた。
この人は今、何を思っているのだろうか。
ぐしゃっと真ん中に集まった皺には、不快感だけじゃない、別のものも含まれているように見えた。
後悔、羞恥、懺悔、劣情、執着が痛いくらいにこちらの目に映りこむ。
その仄暗い感情を感じ取った後すぐ、プロデューサーさんの中に小さく悟りの色が見えたような気がした。
この人もきっと、恋をしていただけ。
そんな風に思った。
やり方を間違えてしまった、ただそれだけなんだと、少しずつ穏やかになり始めている彼の目を信じたかった。
「あなたの恋が、いつか優しいものになることを願ってます」
俺は、最後に一言伝えて、ふっかたちの方へ戻った。
「ありがとう」
そう聞こえてきた声を、俺は振り返らずに背中で受け止めた。
次の日、ふっかはうきうきした様子で俺が送迎した車を降りて、カフェの扉を開けて中に入って行った。
看板には、【cafe Royal】と書かれていた。
その後、事前に伝えられていた16時近くになってもふっかから連絡が無いことに不安になって、俺はメッセージを連投し、電話を掛けまくった。
時間ぴったりに車をお店の前に少しだけ付けさせてもらうと、ふっかは慌てたようにドアを開け放って、中から出てきた。
「ごめんごめん!ついつい話し込んでたわ」
「ふっかが無事だったならそれでいいよ、安心した」
「ありがとねー」
「楽しかった?」
「うん」
「どんな話したの?」
「んー、、ヘタレちゃんの恋愛相談ってとこ」
「なら一層いい」
「んぉ?」
「ふっかのこと好きな人だったらどうしようって思ってたから」
「ぁははッ!それは無い、あの子とはずっと友達、大事な親友」
「ふっか友達いたんだね」
「ぉお”ぃ!失礼だな!!」
「ぃひひっ、今度会わせてよ。ふっかの大事な親友に」
それから二ヶ月が経った。
その日の収録も無事に終わって、ふっかと一緒に家に帰る。
ふっかが運転する車に揺られながら、今日の夜ご飯の相談をしたり、明日のスケジュールについてもう一度確認を取ったりしていると、ふっかは、突然重たい口で俺に問い掛けた。
「…この間、あの人となに話してたの……?」
「んー?この間って?」
「二ヶ月前に、あのプロデューサーさんとなんか話してたでしょ?」
「あー…、挨拶しただけだよ?結構前のことだからあんまり覚えてない」
「…ほんとに………?」
ふっかにあの日のことを伝えようか迷って、事実の上澄みだけをなぞった。
やっぱりふっかは納得していないような声で、半信半疑に聞き返した。
あの人は、根っこから悪い人なわけじゃなかった。
あの人の気持ちもわかる。誰だって、間違えることはあるし、たった一度の失敗をとやかく言って、完全な「悪い人」にはしたく無くなかった。
とは言え、今までのふっかの苦しかった日々を思えば、あの人の肩を持ち過ぎるのも、なんだかおかしい。
ふっかもモヤっとしたままなのは嫌だろうが、俺はどう伝えたらお互いが苦しまないかが考え付かず、誤魔化すように窓の外を眺めた。
俺のその様子を伺いつつ、ふっかは前を向いたまま口を開いた。
「今までずっと怖い視線を向けられてる気がしてたんだけど、照がその人のところに行って、その後収録始まってからなんにも感じなく無くなったの」
「そっか」
「あの時、照が何か言ってくれたんでしょ?ありがと」
「…だから、なんも言ってないってば」
「はいはい、わぁったよ。あの人、今日の帰り間際、すれ違った時に「今まで、ごめん」って言ってくれたの。びっくりしたけど、同時にすっきりもした。やっと終わったんだって」
「そっか」
「だから、ありがと」
「………うん」
そんなことがあったのかと内心驚いた。
確かに、今日の帰り、廊下でプロデューサーさんとすれ違った時、あの人は少し気まずそうな顔をして俯いていた。
その瞬間に佐久間が大声で笑っていて、俺の周りの音は掻き消されてしまっていたから、そんなやり取りがあったとは思ってもいなかった。
あの人も和解しようにも、きっと、四六時中俺がふっかにくっついて離れなかったから、そういう形で謝るしか無かったのだろうと思うと、少し申し訳なくもなった。
自宅に着いて荷物を置き、部屋着に着替えようかというところで、背後からふっかに呼ばれて、振り返る。
「どうした?」と聞けば、ふっかは目を伏せながら、俺の脱ぎかけのシャツの裾を掴んだ。
「ひかる……しよ…」
「…へ?」
真っ赤な顔で、くいっ、と裾を控えめに引き寄せて、ふっかは自分の頭を俺の胸に埋めた。
小さく擦り付けられるおでこと髪の感触がくすぐったい。
珍しく甘えてくるふっかが可愛くて、自然と俺の手がふっかの頭を撫でる。
気持ちがいいと思ってくれているのか、ふっかは「んへへ…」と笑う。
「ほんとにいいの?」と聞くと、ふっかは顔を上げて、俺を目を合わせながら「うん、もう、ほんとに大丈夫。」と言った。
「怖くない?」
「うん、照と一つになりたい」
更けた夜、甘く熱を帯びた声で紡がれる最上の誘い文句が耳を撫でて、俺は理性にさよならと告げた。
俺の胸に頬を寄せたまま、じっと俺の反応を待っているふっかを姫抱きして、寝室へと向かった。
ふっかをベッドに寝かせる。
抱き上げた時に回されたふっかの腕がいつまでも離れない。
甘えるような仕草に愛おしさが溢れる。
壊れてしまわないように、何度も優しく触れる。
顔中に口付けていくと、くすぐったそうに「ふへへっ」って子供みたいに笑う声にたまらなくなる。
まだ余裕がありそうな様子に安心したところで、唇を徐々に下へ下ろしていく。
首筋に触れると、びくっと肩が震える。
その肩を宥めるように、今度はその丸みに指を沿わせれば、今度は白くて薄い肉付きの胸が僅かに跳ねる。
目の前に突き出された淡い色の突起を遠慮なく口に含むと、上擦った声が聞こえてくる。
「っぅぁ、ぁんッ!?ひかる…っ、そこ、やぁ…っ」
「ん?これ嫌い?」
「そうじゃないけど、、ぁやァッ!んん“ッ!ぃっちゃ…ぁ”っ…」
「いいよ、好きなだけいきな」
「っふ、ぁ、ぁぅ“ッ、っひぁあ”ッ!?」
感じやすいのは相変わらずで、今日初めてするのに、胸だけで達してしまうふっかが可愛くて仕方がない。
深く息を吸っては吐いてを繰り返すふっかの顔がもうだいぶ溶けていることを確かめてから、後孔に触れた。
付き合ってから初めて触れる未知の場所に、ふっかの体は今まで以上に大きく跳ねた。
潤滑剤を何度も塗り込んでは出し入れを繰り返す。
「…ん、、んぅ…っふ、ぁ、、」と悩ましげに囀る吐息が鼓膜を擽る度に、今すぐにでもこの中に入りたいという欲求で頭の中が埋め尽くされる。
どうにか自分の我儘をやり込めて、じっと、解れるのを待つ。
一本、二本、と指を増やしてバラバラに動かせば、たまらないと言うようにふっかの腰がうねる。
扇状的なその動きに、挑発されているような心持ちになって、その誘いになってしまいたくなる気持ちを、ぐっと堪える。
だめ、まだ。
もっと、もっと、溶かしたい。
そう自分に言い聞かせて、拡げるように中を指で探り続けていると、中指がしこりに触れる。
ぐっと押せばふっかの全身が大きくバウンドする。
見つけた。
そう感じては嬉しくなって、俺はそこだけを押し潰し続けた。
「ッぁ“アっ!?だめっ、、ひか、っひかぁッ!!やぁ”ッ!」
「だめなの?すごく快さそうに見えるけど」
「っひ、ん”ん“〜ッ!!ぁああ“、いじわる…ぃうなぁ…っ」
「気持ちいい?怖い?やだ?」
「ゃだじゃない、っひぃッ、んぁ“あ”ぁッ!」
「じゃあこれ好き?」
「すきっ、すきぃッ、きも“ち”ッ、、、、、ッこわ…ぃ…ぅぁ“ッ」
「怖い?平気?」
「よすぎて、っこわいの…っんぁ”ッ!?」
強すぎる快感から逃れるようにしがみついてくるふっかの腕が、俺の庇護欲と加虐心を掻き立てる。矛盾した欲望の真ん中に立った途端、どうしたらいいのかわからなくなる。
相反した欲の渦の中で、正気を保っていたくて、俺もふっかに縋るように首に回された腕を甘く噛んだ。
それすら今のふっかには快感に変わるのか、その刺激でまた甘く鳴いた。
そろそろ頃合いかと、俺はふっかの中から指を引き抜いた。
「ぁぅッ、」とその感覚にさえ喘ぐ声が、やけにいやらしい。
俺は、最後の確認をするようにふっかに「大丈夫?」と声を掛けた。
「だいじょぶ…っはやく、ほしい…っ」
ふっかが痛い思いをしないようにとじっくり解したのだが、どうやら俺は、ふっかを相当焦らしてしまっていたようだった。
強請るように蕩けたふっかの目から、一粒、また一粒と涙が零れ落ちる。
きれい。
もったいない。
そう思った時にはもう、俺はその雫を舐め取って、一滴も溢さないように自分の体内に取り込んでいた。
「力抜いて、ちゃんと息しててね」
そう伝えてから、スキンを被せた自身をふっかの後孔に当てがう。
きゅっと唇を引き結んで、ぐっとふっかの中に潜り込む。
指よりも重い質量を持ったものが入ってくる感覚にふっかは眉を寄せる。その表情に胸が苦しくなって、その辛さを少しでも取り除いてあげたくて、その皺に口付けを落とした。
「痛くない?」
「ん、、へいき…っ、も、うごいて…」
「馴染むまでこうしてよう?」
「やだぁ…っ」
「いひっ、なんで」
辛くないのはなによりだが、早く早くとせがむふっかが不思議で笑ってしまう。
無理しなくていいんだよ?
ここまで来れただけでも、俺は本当に嬉しいんだから。
そう伝えるようにふっかの頭をゆっくりと何度も撫でていると、ふっかは俺の両頬に手を添えて引き寄せた。
「俺ばっかりはいやなの、照も気持ちよくなってほしい」
ふっかの言葉に俺は頭を掻きむしった。
「っあ“ぁ〜、もう…大事にしたかったのに。ほんとに限界きたら殴ってでも止めて。もう歯止め効かないから。…いくよ」
「そんなことしな…ッぅぁ“ぁあ”!!ぁ、ァッ!んぁッ!」
「っは、ぁ、ぁっ、きもち…」
ふっかの中を自由に動くたび、きゅうきゅうと締め付けられる感触に、自然と熱を帯びた声が漏れる。
内壁を擦って、先程見つけたふっかの好きな場所を硬度を持ったモノで押し潰して、その繰り返しにふっかは、何度も腰を宙に浮かせる。
俺から逃げるように後退ろうとするその身体に寂しくなる。
引き寄せて、ふっかの両脚を肩に掛けて重心を前に傾ければ、もっともっと深く繋がる。
「ぅあ”ッ!?ひっ、ひぃッ、ひか…ッ」
「ぅんっ?、っは、なぁに?」
「ふか、っぃ…おく、ん”ぁ”ッ」
「っぁ、くるしい…っ?」
「きもち…ッ、ぁぅッ、うれしっ…ひぁ”ッ」
「ん、ふっ、よかった…っぅ”」
「ひかっ、ひかぁッ、ひかるっ…!」
「んひっ、なぁに…っ?」
「ちゅーしてッ、ッぁあ”っんぅ!?」
「ん、ふ、っはぁ、ほんとかぁいぃ…」
何度も俺の名前を呼んで、キスを強請るふっかの唇を貪る。
下唇を食んで、するっと舌を捩じ込ませる。
口の中でふっかの籠った声が響く。
可愛くて仕方がない。
ふっかの両脚を肩に掛けたまま、何度も何度も深く口付けながら頭を撫でれば、ふっかの全身どこにも触っていないところなんて無くて、泣きそうになる。
やっとふっかの全部に触れた。
そのことがどうしようもなく嬉しくて。
この時間がこの上なく幸せで。
いつまでもいつまでも、どうか触れさせていて。
そんな気持ちが涙になって、ふっかの頬を濡らす。
落下していく雫が、ふっかの涙と交わる。
ふっかも泣いていた。
嬉しいの?
幸せなの?
俺はすげぇ嬉しくて、幸せだよ。
ふっかもそう思ってくれてたらいいな。
「ふっか、、も、いきそ…っ」
昂る多幸感が、もうすぐ俺の身体にもうすぐ終わりを迎えることを知らせる。
幸せなのに、寂しくて。
切ないのに、嬉しくて。
先程から何度も達しているふっかに、これで最後だよと伝えるように、重く速く腰を打ち突ける。
ふっかからはとめどなく嬌声が溢れて、抑える余裕も無さそうで、それに俺の心はぎゅっと締め付けられる。
「ぃって…いっしょ、ッぁア”ッ!いっしょがいい…ッ!ぅあ”ぁあぁ”ッ! 」
「ッん”…!?きっつ…っく、ぁ…ッ」
最後の力を振り絞って、確実に俺を仕留めるように、きゅううぅっと締まるふっかの中。その優しさに絆されて甘えるように、薄膜の中へ愛を溢した。
短く切れる息を整えながら、ふっかの首に顔を埋める。
ふっかの吐息が耳にかかる。
気怠げで、温かくて、どこか色っぽい。
「ひかる、、ありがと」
「ん?」
「やっと全部触ってもらえた」
「!…がんばったね」
「ぅ”…ぅん”、、っあ”りがと…」
ふっかの痛みと苦悩の鋭い棘が、体の中で溶けていっては涙に変わって、頬を伝って滴り落ちているみたいだった。
刺さって穴の空いた傷口が、少しでも早く癒えたらいいな、なんて、そんなことを考えながら、俺はいつまでもふっかを抱き締めていた。
「ひかる?」
不意に名前を呼ばれて、はっと意識が今に引き戻される。
「どうした?」と返すと、ふっかは眠そうに目を擦ってから、ふわっと笑う。
「今度の休み、家探しに行こっか」
その言葉に嬉しくなって、俺はふっかを抱き締める腕の力を強めた。
ふっかの喉から聞こえる「ぐぇ”っ」と苦しそうな声に、俺はんひひっと笑った。
To Be Continued……………………
コメント
2件
はぁーーーー!!!!!! こんな尊い恋愛してみたかった。 1周まわって無表情でいいね連打しました。
ついにこっちも同棲☺️✨💛💜